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『ナイルパーチの女子会』ネタバレ感想

柚木麻子『ナイルパーチの女子会』文春文庫 2018年2月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

新刊コーナーの目立つ位置にずらーっと並んでいて、〇〇賞を受賞という文言に釣られて購入しました。帯には高校生~と書いてあって高校生向けの小説なのかと思いましたが、実際に読んでみたら30代女性同士の関係の話でした。でも主人公2人は精神的には高校生女子っぽくもあり、高校生が読んでも楽しめるだろうとは思います。

全体的に、ちょっとデフォルメしすぎというか、大げさすぎてリアル感がなく白ける部分もあったのですけど、あるあると感じる部分もあり、文章にパワーもあって、最後まで楽しく読めました。2~3日くらいで読み切りました。でも大げさすぎるからこそエンターテイメントとして成立して楽しく読めるというのがあるかもしれません。リアルさを追求したら大手商社の社内でこんなこと無いだろう…で話が終わってしまいますし。

とにかく女友達がいないということを色々な方向から語りまくる内容の小説なのですけど、主人公が周りからひたすらディスられるのがかわいそうすぎて、どうか最後は前向きに終わってほしいなぁと思いながら読んでました。主人公が全方位からディスられて「だからお前には友達がいない」と言われるという、なかなかものすごい小説ですよね。でもところどころ納得感があるので、かなり心をえぐられました。

主人公2人の中では栄利子の方に多く共感できましたね。友達を渇望する気持ちもわからないでもないですし。楽しみにしていたのにいざ行ってみると旅館で眠れないところとか、物語は共感が大事という考え方も、わかります。もちろん栄利子ほどじゃないですけど。

この作者の小説は完全に初めてだったのですけど、文章にとても勢いとパワーがあって読んでて刺さる部分が多かったので、他の題材の小説も読んでみたくなりました。作者はこの「女友達」という題材に特別思うことがあってこれだけのパワー文章になっているのでしょうかね。でも著書数の多い作者のようなので特別思うところがある題材ならこれまでの著書でとっくに使っているかな。純粋に文章力がすごいってことかも。