読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

税理士として独立開業して一年が過ぎました

東京都杉並区高井戸で税理士事務所を開業して、1年が経過しました。

私は完全に0からのスタートです。他の事務所から顧問先を引き継ぐようなことは一件もありませんでした。

 

雑感というか。

いまどきの開業税理士ってこんな感じです、みたいなことを書いていこうと思います。

 

まず売上について。これははっきり言ってまだまだ少ないです。自分の事務所の売上だけではとても暮らしていけません。

半年間くらい新規のお客さまが一件も増えなかった時期もありました。問い合わせも特にありませんでしたし、その時期は本当に税理士という職業に対して「おいおい大丈夫か…?」くらいに思ってました。こんな状況だと開業する税理士が減っているのも納得だなぁと。

ただ、8~9月くらいから新規のお客さまが来るようになって、1年終わってみれば10件以上も顧問先ができました。相続や譲渡所得の大きな仕事も入ってくるようになりましたし。

 

いま現在の私がどうやって生計をたてているのかというと、他の税理士事務所のヘルプです。週2~3日で入ったり、単発で相続の仕事だけヘルプで入ったり、などなどです。

日給だったり1件いくらだったりしますけど、正直そんなに割は良くないです。仮にフルで入ったとしたら東京都の平均年収になるくらいじゃないでしょうか。独身一人暮らしなら贅沢できるけど結婚して家庭を持つならもっと稼がないと、くらいの水準というか。それくらいの水準なので、今後はそういう仕事は減らしていって自分の事務所の仕事を増やしていく必要があります。

 

それとは別に区役所などでの税務相談の仕事も不定期で入ります。これは税理士会からくることが多いです。たまに他の先生から依頼が来たり。

1対1の税務相談だったり5~10人相手にお話するスタイルだったり色々ですが、私はもちろん得意な方なのでどんどん私にまわしてほしいと思っているのですけど、基本的に順番でまわってくる感じですね。

そういう場所で名刺をお渡しした方々から後日お電話があって顧問先に、というのが一つの流れとしてあります。

 

売上についてはこんな感じです。

営業活動などは一切していないです。

 

ちなみに、業種で特化するなどはまったく考えていないです。〇〇業界専門税理士みたいな。あるいは相続税専門税理士みたいな。色々な業種の人とお話できるのがこの仕事の楽しいところなので、すべての業界のすべての税金についてご相談くださいというスタイルです。

強いて言えば相続税が得意ですけど、法人税所得税もできますし、消費税も得意です。

カフェ大好きなのでカフェ専門税理士ならちょっとなってみたいかもしれませんけど、カフェの顧問先はまだ一件もないですね。カフェについてはカフェ兼税理士事務所として開業しようと考えていたくらいです。まぁ夢で終わりましたが。

 

もっともっといくらでも話せそうですけど長くなりそうなので今回はここらへんで。

 

今後の展望としては、やはり駅前にオフィスを開きたいです。

いまは高井戸駅から徒歩10分のところに自宅兼事務所として開業しているのですけど、やはり人を呼びづらいです。高井戸駅前で、めちゃめちゃかっこいいオフィスを開きたい。洗練された雰囲気の。

人も雇いたいですね。働き方改革でテキトー出社テキトー帰社でその日に溜まってる仕事をこなしてくれるような人を。

 

今のところは順調といえば順調で、とてもありがたいです。

自分の事務所の売上だけで暮らしていけるようになるのはあと何年かはかかるだろうと思いますけど。

ただ、他の税理士事務所でヘルプするのも楽しいといえば楽しいので、そちらを0にするのもなぁ~という悩みどころもあります。嬉しい悩みなのですが。他の税理士先生がたからの「うちの事務所へ週何日か来てほしい」というようなお話は1年間で4~5人からありましたし、いつの間にか税理士業界も売り手市場です。

そういえば他の先生がたからはたまに合コンに呼んでもらったり独身女性を紹介してもらえたりもあって、そういうのもまたありがたいですね。色々な先生に色々な恩ができた。だいたい毎日飲み会が続いて連絡しないうちに消滅みたいな感じばかりですけど。まぁ一生独身でもそれはそれで。

瀬川コウ『今夜、君を壊したとしても』ネタバレ感想

瀬川コウ『今夜、君を壊したとしても』講談社タイガ 2018年11月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

『今夜、君に殺されたとしても』の続編ですね。吉祥寺キラリナ7階本屋で、新刊コーナーで見つけて購入しました。前作の表紙はアザミだと思いますけど今作の表紙は主人公の終くんなのですかね、きっと。

前作に続いて、さらさらっと読めて、続きが気になる展開で、おもしろかったです。

 

seoma.hatenablog.com

一応、前作のときに書いた感想を。

 

続きが出たら買いたいですと書いてますね。宣言通りに、買いました。

アザミがタクシーで学校へ向かったとき運転手を殺そうとしたら「お金はいいよ。事情があるんだろう?」と言われるシーン、作者のセンスがめちゃめちゃおもしろかったですね。そのあとの警察官から優しくされるシーンも含めて、とても良かった。

前作のときは台詞が芝居口調なのが少し受けつけなかったと感想を書いていますが、今作ではそこまで感じなかったです。割と抵抗感なく読めました。私が作者の文体に慣れたってだけかもしれませんけど。

キャラクター設定や心情描写にリアリティがないのはやはり気になるといえば気になりましたけど、作中できちんとルール付けされている部分もあり、そういうところについては納得しながら読めました。門をくぐった人間は常識的な感覚とは違う行動をして門をくぐっていない人間は常識的な行動をするという作中ルールですね。そして門をくぐっていないけど非常識な行動を取ることもある主人公、と。

キャラクター設定や心情描写がファンタジーだとどうしてもリアリティを追及することからの逃げのように見えてださく見えるということがあるのですけど、きちんと作中ルールがあって理屈付けされていればファンタジーも許容できることもありますね。この作品は全然普通に読める方だったと思います。神楽果礎の存在は今のところ必要ない感じですけどこれから設定が明かされていくのですかね。

中村文則『あなたが消えた夜に』ネタバレ感想

中村文則『あなたが消えた夜に』毎日文庫 2018年11月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

なんか写真がぼやけてしまってますが、撮り直しはめんどいので、このままで…。

Twitterでおすすめされて購入しました。つい先月に出たばかりの新刊ですね。ただ、おもしろいと言われていたのですが、私が購入して読み始めたくらいで「途中からぐだぐだになった」と言われました。もう買っちゃったよ…。

てことで最後まで読み切ったのですけど、まぁたしかに、中盤からは冗長感がありました。もうネタバレで語りますけど中盤からは犯人視点の手記パートで、裏側が明かされる感じなのでおもしろい部分もあったのですけど、主人公&ヒロインがいっさい出てこなくなって、ぽっと出の犯人キャラの話がひたすら続くという、ものすごい物語構成でした。割としらける感じがありましたね。長さ半分くらいで良かったんじゃないかな、という。

主人公とヒロインはとても好感もてました。この2人のキャラクターがこの小説の魅力の大部分だと思います。特にヒロインですね。変な人って感じのキャラクターでしたけど、発言がおもしろくて、年上相手に素直に発言して許されてるあたりが天才っぽいのも好感もてる。最初に美人設定と言ったあとはひたすら貶めるような描写ばかり続いてましたけど、バランスとるためなのか、それもまたおもしろかったですね。

序盤の、2人が通行人に話しかけてそのまま逮捕するシーン、自然にと話していたのにいきなり「すみませーん」と声をかける展開からの、ペダルに右足をかけたからすぐ近くに行くためにそういう声のかけ方をしたという流れはめちゃめちゃおもしろかったですね。結果的にはこの数ページがこの小説の中で一番おもしろかった。一番わくわくできた。

というわけで、後半の手記パートは主人公とヒロインがいっさい出てこなくって寂しかったですね。めっちゃおもしろいと思ったら失速…みたいな作品だったと思います。でもこの作者の他の小説は、またおすすめされたら買ってもいいかなくらいには思いました。