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くろきすがや『感染領域』ネタバレ感想

くろきすがや『感染領域』宝島社文庫 2018年2月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

発売されたころに本屋の新刊コーナーで見て、買おうかなーと思っていた本。たぶんそのときは読んでいた本があったので買わなかったのですよね。ようやく購入しました。

「このミステリーがすごい」のシリーズはけっこう読んできているのですけど、おもしろい本多いと思います。今までこのシリーズを読んてきた中でおもしろかったのは、『愚者のスプーンは曲がる』『神の値段』『女王はかえらない』とかですね。まだ読んでいない作品も多いので、これからそのあたりを読んでいってもいいかもしれない。

この『感染領域』という小説、正直めちゃめちゃおもしろいってほどではなかったのですけど、2日くらいで一気に読み切ってしまいました。残り3分の2くらいで昨晩0時くらいから読み始めて、なかなか眠れなかったので、3時までかかって読破してしまったという。たまーにあります、こういう眠れない日が。だいたい次の日めっちゃ眠れるので問題は無いのですけど。

読みやすくて続きが気になって読んでしまうという感じでしたので、良い小説だったと思います。作中で死人が出たあたりで一気に物語が盛り上がりました。主人公の影を背負ってる感じも好感もてましたし。ただ、物語の根幹部分のトマトの話がいまいち納得できないというか、植物のエイズウィルスが空気感染して世界中の植物が枯れてしまう危機と言われても、えーそんなことある…?みたいな。まぁフィクションだとはわかっていますけども。

主人公の顔が、ずっとイケメン理系研究者って感じの色白の男子を想像しながら読んでいたのですけど、後半で彫りが深くて体がでかいと作中で明かされて、ちょっとおもしろかったです。それもまた納得感があって。こういうの小説というエンターテイメントのおもしろいところですね。モモちゃんも最初女性っぽく登場して数ページ後にオカマと明かされるという。

あと、割とどうでもいいのですけど、作中の台詞回しとかの描写がとっても古いというか年配者っぽくて、作者デビュー作なのに何歳なのだろう…と思っていたら、帯に1965年生まれ&1963年生まれの2人組と書いてありました。まさにそういう感じの文章でしたので、この世代の人たちの方がもっと共感できて楽しめるのかもしれないですね。