読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

講談社現代新書『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』感想

永濱利廣『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』講談社現代新書 2022年6月刊

 

 

最近また仕事が落ち着いてきて、旅行へ行ったり読書したりのんびり過ごせています。この本は吉祥寺アトレ2階の本屋で見かけてKindleで購入しました。気持ちとしては吉祥寺アトレにお金を払いたいのですが。この本の会社からアトレへお金を送る仕組みができれば良いですね。あるいはユーザーの私自身がショールームと作者へ分けてお金を払える仕組みができれば良いですね。気持ちとしては、この本が1000円くらいだとして、アトレと作者へ600円400円くらいで払いたいです。もし作者とお話したあと買えるならアトレ200円作者800円くらいで払いたい。

日本は給料や物価が安いという内容の本でした。10年くらい前から色々なところで言われまくっている話題ですが、この話題についての2022年6月の最新の内容という位置づけの本でしょうか。ずっと前から日本はデフレで、景気も悪いみたいですよね。この本では景気が良くなりかけたところで消費税増税で景気悪くなってという流れだったと書かれていましたけど、納得感ありました。

賃金が上がらない理由としては、解雇しにくく一度上げた賃金を下げられないなどの理由があると述べられていました。あとは労働分配率が低かったり、労働者の流動性が低かったり。人を1回雇用したらずっとという風潮はありますもんね。解雇しやすくなれば賃金を上げやすくなりそうな気はしますよね。税理士事務所が派遣社員の事務員を雇おうとした場合の時給って2000円は超えるみたいですし。同じ杉並区の税理士の先生で派遣社員に時給2300円支払っているという話を聞いてちょっとおどろきました。うちの事務所もアルバイトの時給2000円なので高い方だと思いますけど普通に負けてしまった。きっと派遣社員本人には1500円くらいしか届いていないのでしょうけど。この派遣社員というシステムについてはもやもやするところがありますよね。

物価が上昇していないことについては、政府の財政出動が不十分だったせいだと述べられていました。世の中のお金は増やしたけれども。物価が上がらないと賃金も上がらないので物価は上がっていくべきという内容ですね。企業の貯蓄率がどんどん増えているのも良くないと。

うちの事務所ももっともっと給料を上げていきたいところなのですけど、アルバイト時給を2000円からさらに上げようとしたら顧問料をかなり高くしないといけなくなってしまうので、それはそれでむずかしいというか。これ以上高くするとぼったくりと言われてしまいそうで。ぼったくりと言われないために高級ホテルや高級レストランのようなサービスを目指してはいますけど、それはそれで従業員教育をがんばらないといけないですし採用の時点でかなり厳しく選んでいかないといけない気がするので、それもまた心理的に抵抗がありますね。普通に雇った人に普通に時給2000円払える事務所が理想というか。

なんか話がそれましたけど、日本の給料や物価が上がっていけばいいなぁと思いますけど、たぶん日本の多数派の老人層はそんな国を望んでいないので、一巡するまではこのままなのかなという気もしますよね。なので、この給料相場・物価相場の中で、ぼったくりと言われない程度に稼いでいけるようにスキルアップしていくしかないですね。

太田忠司『麻倉玲一は信頼できない語り手』ネタバレ感想

太田忠司『麻倉玲一は信頼できない語り手』徳間文庫 2021年4月刊

 

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

井の頭線永福町駅の2階の本屋で購入しました。2階じゃなくて3階かな。何か小説でも買うか~と思って、棚に並んでいる中から勘で選びました。この永福町駅の本屋も結構よく利用していますね。むかし永福町駅の税理士事務所でサラリーマンをしていたときから利用しています。

久しぶりにこういうミステリーサスペンス系の小説を読んだ気がします。全然知らない作者の小説でしたけど、なかなかおもしろかったです。最後はかなり騙されました。何となく変な感じはありましたけど、そもそもの設定がファンタジーなので、そういう世界観かーと思いながら読んでました。おもしろかったですね。

以下ネタバレで語ります。

死刑が20年以上前に廃止されているという世界観にだまされましたね。リゾートホテルの跡地に終身刑で過ごすとか、冷静に考えて不自然すぎますし生活の感じがまったく描かれていなかったのも違和感しかなかったですけど、そういう世界観の小説かーという感じで読んでいました。細かいことは気にしない系の設定なのだろうなーと。

まさかすべて作り話でしたオチは、すごかったですね。今まで読んでいた時間は何だったのかという気持ちも生まれましたけど、素直に騙されて楽しかったという気持ちの方が大きかったですね。まぁ序盤のうちから話の内容に嘘が含まれているのかなーと思いながら読んでいたというのもありますし。信頼できない語り手というのもずっと匂わされてましたし。

さすがに長谷部さんの兄が全身でレーザービームを浴びて死んだという物語にはとても違和感がありました。麻倉玲一の話に怒って向かっていって死亡というシーン。さすがにそれは無いなーということで何か嘘の話ということなのか、それか他に何かあるのか…という感じで読んでました。このあたりからはオチが気になって最後まで一気読みでした。

無人島から洞窟を通って抜け出せて、その洞窟の風穴の音がミミズクの鳴き声に聞こえるとかそのあたりの設定は小説っぽくて、まったく違和感なかったですね。あるあるみたいな感じで普通に読んでました。

目的が誘拐だったというオチは、とてもおもしろかったですね。なるほどな~って感じでした。取材でも何でもなく単に島で目的を持って過ごしてもらうためだけだったというオチに寂しさを感じないこともないですけど、そういう部分も含めておもしろかったですね。無駄に過ごしただけだったという主人公の状態に対して読者が共感できる感じというか。

一番最後の、主人公の彼女が嘘をついていそうだという展開は何だったのかよくわからなかったですね。主人公の疑心暗鬼さを読者にも味わってもらってシンクロ感、みたいな感じでしょうか。何か伏線とかあって読み飛ばしていたのかな…。

青山美智子『ただいま神様当番』ネタバレ感想

青山美智子『ただいま神様当番』宝島社文庫 2022年5月刊

 

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

吉祥寺キラリナ7階の本屋で購入しました。最近は仕事も落ち着いてきていて、読書の時間も出かける時間も勉強時間もいっぱい取れて、まったりした日々を過ごしています。この本はキラリナの本屋で、読んだことない作家の本を読んでみるかーというノリで、新刊コーナーの中から手に取ってみました。

ということで知らない作者の小説でしたけど、思っていた以上におもしろかったです。買って良かった。前情報とかも一切無い状態で読んでいて、普通の現代日本が舞台の日常小説かと思ったらいきなり神様が出てきて驚きました。ファンタジー要素は想像してませんでした。神様の設定については最後まで何も語られてなかった気がしましたけど、そこはちょっとモヤモヤしてしまいました。何か読み飛ばしたかな。高次元の存在がいる世界観なのか、この神様だけが存在する世界観なのか。その辺の設定がないと何でもありに感じてしまって登場人物の行く末や喜怒哀楽が茶番に見えてしまう。バス停に宿る神様ということで良いのだろうと思いますけど。場所も時間も限定的で世界を壊すほどの能力ではないということで良いのだろうと思いますけど。

神様の願うことが実は本人が願っていることという設定は、とてもおもしろかったです。神様というおせっかいキャラが勝手に左手を動かしてきて、巻き込まれるみたいに話が進んでいくけど結果的にはうまくいく、みたいな展開で。登場人物それぞれが前向きな気持ちになっていくというストーリーで、読後感がとても良かったです。どの話も終わり方が良かった。最後の零細企業社長の話が一番おもしろかったかなーと思いますけど、どれも良かったですね。

短編集としてさらさらっと読めて、なかなか良い小説でした。たまにはこういう感じの小説も読んでいってもいいかもと思いました。