読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

『消費大陸アジア』感想

川端基夫『消費大陸アジア』ちくま新書 2017年9月刊

 

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日本発の飲食や小売がアジアでどう受け入れられているか(受け入れられていないか)についての本。具体例を挙げてこれはこういう理由で中国でヒットした、などと書かれた内容の本でした。

知らない話ばかりで、読み物としておもしろかったです。ポカリスエットインドネシアで断食明けの飲料としてヒットしている、吉野家の牛丼はアジアでもアメリカでもカウンター席がうけなくてテーブル席だけにしている、味千ラーメンは豚骨スープで中国でヒットしている(これはニュースとして知っていました、いつか食べてみたいです味千ラーメン)などなど。その他には中国は医療環境が整備されていないから日本のドラッグストアの薬が爆買いされているとか、日本で受け入れられなかったフランスの大型ディスカウント店(カルフールという聞いたことない店)がタイでは小売業者の仕入れ先として受け入れられているとか。読んでいて「へぇ~へぇ~」って感じでめちゃめちゃ興味深い話ばかりでした。私はなかなか旅行に行く機会がないのですけどタイとかインドネシアとか行ってみたいですね。

あとは目の前で調理される形式の安心感がアジアで受け入れられるという話など、日本人の私にはわからない感覚でおもしろかったです。日本では奥の厨房で調理された食べ物が運ばれてきても疑う感覚なんて一切ないですし。

おもしろかったのは、アジアで受け入れられた企業も、狙ったわけではなく偶然はまって大ヒットしたケースとか、受け入れられるように適応したことによって受け入れられたケースとか、さまざまあるというところですね。もちろんどの企業も事前に現地調査をおこなっているのでしょうけど。ふたを開けてみないと…という部分がどうしてもあるということかな。おもしろいですね。

現地で商品を売るためには現地の気候や文化、宗教、所得などに合わせた「意味づけ」をするのが大事という話も説得力を感じました。例えば香港のエアコンはカビ防止機能が大事だが欧州のエアコンは暖房機能が大事、など。

物でもサービスでもこれが絶対売れるっていうのはなかなか難しいでしょうけど、売れたものにはやはりそれなりの理由があるということですね。