読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

佐藤青南『たぶん、出会わなければよかった 嘘つきな君に』ネタバレ感想

佐藤青南『たぶん、出会わなければよかった 嘘つきな君に』祥伝社文庫 2017年12月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

twitterで存在を知って、広島県の本屋で新幹線に乗る前に購入しました。そして新幹線の中で一気に読破。まぁまぁおもしろかったです。

帯には「衝撃のラストに呆然」と書いてありますけど、ラストは説明というか答え合わせみたいな部分でしたので衝撃はまったくなかったですね。帯で嘘をつくのは内輪向け業界のいつものことなので私は全然いいのですけど。

前半が事件の起こるまでで、後半はその事件の裏側の説明という物語構成で、とてもわかりやすくて読みやすい小説でした。シンプルな構成で。正直私はもう一ひねりほしいなという気持ちがありましたけど…。

前半部分、事件が起こる前の日常シーンって感じでしたけど、会話文が不自然なのがちょっときつかったです。テレビドラマ口調ともまた微妙に違うファンタジーな口調の会話文でした。小説にかぎらずテレビドラマでも映画でも、会話はリアルなのが好きですね私は。テレビドラマとかのまったく親友に見えない親友同士の会話とかに対してしらけてしまうタイプです。舞台設定がファンタジーだったらワンチャン許せますけど現代日本が舞台で登場人物の会話が現代日本風じゃなかったりするとやっぱりきついですね。慣れの問題かもしれませんけど。

武蔵小杉のグランツリーとか渋谷スクランブル交差点のロクシタンカフェとか、そのままの名前で出てくるのはとても良かったです。こういうのは好きですね。

後半部分の、真相が少しずつ明かされていく感じと、他の人物の視点で別の意味が見えてくる展開は、なかなかおもしろかったです。

村田沙耶香『コンビニ人間』ネタバレ感想

村田沙耶香コンビニ人間』文春文庫 2018年9月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

名前だけは前から知っていた作品でした。芥川賞ということも聞いたことがあった気がします。帯に「芥川賞」と書いてあって本当に芥川賞の受賞作というのもめずらしいですね。だいたい釣り帯なのに。芥川賞をとった作者のまったく別の作品とか。

この作者の小説は『殺人出産』だけは読んだことがありました。10人産めば1人殺せる世界観というなかなかインパクトある小説で、よくこんなこと思いつくなぁと思いながら読みました。最後のオチが気になりましたね。誰を殺すのか。

この『コンビニ人間』はそれと比べると現代日本が舞台の、普通の世界観の小説でした。人工子宮の出てこない世界観。主人公のキャラクターの方がちょっと異常で。

主人公と白羽くんのずれた会話がめちゃめちゃおもしろかったです。この2人の会話シーンは全部おもしろかった。世界は縄文時代と同じで、世界はコンビニと同じで。でもキャラクターの異常性の中でリアリティのある描写が多かったと思います。たしかに周りの反応はこうなるだろうなーという感じの描写ばかりで。そこがとても良かったですね。世界観が正常だからこそ、主人公のキャラクターの異常性について素直に読めました。

最後のオチは正直物足りなかったですね。結局そのままコンビニ人間を続けるという。最後テキトーすぎん…?と思ってしまいました。何の解決もなく。まぁ現状で解決策なんて無いですよね。30代後半までコンビニアルバイトだけ続けてきた人間がこの先どうなるのか。私も別に落としどころなんて思いつきませんし。リアリティを深掘りしていった作品だからこそのどうしようもない投げっぱなしエンドと言えるのかもしれません。最後に就職して真人間になっても結婚しても死亡とかしても一気にファンタジーになってしまう。これまで(キャラクター性以外)リアリティをずっと追及してきて最後ファンタジーオチってことになったらそれはそれでしらけてしまうだろうと思います。とはいえ、こんな風に普通に終わられても、物足りなかったですね。

『殺人出産』『コンビニ人間』とどちらもおもしろかったですし、この作者の他の作品も読んでいこうかなと思いました。

本多孝好『dele』ネタバレ感想

本多孝好『dele』角川文庫 2018年5月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

本屋のドラマ化作品コーナーに平積みにされているのは前から見かけてました。よく知らなかったので特にチェックもしていなかったのですが、twitterでいつも小説を教えてくれる人が「電車で読んで泣きそうになった」と言ってオススメしてきた作品でした。私は割と何でも泣けるタイプなので、久しぶりに小説で泣くかーと思って、購入してきました。

ネタバレで語りますけど、ドールズ・ドリーム、これは確かにガチで泣けました。めっちゃ良かった。オチの完成度的に言っても、この話が飛び抜けていたんじゃないかと思います。この設定はこの話のためにあったんじゃないかレベルの美しさを感じました。死後にPCのデータを削除することによって死者と残された家族とのコミュニケーションが成立するという物語展開は、とても上手いと思います。この設定だから可能だった物語展開って感じですし。ガチで泣けましたね。

その他の話も、1話完結で読みやすくて、その中でもストーリーに意外性があったりして、おもしろかったです。あとは祐太郎くんのキャラクターがとても好感持てて良かったですね。ちょっと聖人すぎる感じはしましたけど…。こういう反応を返すべき・こういう台詞を言うべきというのが先にあるキャラクターというか。テレビドラマっぽいなーとは感じました。リアル感を一切追及していないところが。

読み終わったあとテレビドラマの方も最新話だけTVerで見てみたのですけど、2人とも結構イメージに近かったです。祐太郎くん黒髪なの!?とは思いましたけど。なぜか勝手に金髪イメージで読んでました。圭司の方は本当にかなりイメージ通りでした。姉はなぜかもっと若いイメージで読んでいましたけど、弁護士事務所の所長って言うと、まぁ若いわけ無いか。ドラマの配役の方が正しいですね。