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映画『万引き家族』感想

映画『万引き家族』公式サイト

http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/

 

今日、渋谷のTOHOシネマズで観てきました。突発的に。17時40分の回で。割と広いスクリーンでしたけど、満席になっていました。そして客層が8割女子で、かなりびっくりしました。もっとおっさん寄りの映画かと勝手に思ってました。水曜日でレディースデー?だからかな? 

中盤で結構泣けて、終盤の警察官との面談シーンも(ファンタジーっぽさがすごかったですけど)演技上手くて感動できて、なかなか良い映画だったなぁという感想です。しかし映画館的には、終わったあとかなりしらけた空気がただよっていました。映画のあとの映画館がこんな空気になってるのは初めて体験したかもしれません。私は基本的に評判になっている映画しか観に行かないので、そうするとだいたいおもしろいのですよね。この「万引き家族」も今の上映ランキング1位でしたし。

上映後の映画館の空気について。まずスタッフロールになった瞬間に結構な人数が座席を立ち上がる。「え、どういうこと?」とこそこそ話す声まで聞こえる。そしてスタッフロール流れてる間にも周りがどんどん立ちあがって出口へ向かう。そして、帰り際の周りの女子たちの感想が「最後なに…?」とか「よくわからなかったねー」とかそういうのばかりという。この空気はすごかったですね。上映ランキング1位の映画で上映後にこういう空気になるのってめずらしいんじゃないでしょうか。

映画の内容は、私はなかなか泣ける内容で良い映画だったと思います。全員が本当の家族ではなかったというオチはおもしろかったです。あの家はおばあさんの持ち家だったということですかね。おばあさんが死んだあとの会話の流れを考えると賃貸暮らしではなさそうでしたし。墨田区花火大会が見える場所の一軒家って、リアルだとむしろ勝ち組感ありますけど…。バスで「南千住」という地名が出ていたり「松戸のパチンコ」「習志野ナンバー」という単語が出てきてましたから、舞台は千葉県なのかな。ファンタジー世界の日本国千葉県って感じですかね。時代設定も、過去なのか現代なのかよくわからない感じになってましたね。全体的には過去っぽい雰囲気でしたけどスマホが出てきたり…。むしろあのスマホだけが謎と言えるのかもしれない。「これってワンチャン現代が舞台なのかな?」と視聴者に思わせるための描写だったのでしょうか。

結構泣けるシーンが多くって、リンが祥太くんを玄関で待っているシーン、そのあと舞台が夏になって「お兄ちゃん!」と大きな声で呼ぶシーン、アキが風俗の客の手をにぎるシーン、あとは母親役の人が警察官に「なんでだろね」と言うシーン、この辺は全部泣けました。というかリンの描写はだいたい泣けましたね。幸せになってくれーって感じで。

全体的な映画の感想で言うと、私も、映画館の客の人たちとまったく同じ「よくわからなかったねー」って感じでした。舞台設定がファンタジーすぎるのと、描写がベタすぎるのと、物語にひねりがまったくないまま終わってしまったのが、きつかったです。ベタベタな描写ばかり続く理由が「よくわからなかったねー」というか。そんな感じでした。10年くらい前の作品を観たという印象でした。なんか海外で賞をとったというニュースがあったせいで私が勝手に期待しすぎてしまったのかもしれません。現代日本人の私からするとベタすぎでも海外の視聴者層からすると新鮮とかそういう感じだったのでしょうか。

演技は全体的にめちゃめちゃ上手くてすごかったと思います。父親役の人も母親役の人もすごかった。特に母親役の人が警察官と話すシーンで、警察官のズレた発言に対して「はぁ~」って感じのあきれつつ怒りつつため息みたいな顔の表情、ガチの神演技だったと思います。やばかった。リン役の子も上手い演技でしたね。序盤のめっちゃ幸薄そうでかわいそうな表情からの、中盤でお兄ちゃんと公園で遊ぶシーンの楽しそうな表情、この落差で泣けました。