読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

今村夏子『むらさきのスカートの女』ネタバレ感想

今村夏子『むらさきのスカートの女』朝日文庫 2022年6月刊

 

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

久しぶりの小説読破でした。最近も何冊も買って読んでいるのですけど、最初の数ページだけ読んで止まってしまったり、積んだままになっていたりでした。というわけで今回はkindleで買ってみました。そうすれば移動中の電車の中で読めるかなと。実際移動中に読めて、なかなか良かったです。今後も小説もkindle購入でいいかもしれない。でもそうするとほんとうに本屋にお金を落とす手段がなくなってしまいます。本屋推しなのでもっと本屋にお金を落としたいのですけど。

一つkindleで小説を買ってみて最悪だなと思ったのが、ハイライト機能でネタバレされるという点ですね。他の読者が文章にマーカー付けているのが見える機能ですね。ビジネス書のときはあまり気にならなかったのですけど、小説でハイライト機能で「これ伏線ですよ~」みたいなことを教えられてしまうのは、きつかったです。ハイライトを入れている人の顔を想像するとキモいというか。まずネタバレされたくないですし。読んだあとに語られるなら全然良いですけど読んでる途中に語られても…みたいな感じですね。普通に機能オフにしました。そもそもどこが重要かは自分で決めたいのでハイライト機能自体が必要ないかも。

以下ネタバレで語っていきます。

というわけで、このむらさきのスカートの女、めちゃめちゃおもしろかったです。電車とバスの中でスマホで読んでいたのですけど、夢中で一気読みでした。スマホの画面でも読みやすかったです。電車やバスは読書できるのが良いですね。車はYoutube流せるのが良いですけど。

オチがおもしろすぎて、帰りのバスと電車の中で二度読みしてしまいました。二度読みのときの方が圧倒的におもしろかった。まさか権藤チーフという観察者の人間が普通に存在しているオチとは思いませんでした。犬や猫オチか、あるいは幽霊オチか何かなのかなと思いながら読んでました。少なくともファンタジー要素有りの設定なのだろうなと思ってました。まさか普通に常に同じ空間にいてスルーされ続けている人間がいたとは思いませんでした。リアルの人間が社会人生活を送りながらこんなストーカー観察していたのかと思いながら二度読みしたらめちゃめちゃおもしろかったです。ビール3杯飲んでお金を払わずに出たというのも本当に無銭飲食していただけだったとは。権藤チーフという名前に覚えはありましたし、二度読みしたときに普通に会話にも参加していて、びっくりしました。初見読みのときはスルーしてました。

最後の長文で話すシーンも、すごいおもしろかったです。スピード感がすごかった。そこでようやく現実の人間オチだったのだなと気づきました。最後の所長とのやり取りまで、すべてがおもしろかったです。普通に遅刻欠席を繰り返す人間だったとは。救いの無さすぎるオチでしたしファンタジー要素有りと言えば有りでしたけど、それでも着地点が最高でした。

全然知らない作者でしたけど、この人の他の小説も読んでみたいなぁと思いました。文章のテンポが良くて読みやすいですし、序盤からの伏線のはり方やオチがおもしろすぎました。