読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

映画『勝手にふるえてろ』感想

映画『勝手にふるえてろ』公式サイト

http://furuetero-movie.com/

 

渋谷ヒューマントラストシネマで観てきました。ちょうど水曜日でサービスデーだったせいか満席になっていたようで、びっくりしました。私がチケットを購入したのは当日の昼休みのとき(13時ごろ)で、その時点では真ん中の方の座席だけ(全体の4分の1くらい)が埋まってる感じでした。もしサービスデーのせいで満席になっていたのだとすると、他の空いている曜日に1,800円払って観に行った方が快適で満足度は高かったかもしれません。ちなみに19時10分上映開始の回で、私はのんびり19時00分くらいに映画館に到着したのですけど、スクリーン入場待ちの人たちでフロアが大混雑状態でした。ほぼ20代~30代って感じで、男女比は4対6か3対7くらいで女子の方が多く、半分以上が1人で観に来てる感じでした。

映画の内容は、めちゃめちゃ満足度高かったです。ほんと観に行ってよかった。24歳彼氏なしの主人公には共感とかはできなかったのですけど、台詞回しのセンスのおもしろさと、主人公の松岡茉優の演技がめちゃめちゃ良くって、最初から最後まで笑える名作でした。物語のテンポも良くて、2時間あっという間でした。共感はできなかったですけど主人公に対する好感度はすごい高かったですね。喫茶店や駅や釣り人の人たちとの会話が脳内会話なのは観ててわかるような演出になっていましたけど、途中の物語展開で会社の隣の女子との会話まで脳内なのかな…?とちょっと思わせてくるところはおもしろかったです。友達いないキャラの割には普通に仲良く話せてるし。あと、経理職の主人公が工場職みたいなユニフォーム姿だったり昼寝の時間?があったり、ファンタジーぽかった。

一と二について。どっちも性格に難があるというか、特に二の方、絶妙にうざいところをついてくるキャラ設定がとても良かったです。悪い人じゃないんだけど面倒くさい、みたいな。ちょっとリアル感あるうざさでしたし、これは付き合いたくないなぁという絶妙なキャラ設定だと思いました。でもビジュアルはめちゃめちゃかっこよかったですね、一も二も。公式サイトの監督発言にもありましたけど、二の人の手が綺麗でした。最後の玄関のシーン、手が綺麗だなーと観てて思いました。まぁそれはいいとして。

原作は未読だったのですけど、この作者の小説は、『インストール』と『蹴りたい背中』は読んだことがあります。文章がにやりと笑える系でめちゃめちゃ好きでした。この『勝手にふるえてろ』でも、主人公が早口でべらべら話すシーンなんか、とても文章センスを感じました。これはきっと原作小説で読んでもおもしろいのだろうな~と思いました。

正直、ここまでおもしろい映画だと思いませんでした。当日の昼休みに、明日の仕事が午後からだから帰り遅くなってもいいし映画でも観て帰るかーと思い立って「渋谷 映画」とかで上映中の作品を検索した中で時間帯が合った作品がこれだったという感じなのですけど。主人公も、一の人も二の人も、というかみんな演技がうまくて、安定して観ていられました。会社の隣の席の女子の人も演技うまかったですね。スティーブジョブスのマネージャーのブログが~~みたいなシーンすごい笑えました。

『恋と禁忌の述語論理』ネタバレ感想

井上真偽『恋と禁忌の述語論理(プレディケット)』講談社NOVELS 2015年1月刊

 

f:id:seoma:20180110135212j:plain

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

これが井上真偽のデビュー作らしいですね。なぜかデビュー作だけずっと読んでいませんでした。たぶん表紙とタイトルで高校生の恋愛物語かなーなどとぼんやり考えて敬遠していたのだと思いますけど、年末年始にちょうど読む小説がなくなってしまって何か買おうと思ったときにこの小説のことを思い出して、購入しました。ちなみに吉祥寺の啓文堂書店ブックファースト、パルコブックセンターのどこにも在庫がなくって結局Amazonで注文しました。そしたら届くのが遅くて私がこの本を手にしたのは年が明けて広島のおばあちゃんちから帰ってきてからでした。Amazonって買ってから手に入るまでタイムラグがあるのが欠点ですよね。

この作者の本はこれですべての作品を読んだことになります。私が一番好きなのは『聖女の毒杯』ですけど、あれはシリーズものの2作目ですし、人におすすめするならやはり『探偵が早すぎる』です。上巻下巻ともに読みやすくておもしろくい。文章もニヤリと笑える系で。

いま一番好きな作家は誰か?と言われると私はこの井上真偽なのですけど、私がこの作者で好きなところは読んでいてとても頭を使うところです。特に『その可能性はすでに考えた』シリーズですね。パズルみたいに論理を積み上げていく感じがとてもおもしろい。文章も好きですけどね。

この『恋と禁忌の述語論理』も、めちゃめちゃ頭を使う小説でした。私はレッスン1の論理は理解できたのですけど、レッスン2の論理はまぁ何とか理解できた…って感じで、レッスン3の論理はさっぱりでした。さすがにレッスン3は理解しようとするのをあきらめてしまった。はやく最後まで読みたかったですし。それでも生徒役の主人公の感覚がとても適正で、理解しやすいところは主人公も理解できていて理解しづらいところは主人公も理解できていないって感じだったので、素直に読み進めることができました。

ネタバレで語りますけど、最後の章、完全犯罪を目論んでいたというオチはめちゃめちゃおもしろかったです。意外性もあり、納得感もあって。それまでの章の中尊寺先輩とか上苙丞とかのキャラクター設定がファンタジーすぎるのも創作というオチがついたときに納得できましたし。そのあと登場人物自体は実在でしたというオチもつきましたけど。そもそも上苙丞は『その可能性はすでに考えた』の主人公で私はそっちを先に読んでしまっていたので、えこれ作中作なの?とか思ってちょっと萎えかけたりしてしまいましたけど。やはり作品は順番通りに読んでいくべきでしたね。

あとは、中尊寺先輩や上苙丞の推理があっさり否定されて終わりという展開も読んでいて違和感がありましたけど、創作オチで納得でした。他には「動機はどうでもいい」が繰り返されていたり、いくら何でも殺人事件に巻き込まれすぎていたり。ただ、被害者が1人で犯人は協力者含めて2人という共通点については、読んでいるときはまったく気づきませんでしたね。

レッスン3をもう一度じっくり論理を考えながら読み返してみたい気もあるのですけど、正直この数式の羅列を見ると、うーーんって感じです。あまり物語の本筋に関係ない気もしますし…。

でもやっぱりめちゃめちゃおもしろい作品だったので、もっとはやく読んでおけばよかったと思いました。この作者の次回以降の作品もほんと楽しみですね。

『七つの海を照らす星』ネタバレ感想

七河迦南『七つの海を照らす星』創元推理文庫 2013年5月刊

 

f:id:seoma:20180106105133j:plain

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

吉祥寺駅ビルのkirarina7階の本屋で購入。kirarina7階の本屋って、前はめちゃめちゃ通っていたのですけど今は半分くらいの広さになってしまって、それから足が遠のいてしまってます。空いているのとトイレが綺麗なのはいいのですけど、同じ空いているならパルコ地下2階のブックセンターの方が広くて好きです。トイレはkirarinaの方が全然広いのですけど。というかkirarinaは、最近の建物だけあって、トイレをめちゃめちゃ快適に作りましたという話だったと思います。オープン当初そういうニュースを何度も見ました。

この作者の『アルバトロスは羽ばたかない』という本がそのkirarina7階本屋の新刊コーナーの目立つ位置に並んでいまして。最初はそれを買おうとしたのですけど、よく帯を見るとシリーズ物の2作目っぽい、それなら1作目の方を買ってみようという流れで、『七つの海を照らす星』の方を購入してみました。

買ってみて初めて知ったのですけど7つの短編から構成された小説で、その7つが学園の七不思議の謎解きになっているという内容でした。どの短編も伏線をものすごく散りばめていって最後にそれをがーっと一気に回収するという流れで、たまにちょっとそれは無理があるんじゃ…ってオチもありましたけど、基本どれも全部がすっきり解決するという良い終わり方ばかりでした。

ネタバレで語りますけど、佳音ちゃんという親友キャラには何となく違和感というか、読んでいて変な感じはありました。存在に必然性が無いというか。毎回出てくるけど、意味ある…?みたいな。だから、ちょっとめずらしく読んでる途中で考えてしまいまして、当たってたら嫌なのでなるべく考えないようにするタイプなのですけど、これは実は時系列が違うトリックなのではないか?とか推理したりしてました。主人公と佳音ちゃんが同じように話しているように見えて、実はこの短編だけ20年後の話でしたとかそういう。20年後も変わらず親友なので同じノリで会話をしているけど…みたいな。そんなオチを予測したりしてしまっていました。1話のキャラが登場するのは1話だけだったりしてましたし。まぁ結果的にぜんぜん違いましたけど。でも七不思議すべてに佳音ちゃんが絡んでましたというオチは意外性があっておもしろかったです。

作者名がローマ字読みの回文というのはまったく気づかなかったです。そもそも回文って作中でそこまで重要な要素になっているかな…?って感じもありましたけど。でもこの作者はこの作者名でこれからも小説を出していくということですよね、それはなかなかすごいなぁと思いました。この佳音ちゃんというキャラは作者的にめちゃめちゃ思い入れがあるということでしょうか。それか、もう1作目に全力を出して2作目以降のことはそのとき考えよう、みたいな?

とりあえず、このまま次作の『アルバトロスは羽ばたかない』も読んでみようと思います。