読んだ本の感想など

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『エンタテイメントの作り方』感想

貴志祐介『エンタテイメントの作り方』角川新書 2017年10月刊

 

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吉祥寺パルコ地下のパルコブックセンターで購入。新刊と思って購入したら2015年の単行本に修正を加えたものらしい。エンターテイメントではなくエンタテイメントなのは日本語のこだわりのようなものがあるのだろうか…作中では触れられてませんでしたけど。

この作者の小説は、私は『新世界より』だけ読んだことがあります。上巻中巻下巻の3冊という大作でしたけど、下巻は本当に一気読みでした。めちゃめちゃおもしろかった。あとは『悪の教典』は映画版を見たことがあります。前情報なしで見たら途中からいきなり教師が生徒をどんどん殺し始めて、すごい衝撃を受けました。え、そういう映画なの!?って。おもしろかったですね。そしてちょうど今、とてもタイムリーなのですけど、おすすめされて『黒い家』を読んでいる途中です。

この『エンタテイメントの作り方』ですけど、小説家の作者がどういう風に小説を書いているか、どういう風に小説を書くのがよいか、とても興味深い内容の本でした。なんか、小説の書き方について、「これが正解!」みたいに言うわけではなく「自分はこれがいいと思う」みたいな柔らかい言い方になっていて、この作者が経験上たどり着いた考えみたいな感じで、どれも説得力を感じました。小説家が小説の書き方について語るという内容で具体的なアドバイスばかりなのに、まったく上から目線感がないのがすごい。なんかそういうところでプロの文章ってすごいなと感じてしまいました。内容も、全体的にふんふんと納得できるものばかりでした。叙述トリックやラスト1行のどんでん返しは「読者の信頼を悪用している」部分があるので簡単に手を出すべきではない、とか。女性キャラの「~~だわ」口調や老人キャラの「わしは~~じゃ」口調は非現実的で不自然な印象を与えてしまう、とか。

あと、何度も推敲するのが良いという話もありました。何日か置いてから読み返して訂正するのもよい、と。このブログの文章も読み返して修正とかするべきかな…。今度暇なときに。(と言ってやらないパターン。)

いま『黒い家』を読んでいてすごいおもしろいですし、この機会にこの作者の他の作品も読んでみたいですね。