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青山美智子『ただいま神様当番』ネタバレ感想

青山美智子『ただいま神様当番』宝島社文庫 2022年5月刊

 

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

吉祥寺キラリナ7階の本屋で購入しました。最近は仕事も落ち着いてきていて、読書の時間も出かける時間も勉強時間もいっぱい取れて、まったりした日々を過ごしています。この本はキラリナの本屋で、読んだことない作家の本を読んでみるかーというノリで、新刊コーナーの中から手に取ってみました。

ということで知らない作者の小説でしたけど、思っていた以上におもしろかったです。買って良かった。前情報とかも一切無い状態で読んでいて、普通の現代日本が舞台の日常小説かと思ったらいきなり神様が出てきて驚きました。ファンタジー要素は想像してませんでした。神様の設定については最後まで何も語られてなかった気がしましたけど、そこはちょっとモヤモヤしてしまいました。何か読み飛ばしたかな。高次元の存在がいる世界観なのか、この神様だけが存在する世界観なのか。その辺の設定がないと何でもありに感じてしまって登場人物の行く末や喜怒哀楽が茶番に見えてしまう。バス停に宿る神様ということで良いのだろうと思いますけど。場所も時間も限定的で世界を壊すほどの能力ではないということで良いのだろうと思いますけど。

神様の願うことが実は本人が願っていることという設定は、とてもおもしろかったです。神様というおせっかいキャラが勝手に左手を動かしてきて、巻き込まれるみたいに話が進んでいくけど結果的にはうまくいく、みたいな展開で。登場人物それぞれが前向きな気持ちになっていくというストーリーで、読後感がとても良かったです。どの話も終わり方が良かった。最後の零細企業社長の話が一番おもしろかったかなーと思いますけど、どれも良かったですね。

短編集としてさらさらっと読めて、なかなか良い小説でした。たまにはこういう感じの小説も読んでいってもいいかもと思いました。