読んだ本の感想など

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マガジンハウス新書『激安ニッポン』感想

谷本真由美『激安ニッポン』マガジンハウス新書 2023年7月刊

 


日本は海外と比べて安いという内容の本。「日本人だけが知らない」と帯にありますけど、あと本の中でも「日本では知られていないが」というような文言が頻繁に出てきますけど、実際めちゃめちゃ知られていますよね。10年前からこの話題ってありましたし、特に最近は価格差が開いていって、ニュースでも新書でもむしろこの話題であふれていると言っていいくらいだと思います。普段ニュースを見なくて新書を読まない人が対象の本なのかなと思いました。IT系などの稼げる業種に注力していくべきという結論でしたが、これも本当にずっと前からそう言われていますよね。

とは言え個別の商品の話などで知らない話題もあって、おもしろい内容ですらすら読めて、良い本だったと思います。日本の企業は稼げていなくて競争力がないとか、非正規が多すぎるとか、女性が働けていなくてもったいないとか、同意できる内容ばかりです。

これだけ言われていて5年後も10年後も激安ニッポンのままのような気もしていますけど、きっとみんな安いままで困っていないのでしょうね。困っている人は変えようとするか海外へ出たりしますもんね。変えようとしても、安いままで困っていない人が多すぎて変えづらい。まず老人は安いままの方が良いですし、国としても老人が困らないように安いままで良い、働いている現役層の中で稼いでいる人たちは安く買えてボーナスステージですし、そうすると現役層の中で弱い人たちしか困っていないという構図になってしまいます。なかなか変えていくのは大変そうです。

ちなみにうちの事務所はアルバイト時給2000円だったり無資格未経験の採用で月給30万~だったり、安い日本から脱却していけたらいいなぁと思ってがんばっています。特に稼げているわけでもない普通の税理士事務所ですけど。でも今の安い日本でこのやり方が正解なのかどうかは、本当にわからないですね。特に戦略もなく時給を高くしてます。でも時給2000円って、高そうに見えて平日9時5時で1年間働いて年収400万円いかないくらいなので、特別高くもないと思っています。これくらいの時給が普通の日本社会になるのは、何年後ですかねぇ。やっぱり年金暮らしの老人の比率が減らないと無理なんじゃないかなと思ってしまいますが…。