読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

村崎羯諦『余命3000文字』ネタバレ感想

村崎羯諦『余命3000文字』小学館文庫 2020年12月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

吉祥寺アトレの本屋で平積みになっているのを見て、買いました。まったく知らない作者の小説でした。羯諦ってすごい名前ですよね。ぎゃていで普通に変換で出るのにもびっくりしましたけど。

ちょっとおもしろいセンス系の短編集でした。SF系というか。あまり普段読まないジャンルでした。でもさらさらと読めて、どれもおもしろかったです。こういうの嫌いじゃなかったですね。普段ミステリばかり読んでいるので、こういうファンタジー設定の作品は新鮮で、これはこれで満足でした。どの短編も設定がおもしろくてオチが気になって読みすすめたくなる感じでした。

たぶんこれは高校生くらいのときに読んでいたらもっとおもしろく読めたのではないかなと思います。なんかこんな感じの雰囲気の小説を高校生のときに自分でも書いていたような気もしますし。黒歴史かもしれませんが。今の高校生もたぶんこういうノリは嫌いではないのだろうと思います。きっと10年後の高校生も20年後の高校生もこういうの嫌いじゃないでしょう。

歌田年『紙鑑定士の事件ファイル』ネタバレ感想

歌田年『紙鑑定士の事件ファイル』宝島社文庫 2021年2月刊

 

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※小説の感想はネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

これは1ヶ月以上前に読んだ小説でした。いそがしい時期に少しずつ読んでいって読破して、そのままこの小説についてのブログの更新を忘れていました。とても前に読み終えた本なので感想も忘れかけているのですけど、思い出せる範囲で簡単に記録しておきます。

帯に大賞受賞作と書いてあって買ったのだと思いますけど、大賞だけあって、めちゃめちゃおもしろかったです。読んでいてわくわく感がありました。

実際の地名がかなりリアルに出てくるので、読んでいてとてもイメージが沸きました。グーグルマップやストリートビューから情報を集めて真相に近づいていく感じもちょっとリアル感があって、わくわくしました。

ストーリーも、少しずつ事件の真相が判明していく感じで、最初から最後まで楽しかったです。主人公の思考回路というかキャラクターも好感持てる感じで、良かったです。引きこもりの土生井というキャラクター設定も、おもしろかったですね。

この作者はこれがデビュー作らしいですけど、2作目3作目が出たら絶対買おうと思います。

NHK出版新書『現金給付の経済学』感想

井上智洋『現金給付の経済学』NHK出版新書 2021年5月刊

 

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ベーシックインカムを導入すべきという内容の本。社会保障は残しつつ2階建てでベーシックインカムを導入するのがベストいう内容で、自国通貨の国は政府が借金をしたり赤字になったりしても問題ないのでどんどん現金をばらまくべきという内容でした。インフレの様子を見ながら。いったんベーシックインカムで全員に配ったあと高所得者からは増税して取り返せばいいという意見も。一理あるなと思いながら読みました。

都内で税理士をしている私の感覚だと、この2020年~2021年ってお金が世の中にあふれたせいでインフレになっていると思うのですよね。コロナ禍で色々な給付金がありましたし。株式や仮想通貨の相場は上がっていますし、それ以外でも不動産の価格なんかも上がっていますよね。あとは高級車を買おうとしたら納車まで半年待ちとか、箱根とか熱海の高級ホテルは予約がすごい入るとか。景気のいい話をよく聞きます。とはいえ日用品の価格は上がっていないと思いますので世間的にはインフレではなくデフレなのかもしれません。なんだか不思議な話ですけど。

私もベーシックインカムについては結構賛成派なのですけど、公平になりそうなのが良いなと思っています。現状は国や都市へ入った税収って政治的な思惑で色んな業界に割り振られていってる状態だと思いますけど、それだとどうしても選挙で投票してくれる業界へ多く投資するとかそういう仕組みになってしまいますよね。なるべくそういう裁量の入る余地を少なくしながら社会がまわる仕組みに変えていった方がいいと思います。現状だと老人の医療に対してお金を使いすぎてると思いますし、ベーシックインカムを導入してそういうかたよった部分を減らしていくのが国のためには良いんじゃないかと思います。ただ、政治家の人は反対しそうですよね。公務員の人たちもかな。その裁量の部分が仕事になったり権力になったりしているわけですし。