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光文社新書『生命保険の不都合な真実』感想

柴田秀並『生命保険の不都合な真実光文社新書 2019年11月刊

 

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確定申告の時期より前に購入していましたが、あとで読もうと思っていたらずっと読めず、今ごろになって読破しました。確定申告時期が終わってだいぶ時間が取れるようになって、さらにコロナウィルスの外出自粛で飲み会がなくなって時間が取れるようになり、最近はいっぱい読書できています。

というわけで、生命保険の不都合な真実。私の事務所も生命保険の代理人登録をしていますので、生命保険を売る側の立場の人間です。大同生命さまの代理人登録をしていまして、これから日本生命さまの登録もして両方の保険を売ることのできる立場になろうとしています。ただ、正直に言って生命保険については特に必要ない人(会社)ばかりなので、売ろうにも売り先が無いという現状です。法人税の節税にはならないですし。補償が必要な会社のみ補償目的で加入するのが良いと思います。車両や建物の損害保険なんかは入る価値があると思いますけど。あと相続税対策の商品も。

生命保険については本当に色々と思うところがありまして。まずサラリーマン時代に私が勤めていた税理士事務所が顧問先に「節税のために」と言って保険を勧めるタイプの事務所で、別に節税じゃないんじゃ……とものすごく疑問に思っていました。「実質返戻率」みたいな無意味な指標を使って「得になりますよー」と営業してる所長の姿を横で見ながら自分はこういう税理士にはならないぞと思っていました。生命保険に限らずですけど、錯覚させて売ろうというのはかっこ悪いですよね。こういう言い回しをすれば相手が良いと思って買ってくれる、みたいなのはすべてかっこ悪い。素直に伝えてそれで相手が買ってくれるというのが一番かっこいいです。というかかっこよくて価値のある人や商品だったらそういう商売ができる、というのが正しいのですかね。だからかっこよく生きていかないといけない。

あとは、この本の中でもありましたけど外貨建て保険の手数料についても、めちゃめちゃ思うところがあります。外貨建て保険は将来解約したときや満期になったときの返戻率が高く設定されているものが多くて、将来120%とか130%とかになって返ってくるものがあったりするのですけど、手数料を引かれるので120%130%そのままで返ってくるわけではなかったり、というせこい商品が普通にあります。いっぱい返ってくると錯覚させて売ろうという思惑なのでしょうけど、めちゃめちゃださいと思います。でも本に書いてあって知りましたけど2019年に募集資料をわかりやすくするような改正が入ったのですね。今後は改良されていくかもしれないですね。

あとは、営業のノルマがきついこととか、かんぽ生命がそのせいもあって高齢者をだますような売り方をしていた問題などについても書かれていました。この業界の色々な問題について、わかりやすく紹介されている本だと思いました。読みやすくて良い本でした。

銀行や郵便局のサラリーマンって、個人で戦う必要がないですもんね。だまして売ったとして、後で文句を言われても「そういうシステムなんで」と言えば会社の問題にできますもんね。会社が悪いんで自分は悪くないということにできる。外部的な意味でも、自分の心を保つ内部的な意味でも。銀行に限らず、大手企業はそういうことが可能なのが強みですよねー。