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秋吉理香子『絶対正義』ネタバレ感想

秋吉理香子『絶対正義』幻冬舎文庫 2019年1月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

今月出たばかりの新刊ですね。本屋の新刊コーナーで見かけて、すぐ買いました。この作者の本は『暗黒女子』『放課後に死者は戻る』『聖母』とすべて読んできて、はずれが無い作家という認識です。本屋で見かけたら即買っていこうかなぐらいの勢いですね。

この『絶対正義』も安定しておもしろかったです。最近いそがしくて読み切るまで4~5日かかりましたけど、いそがしくなければ1~2日で読み切っていたかもしれないぐらいにおもしろかったです。ネタバレで語りますけど、4人全員が範子を殺そうとしたところ、あそこで一気に物語に引き込まれました。4人とも範子のことを憎んでいたと判明する展開。わくわくしましたね。

終盤の展開も最後のオチもうまい作品だったと思います。伏線がきいていて。親から子へ引き継がれていくオチに納得感もあって。子も範子のことを憎んでいた展開もおもしろかったですね。

とにかく範子というキャラクターがものすごかった作品でした。陰キャ系YouTuberみたいなキャラでしたね。路上ライブ禁止の場所でライブしてる人を警察に通報して動画撮影してアップするみたいな。ああいうのは後ろ向きな気持ちを原動力にして行動してる感じがめっちゃ陰ですけど、その陰を薄めてフラットな感じにしたような立ち位置のキャラというか。現代的なキャラクターと言えるのかもしれない。

領収書を一人でとろうとしたら「それは脱税よね」と言うシーンとか、5,000円で返済計画書を作ろうとするシーンとか、絶妙にうざい感じが笑えました。

来月から連続ドラマ化されるみたいですけど、この範子というキャラクターは美人設定じゃないと思うのですけど大丈夫なのですかね。主演の人をよく知らないですけど。でも半沢直樹とか賭ケグルイみたいな過剰演技ノリのドラマだったら楽しいかもしれない。