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光文社新書『炎上CMでよみとくジェンダー論』感想

瀬地山 角『炎上CMでよみとくジェンダー論』光文社新書 2020年5月刊

 

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今月出たばかりの新刊ですね。吉祥寺キラリナ7階の本屋で買いました。いつの間にか本屋はオープンしていました。キラリナ3~6階はすべて閉まっていて、7階8階のためだけにエスカレーターが動いている状況でした。薄暗い中をエスカレーターでのぼっていって不思議な感じでした。改装中のビルみたいだった。

というわけで、炎上CMについての本。私は結構Youtubeを見る方なのでCMもよく見る方なのですけど(最近はダイエット食品?とかの漫画っぽいCMが多いですね)この本で取り上げられているCMは、CMとしてではなく、話題になっていたからYoutubeで見た、というものばかりでした。まったく見たことがないものもいくつかありました。

ジェンダー論についても炎上の仕組みについても読んでいて納得感があって、読みやすくて良い本でした。仕事の合間にさらさらっと1~2日で読み切りました。取り上げられてた事例についても、これは炎上するだろうなぁという納得感のあるものばかりでした。そもそもよくこんなものを世に出したなぁという感じで。ルミネの上司に需要がどうとか言われるCMも当時Youtubeで見て素直にキモかったですし、ワンオペ育児きついけどがんばれ系のCMも普通は言わないだろう…って感じです。本当に、なぜこのCMが世に出たのか…という感じです。本の中では制作現場に女性がいないことなどが原因として推測されていましたけど。ダイバーシティに難があるのだろうなぁとは私も思います。あとはたぶんターゲット層をしぼったつもりなのだろうなというのはわかりますね。これを良いと思う人へ届け!みたいなつもりで世に出しているのだろうと思います。それに対してターゲット層以外の人がかみついてきて炎上した、みたいな。それで言うと私もあきらかにルミネからも母親応援系からもターゲット層扱いされていないでしょうし、私が何か言うのも違うのかなという気持ちはあります。実際特に何も言う気はありません。最近だと深夜ラジオで女性蔑視的な発言をしたお笑い芸人の人がYoutubetwitter転載で拡散されて炎上したというニュースもありましたけど、ああいうのもターゲット層以外の人が不快に思って叩いて、という流れですよね。もっと前だとコンビニアルバイトの人がインスタのストーリーにあげた動画がYoutube転載で拡散されてバイトテロとして炎上したというニュースもありましたね。当時の私の感覚だと、全然関係ない人たちがそこまで言うか?って感じでした。そのコンビニの店長が怒るならわかりますけど。なんかちょっと話がそれてしまいました。ターゲット層をしぼったつもりだったとしてもSNSやCMとして世に出したからには全世界の人がターゲットだという考えもあるでしょうし、間違ってないと思います。

最終章の、東大の男女比率が偏っているのは女子が東大を目指さないからというのは、この国の色々な問題が凝縮されてますよね。もっと女子が東大を目指せる社会になっていけばいいなとはすごく思いますけど、社会の色々なところが変わっていかないとそうならないのだろうなぁと思います。男が下駄をはかせてもらっている、という言い回しが本の中でありますけど、これは完全に同感です。男は人生設計とか社会へのかかわりとかそういう部分において楽をしているなぁと思います。努力だけしていればいいというか。例えば自分に男の子が生まれたとしたら東大を目指せと素直に言えると思いますけど、自分に女の子が生まれたとして東大を目指せと言えるかというと、うーん、まぁ普通に言えるでしょうけど、それは自分が都内の杉並区暮らしだからかもしれない。そもそも〇〇を目指せということ自体言わない可能性もありますけど…。