読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

光文社新書『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』感想

山田昌弘『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』光文社新書 2020年5月刊

 

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吉祥寺アトレのブックファーストで購入しました。最近はアトレも今まで通りの混み具合になってきてますよね。今日の昼ご飯をアトレ地下1階のレストラン街の韓国料理のお店で食べたのですけど普通に満席でした。隣の寿司屋さんとか牛タンの店なんかは行列ができていました。コロナ前もコロナ後も変わらず思いますけど、これだけ飲食店であふれているのに行列ってなかなかすごい話だと思います。それ以上に人が多いとも言えますし、集客のある店はライバルがどれだけあっても関係ないのだなぁとも思います。

まぁそれはいいとして。少子化問題についての本でした。普段はあまり考えることがありませんけど、この国はものすごい少子化になっているらしいですよね。実際、コロナで減ったとはいえ街に出ると老人ばかりですし。すごい国だなぁと思いながら生きています。色々なニュースを読むと少子化対策がいっぱいおこなわれているのだろうなと感じますけど、それでも少子化なのですよね。現代日本人として素直に思いますけど、少子化なのはとても納得です。当然そうなるだろうなぁという感じです。独身の人でいっぱいですし。実際この本の結論でも雇用や社会の風潮などが変わらなければ少子化は解消しないだろうという話だったのですけど、それについても素直に納得です。その通りだなぁという感じです。

ちなみに私も子供がいませんので、少子化に思いっきり貢献しています。まだ結婚生活1年目なのでこれから生まれる可能性はあるかもしれませんけど。私の場合はそもそも20代~30代前半までは税理士試験の勉強をしていましたので、結婚を考えること自体ありませんでした。可能性0%って感じでした。飲み会とか合コンの誘いを普通に断っていましたし、断っていたら誘われなくなってましたし。税理士になってからようやく結婚について考えるようになりましたけど、結婚に結びつくような出会いはなく、独立して3年目の最近になってようやく結婚できました。そういえば、独立したら収入が減るから結婚は独立して成功して安定してからかなーとはぼんやり考えていました。そして実際その通りになりました。独立して生活していけるようになってから偶然に妻の人と出会えたのでそのまま結婚しましたけど、その出会いがなければ今も独身だっただろうなぁと思っています。もう典型的な現代日本人だと思います。完全にど真ん中だと思います。みんな私と同じような感じだからこの国は少子化なのだろうなって感じです。

税理士はそこそこもてる方の職業ですし、私も言ってもさわやかなタイプなので、どちらかといえばもてる方の人間でした。税理士試験が終わってから、そろそろ結婚したいなと思って周りの人に彼女いないですーと言っていたら、それなりに紹介してもらえました。でもその中の誰とも結婚しなかったわけです。今の妻とは紹介ではなく偶然の出会いでした。私が周りの人に「好みのタイプはわからないので合いそうな人を誰でも紹介してくださいー」と言っていたせいかもしれませんけど、結婚という意味で自分と合う人はあまりいませんでした。それでも色んな人と会って話してデートして、色んな人の価値観や考えに触れることができて、とても楽しかったです。世の中色んな女性がいますし、色んな職業もあって色んな男性もいて、色んな人生がある。ずっと一生独身でもいいなとは素直に思っていました。世の中独身女性ばかりなのでデートする相手にも困らないですし。なんだか話がそれた気がしますけど、つまり、ものすごく気が合う人と出会えたら結婚しようという気持ちでした。それで偶然に出会えたので結婚してもらいました。出会えなかったとしたら今も独身でしょうし、色んな飲み会に行ったりしながら一人で楽しく過ごしていると思います。

この社会は合わない人と結婚してもきついだろうなぁとは思っていました。サラリーマンの働く環境がきつすぎますし。満員電車やブラック企業の問題やセクハラパワハラなどは当然おかしいとして、0時まで飲んだ次の日に9時に出勤しないといけないという文化なんかもおかしいですよね。そのレベルからきつい。私は全然9時に出勤できる方のタイプでしたけど、それでも社会がきつすぎるなぁと思います。0時まで飲んだ次の日は12時くらいに出勤できるような社会じゃないと、みんな結婚しないと思います。もちろんそれは一例で、この国の働く環境が楽にならないと、ぐらいのつもりですけど。

他にこの本の内容で納得感があったのは、少子化対策が欧米を前提としたもので、アジアの風土には合っていなかったという指摘で、読んでいてなるほど~と思いました。あまり考えたことなかった話でしたけど納得感はありました。この国の少子化対策がうまくいっていないのは老人優先で少子化対策は力が入ってないのかなーぐらいの意識でした。次世代よりも現世代優先、みたいな。もともとやる気ない、みたいな。

これからも少子化が続きそうですよね。有効な少子化対策をとるのが難しいというのがこの本の結論でもありますが、私も素直にそう思います。もう少子化少子化でしかたない、みたいな気持ちはありますね。この現代社会のそういうところも好きですし。独身なら独身でいいという空気。とは言え、もっと色々なことが楽になっていけばいいなぁとは思います。ビジネス環境については、くだらない風習は私たちの世代でしっかりなくしていくべきという気持ちもありますし、この社会を良くするために、がんばっていきたいですね。まぁ少子化少子化で私は別にいいですけど。

阿津川辰海『紅蓮館の殺人』ネタバレ感想

阿津川辰海『紅蓮館の殺人』講談社タイガ 2019年9月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

買おうとしたら本屋では売り切れで、結局Amazonで購入しました。それも取り寄せ?とかで一週間くらいかかっていたと思います。忘れたころに届いてました。最近の小説なのかなと思っていたら、いま見たら2019年9月と書いてありましたね。全然知らなかった。

最近は本屋がすべて開いていて、仕事帰りにふらっと本屋に寄って買い物したりもできるので、日常が戻ってきたなぁって感じですね。買うものが決まっていたらAmazon電子書籍でも良いのでしょうけど、Amazonはやっぱりランキングがひどいですし、お薦めの精度もまだまだ低すぎるので、リアル店舗でずらーっと並んでいるものの中から買うのが現状では最強ですね。たまに古い本が新刊コーナーで平積みにされてるのと帯でネタバレしてくるのが困るくらいで。リアル店舗並みの精度で本を選べるアプリとかサイトとかができたらそこで買うのですけど、いつかできることがあるのかなぁ。緊急事態宣言で外出自粛の期間に生まれなかったらもう生まれないんじゃ…って気もしますよね。まぁ無いなら無いでリアル店舗で買うので問題ないのですけど。そういえば緊急事態宣言の間に営業していた本屋がめちゃめちゃ混んでましたね。あの店はバブルが来てた。

ということで、紅蓮館の殺人。おもしろかったです。後半は一気読みでした。続きがめちゃめちゃ気になって、ぐいぐい読む感じでした。

序盤は、話のノリというか、ストーリー展開に違和感のようなものを感じていました。都合の良さを感じたというか。うーーんこれおもしろいのかなぁという気持ちでした。火が近づいてきているというのも全然緊張感なかったですし。そういえば館焼失まであと何時間みたいな文言が毎回ありましたけど、あれもあんまり意味なかったんじゃ…と読み終えてから思いました。

ネタバレで語りますが、後半になって、登場人物がみんな詐欺師や泥棒や探偵だったというのが判明したあとは、めちゃめちゃおもしろかったです。序盤の違和感というか変な感じのノリもなるほどな~ってなりましたし。全員が目的があって行動していたという。探偵の飛鳥井光流というキャラも、序盤は存在意義がわからないレベルでしたけど、終盤はとても良かった。このキャラが真犯人でしたオチでもないと存在意義が無いんじゃ…くらいに思ってましたけど、全然、存在意義ありましたね。

爪という殺人鬼についても、該当者がいないんじゃ…という感じでしたけど、序盤の久我島さんの反応が本当に知らない状況に驚いていたということで、うまいオチだなぁと思いました。この久我島さんが「みんなで探偵を殺しちゃいません?」みたいなことを言い出すシーンはめちゃめちゃおもしろかった。最後まで二転三転があって、意外性あってとても良かったです。

高校生探偵の主人公たちについても語られてないエピソードなどがあるっぽくて、奥行きを感じましたね。2作目3作目なのかなと思ったくらいです。

これが1作目だと思いますし、とてもおもしろかったので次の作品も期待していこうと思います。出たらまた買いたいですね。

光文社新書『炎上CMでよみとくジェンダー論』感想

瀬地山 角『炎上CMでよみとくジェンダー論』光文社新書 2020年5月刊

 

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今月出たばかりの新刊ですね。吉祥寺キラリナ7階の本屋で買いました。いつの間にか本屋はオープンしていました。キラリナ3~6階はすべて閉まっていて、7階8階のためだけにエスカレーターが動いている状況でした。薄暗い中をエスカレーターでのぼっていって不思議な感じでした。改装中のビルみたいだった。

というわけで、炎上CMについての本。私は結構Youtubeを見る方なのでCMもよく見る方なのですけど(最近はダイエット食品?とかの漫画っぽいCMが多いですね)この本で取り上げられているCMは、CMとしてではなく、話題になっていたからYoutubeで見た、というものばかりでした。まったく見たことがないものもいくつかありました。

ジェンダー論についても炎上の仕組みについても読んでいて納得感があって、読みやすくて良い本でした。仕事の合間にさらさらっと1~2日で読み切りました。取り上げられてた事例についても、これは炎上するだろうなぁという納得感のあるものばかりでした。そもそもよくこんなものを世に出したなぁという感じで。ルミネの上司に需要がどうとか言われるCMも当時Youtubeで見て素直にキモかったですし、ワンオペ育児きついけどがんばれ系のCMも普通は言わないだろう…って感じです。本当に、なぜこのCMが世に出たのか…という感じです。本の中では制作現場に女性がいないことなどが原因として推測されていましたけど。ダイバーシティに難があるのだろうなぁとは私も思います。あとはたぶんターゲット層をしぼったつもりなのだろうなというのはわかりますね。これを良いと思う人へ届け!みたいなつもりで世に出しているのだろうと思います。それに対してターゲット層以外の人がかみついてきて炎上した、みたいな。それで言うと私もあきらかにルミネからも母親応援系からもターゲット層扱いされていないでしょうし、私が何か言うのも違うのかなという気持ちはあります。実際特に何も言う気はありません。最近だと深夜ラジオで女性蔑視的な発言をしたお笑い芸人の人がYoutubetwitter転載で拡散されて炎上したというニュースもありましたけど、ああいうのもターゲット層以外の人が不快に思って叩いて、という流れですよね。もっと前だとコンビニアルバイトの人がインスタのストーリーにあげた動画がYoutube転載で拡散されてバイトテロとして炎上したというニュースもありましたね。当時の私の感覚だと、全然関係ない人たちがそこまで言うか?って感じでした。そのコンビニの店長が怒るならわかりますけど。なんかちょっと話がそれてしまいました。ターゲット層をしぼったつもりだったとしてもSNSやCMとして世に出したからには全世界の人がターゲットだという考えもあるでしょうし、間違ってないと思います。

最終章の、東大の男女比率が偏っているのは女子が東大を目指さないからというのは、この国の色々な問題が凝縮されてますよね。もっと女子が東大を目指せる社会になっていけばいいなとはすごく思いますけど、社会の色々なところが変わっていかないとそうならないのだろうなぁと思います。男が下駄をはかせてもらっている、という言い回しが本の中でありますけど、これは完全に同感です。男は人生設計とか社会へのかかわりとかそういう部分において楽をしているなぁと思います。努力だけしていればいいというか。例えば自分に男の子が生まれたとしたら東大を目指せと素直に言えると思いますけど、自分に女の子が生まれたとして東大を目指せと言えるかというと、うーん、まぁ普通に言えるでしょうけど、それは自分が都内の杉並区暮らしだからかもしれない。そもそも〇〇を目指せということ自体言わない可能性もありますけど…。