読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

小野寺史宜『ひと』ネタバレ感想

小野寺史宜『ひと』祥伝社文庫 2021年4月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

吉祥寺キラリナ7階の本屋で購入しました。この本屋は新刊コーナーが見やすくて、好きですね。トイレも綺麗だし。

井の頭線直結なので、電車を1本ちょうど逃して次の電車が7分後という状況になったときにこの本屋に行ったりしています。そして7分過ぎてもう1本逃すという。

というわけで、新刊コーナーではなかったですけど目立つ場所に平積みにされていたこの『ひと』。まったく知らない作者の本でした。文庫ベストテン第1位のようですが、正直、そこまででも…という感じでした。別につまらなくはなかったですけど、1位というほどでは…。

会話がすべてテレビドラマみたいで、さすがにリアリティがなさすぎると思いました。なんだか全体的にテレビドラマのノベライズ的な雰囲気というか。最近のGoogleの広告動画で明け方の海辺を1人で歩いている男が「もう寝る?」「何度目のおやすみだよ」とかリアリティ0の棒読み会話をしている動画がありますけど、なんかそんな感じというか。友達に合い鍵を渡すシーンの会話文「お前、マジでいいやつだな。普通、友だちに部屋の合いカギを渡さないだろ」とか「どこの馬の骨かもわかんないおれだぞ」とかそういう。このあとこのキャラクターが合カギを使ってよくないことをするという展開なわけですけど、物語展開のための会話文という。

不幸な主人公が出会う人たちに恵まれて、というか主人公が恵まれたと感じながら、少しずつ目標を見つけていくという展開は好感を持てました。応援できる感じ。最後まですいすいと読めました。良い展開で良い終わり方だったなぁと思います。

お金をたかりに来る親戚のおじさんとか、いちいち性格の悪い発言をする元彼氏の人とか、絶妙にウザいキャラクターの描写がうまいなぁと思いました。リアリティは置いておいて、わかりやすいキャラクターって感じで、読みやすかったです。

鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人』ネタバレ感想

鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック』宝島社文庫 2022年2月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

吉祥寺アトレ2階の本屋で買いました。寝る前に少しずつ読み進めて、1週間くらいで読破しました。

最初はキャラクターの会話のノリにまったく馴染めなかったのですけど、最後の方は割と普通に読めました。慣れたというか。登場人物がどんどん死んでいって変な感じの会話劇が少なくなっていったからかもしれません。

完全にフィクションに振り切った設定で、序盤からずっと作者が「これはフィクションですよ」「こういうファンタジー世界観ですよ」と主張し続けているような作品でしたけど、そういうのは嫌いじゃなかったです。密室殺人が日本中で常におこなわれている世界観という。殺人に対する軽さとか。人を殺して「さて、では密室を作りますか」と言う犯人とか。おもしろかったです。密室以外のことは些細なことだから犯人は教える、とか。「すべてを密室に捧げなさい」とかパワーワードだなぁと思いながら読みました。すべてを密室に捧げないと密室の謎は解けない。

ここからネタバレで語ります。

密室の謎解きについては、1個目の「ドアを開けたタイミングで鍵が室内に滑り込んでいく」は結構わくわくしましたけど、2個目以降はあんまり…という感想でした。でも最後の扉を交換するのはおもしろかったですね。予想できなかったです。めちゃめちゃ無理があるオチでしたけど。1人で扉を抱えて階段を昇り降りして運んで交換するとか。作中の密室殺人のパターン分類でいうと「⑨合鍵を使う」に含まれそうな気もしますけど、扉を交換して「鍵を増やした(室内の鍵を合鍵にした)」というような感じですからまたちょっと違うのかな。

こういうトリック全開のミステリも、なかなかおもしろかったと思います。仕事も落ち着きましたし、これから色々と小説を読んでいこうと思います。

日経プレミア『「あざとい」伝え方入門』感想

山本御稔『「あざとい」伝え方入門』日経プレミア 2021年12月刊

 

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久しぶりのブログ更新になりました。やはり確定申告の時期はいそがしいですね。今はようやく暇になったので、のんびり読書したり勉強したり美術館に行ったりしながら過ごしていこうと思います。

コミュニケーションについての色々な事例紹介みたいな内容の本でした。こういうときにはこういうテクニックがあります的な。なかなか興味深く読めました。会議やプレゼンについての事例が多かったです。

ちなみに、帯の「1杯1万円のコーヒーがなぜ売れるのか」の事例は、スペインのお店の話で、コーヒー1杯でフラメンコのダンスを1時間楽しめるから客はフラメンコのダンス目的でその店へ行くという話でした。うーーんって感じですよね。それなら1万円は安いという理屈で。うーーん。全然コーヒー1杯を1万円で売っていない。もはや飲食業ですら無い。これで「1杯1万円のコーヒーがなぜ売れるのか」と言われても、せこいというか、言い方というか…。単なるワンドリンク制というか。でも、こういうことって世の中めちゃめちゃありますよね。世の中せこい大人だらけです。特に本業界のこういう帯は典型で、ユーザーをだましてでも買わせればよいという感じですよね。受賞作じゃなくても「〇〇大賞受賞」みたいな。

この本の中で挙げられていた事例の中には興味深いものも多かったです。さらさらっと読めて、良い本でした。