読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

深木章子『敗者の告白』ネタバレ感想

深木章子『敗者の告白』角川文庫 2017年8月刊

 

 

※小説の感想はすべてネタバレありで書いていこうと思います。

 

お台場のダイバーシティの中の本屋で購入しました。一番目立つ棚にどーんと置かれていたので新刊なのかなと思って購入したら、だいぶ昔の小説だったみたいですね。なぜいま推されていたのだろう。全然知らない作者の知らない小説でした。読んでみたら、めちゃめちゃおもしろかったです。最初から最後までずっとおもしろかった。これは推されるのも納得というおもしろさでした。続きが気になって電車の中とかで少しでも空き時間ができたら続きを読む、という感じでした。

事件関係者の告白だけで話が進むという物語で、なので嘘を言っている人がいるのだろうなぁという前提で読み進めていった感じですけど、それぞれの話に少しずつ矛盾点とか不自然なところが出てくる感じで、結末が気になって最後まであっという間に読めました。

内容についてネタバレで語っていこうと思います。

子供が実は殺人鬼という内容はなかなかインパクトがありました。ただ、読んでいてどうしても違和感というか無理やり感は感じていました。なので、最後に全部が親の捏造だったというオチになったときはとても納得感がありました。すべてがすっきりした感覚でした。最後の自殺オチについても、完全犯罪が成立して終わるのも変ですし、良いオチだったなと思います。

序盤の母息子の死者の告発2つがどちらも父の捏造だったわけですけど、その後の父の告白とも一見して矛盾の無いストーリーになっていて、それでいて捏造する動機やオチも納得できる理由が用意されていて、良い構成の小説だったなぁと思います。一番最初の母の雑誌編集者への告発がものすごい矛盾だらけですぐに嘘がバレていたのも、すべて捏造とわかればそちらの方が納得がいきますし。

初めて読む作家でしたけど、これは他の小説も読んでみたいなと思いました。