読んだ本の感想など

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道尾秀介『片眼の猿』ネタバレ感想

道尾秀介『片目の猿』新潮文庫 2007年2月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

恵比寿アトレの有隣堂で購入しました。1ヶ月くらい前に、ライブで恵比寿へ行ったときのついでに購入していました。それを今ごろになってようやく読破しました。Twitterでいつも小説を教えてもらっている人からのおすすめでした。かなり古い小説だったようです。古い小説ってそれだけでつまらなそうで敬遠してしまうのですけど、逆に、古くて生き残っている小説の方がおもしろい確率は高いのかもしれないですよね。おもしろいからこそ今も売られている、みたいな。

というわけで。最初から最後までおもしろかったです。読み始めてからは3日くらいで一気に読み切ってしまいました。この続きが読みたいからはやくベッドに入ろうという気持ちになるくらいおもしろかったです。

完全にネタバレで語ります。

能力者たちの物語なのかとずっと思いながら読んでいて、完全にだまされました。特殊能力を持つ人間が普通に存在するような世界観なのだと。これはこれでおもしろいなーと思いながらずっと読んでました。犬は顔の半分が鼻だという言葉で、完全にだまされてしまいましたね。この言葉のインパクトすごいですね。主人公も、まさか補聴器と盗聴器だけだとは思いませんでした。

アパートの住人たちがそれぞれ体に欠損を抱えているということも、まったく気づきませんでした。まぁそれは物語の本筋とは関係ないおまけみたいなオチでしたけど。トランプのカードの話もまったくわかりませんでしたね。クイーンがお爺さんで、ハート以外のキング3枚が双子で、というやつ。これについては最後の説明を見ても???でした。遠まわしすぎてわかるわけがないし、クイズとして成立していないレベルに思えますけど…。

作中で明言されていないのにずっと耳が大きい主人公と目が大きいヒロインを想像しながら読んでいたというのが、本当におもしろかったですね。こんな騙され方もあったのだなぁと。作中で明言されていないということも後から気づきました。

「片目の猿」という単語も、作中で何回か出てきていましたけど、途中まではなんでこれがタイトルになっているのだろう…って感じでした。話の内容とタイトルが合ってないんじゃないか…と。読み終わってみれば、とてもぴったりなタイトルでしたね。