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『放課後に死者は戻る』ネタバレ感想

秋吉理香子『放課後に死者は戻る』双葉文庫 2017年11月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

読む小説がなくなったので何か買っておこうと思って本屋の新刊コーナーから購入した本。この作者の前作の『暗黒女子』はかなり前に読んでいます。『暗黒女子』は一人ずつ順番に語っていく形式のミステリで、少しずつ別角度から真相が明かされていく感じがおもしろかったです。最後のオチもびっくりで、満足度高かった。

そんなわけで『放課後に死者は戻る』、毎晩少しずつ読んでいって、4~5日くらいで読み終わりました。最後の半分は一気でした。最初の方はファンタジー要素になじめなくていまいち世界観に没入できなかったのですけど、途中からは慣れてきて、素直に読めました。そして後半の、自宅の部屋の鉄道模型がなくなっていて保険証券が置いてあるシーン辺り、あの辺になるともうめちゃめちゃおもしろかったです。周り全部敵みたいな展開はやっぱりわくわくしますね。最後には綺麗なオチもついていて。

最後の終わり方も、前向きで良かったです。主人公の成長物語みたいになっていて。イケメンになると周りの対応が変わるみたいな物語って、ステレオタイプ的というか、ありがちというか、正直いまいち盛り上がれない設定なのですけど、主人公の素直さな性格と、一つ一つ人生の新しい発見をしていくという物語展開のおかげで、最後まで読むことができました。

丸山さんが幽霊だったオチは、かなり驚きました。これはおもしろかった。教室で丸山さんがスルーされてるシーンとか、読み返してみたらたしかに不自然なくらいのスルーっぷりでしたし。でも読んでる途中にはこのオチの可能性はまったく思い浮かばなかったですね。最終的には小山くんも死んでなくて良かったし、終わってみれば綺麗なハッピーエンドになっているのがすごい。

『暗黒女子』の方が序盤から終盤まで安定しておもしろかったとは思いますけど、読後感的にはこの『放課後に死者は戻る』もなかなか良かったと思います。作者の次の作品も楽しみですね。