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鯨井あめ『晴れ、時々くらげを呼ぶ』ネタバレ感想

鯨井あめ『晴れ、時々くらげを呼ぶ』講談社文庫 2022年6月刊

 

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

吉祥寺キラリナ7階の本屋で平積みの棚から買いました。知らない作者でしたけど、何か小説でも読むかーというノリで。最初はちょっと世界観に入り込めないところもありましたけど、かなりおもしろかったです。すぐ読み終えてしまいました。

最初は主人公のキャラクターや主人公とヒロインの関係性にあんまり馴染めなくて、世界観に入り込めませんでした。主人公の言葉遣いとか振る舞いがいくらなんでもひどすぎるというか。最初は主人公とヒロインの付き合っているのかいないのかわからない関係についても作者がどういう関係として描いているのかよくわからない感じでした。途中からは別に付き合っている設定ではないとわかりましたし、主人公が周りから嫌われないのは主人公補正なのだろうなということで納得しましたけど。

作中で色んな小説が紹介されているのはおもしろかったですね。実際の作家名で。読んだことあるものも多かったですけど、名前だけ知っていて読んだことないものも多かったです。

主人公が父親のことなどでモヤモヤしている感じや、ヒロインの世界中に迷惑をかけたかったという感じなど、思春期っぽくて共感できるキャラクターが多かったですね。プールに魚を放つとかも。

くらげが降ってくるというのも、最初は100%ファンタジー的な意味合いなのかなと思っていたのですけど、実際にくらげが降ってくる展開はおもしろかったです。リアリティを持たせるための理屈も作中にちゃんとあって。終盤の展開も納得感はありましたね。終盤は主人公&仲間たちに好感しかなかったですね。本を楽しみに待ってるという父親のメモ書きのシーンも良かったですし、最後はくじらが降って、ひたすらさわやかで良い終わり方だったなぁと思いました。