読んだ本の感想など

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映画『火花』感想

映画『火花』公式サイト

http://hibana-movie.com/

 

吉祥寺が舞台の映画ということで、地元民として観に行かないとなーと思っていたのですけど、昨日ようやく観に行くことができました。ちなみに吉祥寺のオデオンは17時00分の回の次が20時00分のレイトショーという変な上映時間になっていたので、TOHOシネマ渋谷まで行ってきました。木曜夜18時~の回で、狭いスクリーンでしたけど、5分の1くらい入ってる感じでした。前の方に座れば周り誰もいないくらい。快適空間でした。客層はやはり20代中心で、男女比は半々くらいだったと思います。同性グループをよく見かけた気がする。

ということで、火花、何か文学の賞をとったというのは知っていましたが(芥川賞?)、それ以外はまったく前情報無しでしたので、まずお笑い芸人を目指す若者たちの話だったというのが新鮮でおもしろかったです。原作者がお笑い芸人ということでリアリティや説得力も感じましたし、作中のお笑いがどれも普通に笑えました。にやっとできる系というか。クオリティ高かったと思います。

主役2人のキャラクターもとても良かったです。神谷さんの変わり者っぽくておもしろくて憎めなくて好感持てる感じと、主人公トクナガくんの方の真面目な人柄。2人とも演技がめちゃめちゃ良くって、それもあって魅力的な主役2人だったと思います。菅田将暉くんかっこよすぎですね。

ネタバレで語りますけど、最後の、夢やぶれつつも笑顔で過去を語れる感じは、とても良かったです。あたたかく前向きな終わり方で。

実際にああいう若手のお笑い芸人たち主体のお笑い劇場というものがあるのでしょうか。私は一度も行ったことがないのですけど。今日も都内のどこかの劇場で若手お笑い芸人たちが漫才をしていたりするのだろうか。地下のライブハウスみたいな。それで暮らしていくことができずアルバイトとかしながらとかで。あるいは親が裕福なら実家暮らしで、とか。まさにこういう火花のように、10年経って暮らしていけずお笑い以外の道へ(音楽以外の道へ)みたいな人生って、現実にも結構あるのかもしれないなと思いました。そして、仮に10年経って他の道へ進んだとしても、意外とこの火花みたいに明るく過去を語る感じなのかなと思いました。 税理士の世界だとたぶんこうはいかない。私は、資格が無いと話にならないと思って、何としてでもってことでがんばって勉強してきました。結果的に合格できたので良かったですけど合格できなかった人生というのも存在していたのだろうとは思います。それがこの火花みたいに明るく語れるものだとは思わないですけど。

そもそも舞台が吉祥寺ということで観に行った映画だったわけですけど、吉祥寺のシーンは、ハモニカ横丁の知らない居酒屋と、七井橋通りの武蔵野珈琲(行ったことないけど喫煙可ぽいからたぶん今後も行くことはない)と、七井橋通りのいせや前の階段と、井の頭公園の狛江橋の付近、くらいでした。そもそも5~6ヶ所くらいの場所が順番に繰り返されて描かれていく感じの狭い世界の中の物語でしたし。でもそういう閉じられた世界の中にいるという閉塞感が、青春を賭けて前へ進めなかった物語をうまく表現していたと思います。