読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

『校舎五階の天才たち』ネタバレ感想

宮司いずみ『校舎五階の天才たち』講談社タイガ 2017年9月刊

 

f:id:seoma:20171206163404j:plain

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

今年の9月に発売されたばかりのミステリ小説。twitterで存在を知って購入しました。同じ講談社の文庫シリーズの『探偵が早すぎる』もtwitterで存在を知って購入したらめちゃめちゃおもしろかったという流れだったのですけど、この『校舎五階の天才たち』も、最近読んだ本の中で一番おもしろかったです。

(ちなみにこのブログに感想書いてないですけど最初の方だけ読んでそのままになってる小説なんかも結構あります)

最初は天才たちの描写にファンタジー要素を感じてしまってあまり世界観に入り込めなかったのですけど、主人公が素直な性格設定で共感できるキャラクターだったので読みやすく、どんどん読み進めているうちに世界観にも普通に入り込めてました。

ネタバレで語りますけど、天才たちもそれぞれがひねくれているというか、こじらせているというか、そういう人間臭い性格を持っていることが明かされていって、最後には共感できるくらいのキャラクターになっていました。現代文の問題をわざと間違えているんじゃないかって話とか、すごい良かった。登場人物の感情を答える問題に正解してしまえば(平凡な)クラスメイトたちの気持ちがわかると認めることになるからだ、っていう。良いシーンでしたね。

レミニセンス〇〇の意味が読み終わったあともよくわからなくって、読み返したら初めてイニシャルだということがわかりました。読み返してみたら渡部くんもめちゃめちゃ中二病的な描写でしたし、モノローグの加藤さんはたしかに1人で会話してる風な感じの描写でしたね。このモノローグは普通に加藤さんと篠崎くんの会話という認識で読んでいました。加藤さんの回想シーンかな、みたいな。最後の方のモノローグで「あんたでも篠崎良哉の考えはわからなかったか。」という台詞が出てきて、あれ!?って感じでした。このシーンの「あんたも偽物なのにな」って台詞も良かったですね。読んでいて、どういうことだ…?って、かなりおもしろかった。

最後の終わり方も、とても良かったです。途中読んでるときはこんな綺麗に終わるとは思わなかった。主人公が渡部くんの手をつかむシーンはめちゃめちゃ良かったですね。これから仲良くなりそうな感じで、美しいラストシーンだったと思います。帯に「青春ミステリの傑作」と書いてありましたけど、たしかにこれはとても良い青春ミステリだなぁと思いました。