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NHK出版新書『現金給付の経済学』感想

井上智洋『現金給付の経済学』NHK出版新書 2021年5月刊

 

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ベーシックインカムを導入すべきという内容の本。社会保障は残しつつ2階建てでベーシックインカムを導入するのがベストいう内容で、自国通貨の国は政府が借金をしたり赤字になったりしても問題ないのでどんどん現金をばらまくべきという内容でした。インフレの様子を見ながら。いったんベーシックインカムで全員に配ったあと高所得者からは増税して取り返せばいいという意見も。一理あるなと思いながら読みました。

都内で税理士をしている私の感覚だと、この2020年~2021年ってお金が世の中にあふれたせいでインフレになっていると思うのですよね。コロナ禍で色々な給付金がありましたし。株式や仮想通貨の相場は上がっていますし、それ以外でも不動産の価格なんかも上がっていますよね。あとは高級車を買おうとしたら納車まで半年待ちとか、箱根とか熱海の高級ホテルは予約がすごい入るとか。景気のいい話をよく聞きます。とはいえ日用品の価格は上がっていないと思いますので世間的にはインフレではなくデフレなのかもしれません。なんだか不思議な話ですけど。

私もベーシックインカムについては結構賛成派なのですけど、公平になりそうなのが良いなと思っています。現状は国や都市へ入った税収って政治的な思惑で色んな業界に割り振られていってる状態だと思いますけど、それだとどうしても選挙で投票してくれる業界へ多く投資するとかそういう仕組みになってしまいますよね。なるべくそういう裁量の入る余地を少なくしながら社会がまわる仕組みに変えていった方がいいと思います。現状だと老人の医療に対してお金を使いすぎてると思いますし、ベーシックインカムを導入してそういうかたよった部分を減らしていくのが国のためには良いんじゃないかと思います。ただ、政治家の人は反対しそうですよね。公務員の人たちもかな。その裁量の部分が仕事になったり権力になったりしているわけですし。