読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

『七つの海を照らす星』ネタバレ感想

七河迦南『七つの海を照らす星』創元推理文庫 2013年5月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

吉祥寺駅ビルのkirarina7階の本屋で購入。kirarina7階の本屋って、前はめちゃめちゃ通っていたのですけど今は半分くらいの広さになってしまって、それから足が遠のいてしまってます。空いているのとトイレが綺麗なのはいいのですけど、同じ空いているならパルコ地下2階のブックセンターの方が広くて好きです。トイレはkirarinaの方が全然広いのですけど。というかkirarinaは、最近の商業施設だけあって、トイレを快適に作りましたという話だったと思います。オープン当初そういうニュースを何度も見ました。

この作者の『アルバトロスは羽ばたかない』という本がそのkirarina7階本屋の新刊コーナーの目立つ位置に並んでいまして。最初はそれを買おうとしたのですけど、よく帯を見るとシリーズ物の2作目っぽい、それなら1作目の方を買ってみようという流れで、『七つの海を照らす星』の方を購入してみました。

買ってみて初めて知ったのですけど7つの短編から構成された小説で、その7つが学園の七不思議の謎解きになっているという内容でした。どの短編も伏線をものすごく散りばめていって最後にそれをがーっと一気に回収するという流れで、たまにちょっとそれは無理があるんじゃ…ってオチもありましたけど、基本どれも全部がすっきり解決するという良い終わり方ばかりでした。

ネタバレで語りますけど、佳音ちゃんという親友キャラには何となく違和感というか、読んでいて変な感じはありました。存在に必然性が無いというか。毎回出てくるけど、意味ある…?みたいな。だから、ちょっとめずらしく読んでる途中で考えてしまいまして、当たってたら嫌なのでなるべく考えないようにするタイプなのですけど、これは実は時系列が違うトリックなのではないか?とか推理したりしてました。主人公と佳音ちゃんが同じように話しているように見えて、実はこの短編だけ20年後の話でしたとかそういう。20年後も変わらず親友なので同じノリで会話をしているけど…みたいな。そんなオチを予測したりしてしまっていました。1話のキャラが登場するのは1話だけだったりしてましたし。まぁ結果的にぜんぜん違いましたけど。でも七不思議すべてに佳音ちゃんが絡んでましたというオチは意外性があっておもしろかったです。

作者名がローマ字読みの回文というのはまったく気づかなかったです。そもそも回文って作中でそこまで重要な要素になっているかな…?って感じもありましたけど。でもこの作者はこの作者名でこれからも小説を出していくということですよね、それはなかなかすごいなぁと思いました。この佳音ちゃんというキャラは作者的にめちゃめちゃ思い入れがあるということでしょうか。それか、もう1作目に全力を出して2作目以降のことはそのとき考えよう、みたいな?

とりあえず、このまま次作の『アルバトロスは羽ばたかない』も読んでみようと思います。

広島県 鞆の浦 年末1泊2日旅行

今年も広島の親戚一同で年末に旅行へ連れていってもらえました。12月30日から12月31日までの1泊2日旅行。29日まで仕事でしたので、30日に新幹線で広島へ帰り、そのまま旅行先の鞆の浦で合流して1泊するというなかなかハードな日程でした。しかも今回は新幹線の指定席を別の日時で取った後にこの旅行が決まって、もう指定席は買えなくて変更できなかったので自由席で、東京駅で始発に1時間くらい並んで何とか座って帰りました。30日午前中の東京駅は自由席の列がホームからあふれて階段下の1階まで伸びていて、ものすごい人の多さでした。それでも1時間並べば席をとれるくらいでしたけど。この時期は10分~20分間隔くらいでどんどん出てますし、どんなに混んでいる日でも東京駅で始発に1時間並べば自由席に座れるようですね。

 

そんなわけで鞆の浦です。おばあちゃんちから近いので何度か日帰りで行ったことはあったのですけど、泊まったのは初めてでした。鞆の浦は昔は駐車場が無いから車で行きづらい観光地と言われていたらしいですが、今は2階建ての広い駐車場ができています。古い街並みの中を散歩したり船で仙酔島という島へ行ったり、のんびり楽しめる観光地だと思います。崖の上のポニョの舞台だったり、坂本龍馬ゆかりの地だったり、色々なドラマの舞台だったり(流星ワゴンなど)するようです。

 

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景勝館というホテルに泊まりました。そこでもらえたパンフレットの中の地図を撮影。近くの鴎風亭と同じ系列らしいです。親族が経営してるとかで、景勝館の方が歴史は古いらしい。

鞆の浦はエリアが狭いので、このMAP全部歩いても1~2時間くらいです。カフェでお茶しながらでも半日あればって感じです。 街並みを歩いたり、船で仙酔島へ渡ったりして過ごす観光地って感じでしょうか。

 

景勝館

http://www.keishokan.com/

 

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おそらく鞆の浦で一番有名なスポット。常夜塔。

ちょうど着いたときが昼15~16時くらいで、ホテルに荷物を置いたあと街へ散歩に出かけたら、夕焼けが綺麗でした。12月30日でしたけど、街を歩いている人も多くなく、カフェもどこでも並ばずにすぐ入れる感じでした。休みの日にカフェに並ばず入れるって本当にすばらしいと思います。正直それだけでも旅行にでかける意味あるなって感じがします。吉祥寺だと休日にカフェに入れないですからね…。鞆の浦もカフェが多くって、たぶん6~7店くらいあったと思います。私はこの1泊2日で3店に入りましたけど、街を歩いてすぐカフェがあってふらっと入ってコーヒーを飲めるって最高の環境でした。

 

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鞆の浦の街並み。店の数は少ないですけど、カフェ以外だと、雑貨屋さんとか保命酒の店とかがありました。ただ、買い食いできる店はあまり多くないと思います。

 

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階段を登って民俗資料館のある丘の上から。この民俗資料館は年末年始は閉まってました。残念。

 

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同じ民俗資料館の丘の上。ちょうど夕方の時間帯で、天気も良くて、綺麗な夕焼けを見ることができました。

 

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おまけというか。散歩のあとは宿に帰って夕食を食べたあと、露天風呂に入ってきました。このとき完全に貸し切り状態だったのでささっと撮影。宿泊した景勝館と系列の鴎風亭のどちらのお風呂にも入ることができました。少し離れているのですけどホテルの人がワゴン車で送り迎えしてくれる感じで。

 

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翌日は平成いろは丸という船に乗って仙酔島へ。5分くらいの船旅です。

 

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仙酔島はなかなか広い島で、何種類もハイキングコースがあります。30分のコースとか1時間のコースとか、2時間くらいのコースもあるようです(歩いたことないのですけど)。今回は30分のコースをのんびり歩いてきました。

 

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この丘の上まで登って下りてくるのが仙酔島の30分のハイキングコース。瀬戸内海は波もなくっていつも静かですね。

本当はカキ小屋というものがあって一皿1,000円とかで山盛りのカキを買えてその場でバーベキューみたいに焼いて食べるという楽しみができたのですけど、というか完全にそれ目当てで仙酔島へ行ったのですけど、そのカキ小屋は1月1日以降のオープンだったようで、12月31日は開いてませんでした。これは本当に残念でした。ひたすらカキを食べまくってノロウィルスとガチバトルしようと話していたのですけど。

 

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おまけの富士山。行きの新幹線の中から撮影。

 

来年の年末年始は、今度は私やイトコたちで旅行を企画しておばあちゃんたちへプレゼントしようという話になっています。場所の候補は色々出ていたのですけど、おそらく今回は四国の道後温泉に決まりそうです。道後温泉って10年くらい前に行ったことがありますけど、温泉街!って感じで、歩いていて楽しかった記憶があります。のんびりしたり買い物したり日帰り入浴したり、また楽しみですね。

『カラヴィンカ』ネタバレ感想

遠田潤子『カラヴィンカ』角川文庫 2017年10月刊

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

『雪の鉄樹』の作者の人の新作で、「ミステリではないけど続きが気になる系」とおすすめされて購入しました。毎晩少しずつ寝る前に読んでいって、最後は帰省の新幹線の中で読破しました。新幹線の中でちょっと泣きそうになってしまった。『雪の鉄樹』もおもしろかったですけど、『カラヴィンカ』はそれ以上におもしろかったと思います。続きの気になる度合いが『カラヴィンカ』の方が全然上だった。 主人公が少し不器用で真っ直ぐな性格設定なところなんかは『雪の鉄樹』と似てると感じました。どちらも好感の持てる主人公で。どちらも子供時代から丁寧に描かれているので思い入れも強くなりますよね。特にこの『カラヴィンカ』の多聞くんは兄のために生きるという利他的な性格がいじらしくて、読んでいて応援する気持ちになってしまいました。 ジャンル的にミステリでは無いのかもしれませんけど、だんだん物語の真相が明かされていくところはミステリっぽいと思いました。恩田陸『木漏れ日に泳ぐ魚』なんかに似ていると思います。ちょっとずつ二転三転しながら明かされていって最後に全体像が判明してすっきりというところが。今ざーっと読み返して、特にごんぎつねを初めて二人で読むシーンなんか、初回とは違う感慨がありました。二度読みでさらに楽しめるのもミステリ的だと思います。 最後、実菓子の台詞の「兄弟ふたり、まるで正反対。不動といれば安らぐけど、多聞といれば苦しくなった」というシーン、ここに到達するまでの物語の起承転結がとても詰まっていて、最高のシーンだったと思います。壮大な物語を楽しんだなぁという気持ちにさせてくれる綺麗な着地だったと思います。