読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

中田永一『私は存在が空気』ネタバレ感想

中田永一『私は存在が空気』祥伝社文庫 2018年12月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

渋谷モディのHMVブックスの新刊コーナーに並んでいたのを見て購入しました。渋谷モディはたまに行きますけど、雰囲気よくて好きですね。

この作者の小説はとても好きで、だいたい読んでいると思います。乙一名義の小説は大昔の学生時代のころから買って読んでました。たぶん出ている本はすべて買っていたと思います。めっちゃ好きでしたね。今も好きですけど。この中田永一名義の本も『百瀬、こっちを向いて。』『吉祥寺の朝日奈くん』どちらも読んでます。どっちもめちゃめちゃ良かったですね。特に吉祥寺の~は地元が舞台なので最高でした。出てくる風景がすべてリアルにわかりましたし、話も本当に吉祥寺っぽさがあって良いタイトルだったと思います。そういえばこの『私は存在が空気』でも吉祥寺の東急裏あたりが舞台になっている話がありましたね。

今作は、ネタバレで語りますが、色んな超能力者の短編集という感じの作品でした。表紙を見て普通の現代の日常生活ものだろうと思っていたらまさかのファンタジー設定で、驚いた。超能力についてはよくある設定と言えるのかもしれませんけど普段こういうの読まないので逆に新鮮に感じました。なんか、久しぶりにこういう設定の小説を読んだなぁって感じで。どれも安定しておもしろかったですけど、やっぱりタイトル作の「私は存在が空気」が一番よかったと思います。作中でひっかけもあり。意外性あるオチで、良かったですね。逆に、なんかすごい短い「恋する交差点」という話は良さがよくわかりませんでしたけど…。何かの伏線なのかと思いましたけど最後まで特に何もなくて、あれで終わりだったっぽい?

超能力者が日常に溶け込んでる設定で、割と堂々と超能力を使いながらも許されている雰囲気はとてもおもしろかったです。バレなかったり、バレてもやりすごせたり。全体的にさらさらっと読めて、一気読みに近かったです。文体も読みやすいですし、ストーリーの続きが気になる感じで、どんどん読めました。どの話もちょっと切ない感じの結末なのもまた良かったですね。

とりあえずこの作者の小説は今後も買い続けていこうと思います。最近はあんまり出ていないみたいですけど。

『あの会社のスゴい働き方』感想

日経産業新聞『あの会社のスゴい働き方』日経ビジネス人文庫 2019年2月刊

 

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今月出たばかりの新刊ですね。本屋の日経新聞関係の文庫・新書のコーナーで並んでいたのを見て購入しました。こういうさらっと30分で読める系の文庫も嫌いじゃないです。

働き方改革っぽい事例が順番に紹介されていく内容の本でした。社員の勤務時間を短くしたという事例が10件くらい紹介されていました。だいたいどれにも共通する話として、人が一人二人休んでも何とかなるようなシステムを作るためにこういうことをしました、というような話が並んでいました。仕事をマニュアル化・仕組み化して社員の誰でもその仕事をできるようにしたという事例が特に多かった印象です。あとは、仕事の引き継ぎのシステムをしっかり作って、誰でもいつでもその仕事を引き継げるようにしたという内容もありました。この仕事はこの人じゃないとできないというような会社だと、その人は簡単に休めなくなりますし、自分で仕事を終わらせないといけないから仕事時間もどんどん伸びていってしまう可能性がある。やはりそういうのは今どきよくないですよね。ちなみに税理士事務所なんかは仕事ごとに担当者がいてこの仕事はこの人じゃないとわからないみたいな事務所が多いと思いますが…。従業員としてはそれはそれで自分の裁量で仕事できるので楽な面もあるでしょうけど、まぁ1ヶ月間の休暇なんかは取りづらいシステムですね。

私の事務所で人を雇うことになったら、という視点で考えながら読みました。今は一人だけ会計士の人を土日中心のアルバイトとして雇っているのですが、これは気心しれた友人なので、正直お互いテキトーな雇用関係です。常勤として人を雇う場合、まぁ2~3年後の話になるかもしれませんが、やはり仕事は徹底的にマニュアル化して誰でもできる状態を作っていくべきかなと思っています。よくある税理士事務所の担当者制ではなく。この会社の仕事はこの人しかわからない、みたいなのはなくしていきたいなと思っています。入力や申告書作成の仕事なんかはマニュアル化してすべての会社を同じルールで入力・作成していくようにすれば割と簡単にそうできると思いますし。ただ、人と会って話を聞いたりする仕事はある程度担当者を決めた方がいいのかなとは思います。毎回別の人が応対するというのはやはりよくないかなと。そうすると実際どこまでマニュアル化できるのだろうか…という気はしますけど。税理士事務所の仕事なんて8割~9割くらい人と会って話をする仕事ですし。

私の事務所の将来像として今の時点でぼんやり考えているのは、入力や申告書作成などのマニュアル化できる仕事はすべてマニュアル化して、誰でもできる状態にして事務所全体でプールしておいて、従業員は事務所に来たいときに来てプールされてある仕事の上から順番にとってその仕事をやっていく、そして帰りたいときに帰る、みたいな。来客の予定だけは事務所で共有しておいてその時間には誰かがいるようにするとして。問題はそうやってマニュアル化できる仕事がどれくらいあるか、ですよね。かなり事務所を大きくしていかないとそのレベルまで到達しない気がします。まぁ、はやくても2~3年はかかりそうですね。のんびりやっていこうと思います。まずは駅前にかっこいいオフィスを開設しないといけない。

『利益を生むサービス思考』感想

宮崎辰『利益を生むサービス思考』光文社新書 2019年1月刊

 

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出たばかりの新刊ですね。吉祥寺駅ビルの本屋の新書コーナーで、新刊の棚に並んでいるのを見て買いました。いま写真を撮って初めて気づいたのですが、表紙に作者(?)の顔写真がどーんと載っていたのですね。この表紙を先に見ていたら買ってなかったかもしれない。棚から取って中身をぱらぱら見ただけでレジでカバーをかけてもらっていたので、まったく気づきませんでした。

まぁ作者の顔はいいとして、本の内容は、さらさらっと読めて共感できる部分も多くて、いい本でした。文体も読みやすかったです。

いいサービスとはどういうものかということについて語られた本でした。色々と納得できたり共感できたりする内容が多かったです。相手の立場にたって、相手が不快にならないように、喜んでもらえるように、そういう行動をするのが大事だという話とか。いつも同じサービスではお客さまは飽きてしまうので期待値を常に上回るのが大事だという話とか。あとは、いいサービスを提供するにはいい環境を用意していい教育をおこなうのが大事だという話とか。サービスは技術なので、努力して習得していくことも、教育によって人に習得させていくことも可能だということですね。

基本は気配りというか、相手の気持ちを思いやって行動することが大事ですよね。この本はレストラン業の話でしたけど、例えば税理士業でも基本は一緒ですし、おそらくサービス業だけじゃなくて色んな業種でそうなのだろうと思います。相手に喜んでもらえるようにと、相手の気持ちを考えて行動することができたら、それだけでクオリティ高い仕事になる。私は相手のことを好きになるのであとは自動的に相手のための仕事になるのですけど、色んな技術があると思います。

私も将来的には税理士法人にして人も雇っていきたいと思っていますけど、やはりこの本の内容の通り、情報をシェアしてマニュアル化していくことが大事なのだろうなと思っています。というか従業員教育や会社の社風についてはめちゃめちゃ思うところがあって、もう私の世代で死滅させたいビジネスマナーとかビジネス風習とかありまくるのですけど、まぁそういう話はまた別の機会に。というかまずは自分の会社で実現させていきたいです。