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『底辺への競争』感想

山田昌弘『底辺への競争』朝日新書 2017年10月刊

 

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吉祥寺アトレ2階のブックファーストで購入。今の社会では貧困・下層へ落ちないような競争が行われているという本。読みやすくて、内容も納得感がありました。ここ何年か日経新聞でもこういう貧困系の話はよく見かけるようになっていますよね。それ以外のメディアではもっとずっと前から。非正規雇用の拡大などで収入の少ない層が生まれて、下層化、非婚化、階級固定化という。実際そういう時代なのだろうなと思います。

何かあると非正規雇用へ落ちたりして下層化する、これが「下流移動」のリスクと本の中では言われていました。例えば勤務先の会社の倒産や、親の介護問題や、自分が病気になる、などなど。そうなるともう冗談じゃなく人生詰みますよね。私もそうなったら悲惨だなーという気持ちはやっぱり常にあります。例えば病気して働けなくなったら人生終わるなぁと。まぁ何万分の1とかの可能性のことを考えても仕方がないかな。というか病気になったら働けなくなって…なんていつの時代も一緒か。

下層階級が拡大していっているのは日本だけではなく世界全体の流れだと紹介されていました。日経新聞でもこういう論調の記事がほんとここ最近多いですね。製造業の時代は1つの大企業が世界で何百万人も社員を抱えていたが現在のIT産業の大企業は社員数が数万人だったりする、と。大企業社員という「エリート」になれる人口が少なくなって、その分、勝者総取りの時代になったとか。そういう。

本の中では、1つ・個人の努力、2つ・政府の支援強化、3つ・地域や社会ネットワーク作りという3重のセーフティネット構想が語られていました。政治については層の厚い高齢者層が全員死んでこの国の年齢層が平準化されれば高齢者優遇も終わるのかなって気はしますけど、それは30年後~40年後とかになるのかな。なかなか先は長いですよね。

というか私も事務所の売上が増えていかなければ底辺へ落ちる危険性はめっちゃあるのかもしれない。色々とがんばっていかないといけないですね。研修に出たり講師や指導員の活動をしたり紹介してもらったり。