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『保育園問題』感想

前田正子『保育園問題』中公新書 2017年4月刊

 

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今の日本の保育園関連の色々な問題について、網羅的に書かれた本。わかりやすくて良い本でした。この分野に関しては何とかしないと国がやばいレベルの問題が山積みですよね。関連する働き方問題とか未婚非婚問題なども含めて。

本の章ごとに感想を書いていきます。まずは序章「保活」について。これは本当に、友人夫婦や仕事の取引先の夫婦の方々の話を聞いていてもびっくりしてしまう話ばかりです。子供を保育園へ入れるということがどれだけ大変か。子供を保育園へ入れるために生活を変えるみたいな話も普通に聞きますよね。アルバイトだと子供を保育園に入れるのはまず無理なのでフルタイムで働くとか。とにかく保育園へ入れるために色んな苦労をしている話を、周りでかなり聞きます。私は独身ですけど結婚して子供ができたらまずここが本当に大変そうだなぁと思いますね、話を聞いていて。

第1章「保育制度」について。認定保育園の話などですね。何年か前に幼稚園保育園の一体化ってニュースになってたことだけ知っていましたけど、中身をこの本で初めて知知りました。あんまり普及していないそうですけど、実際周りでも幼稚園保育園一体型のところへ預けている人の話は聞かないかも。

第2章「待機児童」について。計上のやり方によって数字がぶれる問題とか、常にニーズが増え続けているので保育園を作っても作っても足りない問題とか。まぁニーズなんて基本100%なんじゃないですかね。保育園1ミリも要らないって家庭の方が例外って気がします。なので、極端な話ですけど、小学校中学校レベルまで保育園を作るくらいしないと待機児童は0にならないんじゃないかなと思います。しかしそうすると国の予算が足りないという問題だったり、これから先どんどん子供の数が減っていくので作りすぎると10年後に確実に持て余してしまうという問題とか色々あるようですけど。

第3章「保育士不足」について。新聞などでも給与の低さによる保育士不足問題は何度も何度も見かけていますけど、それだけではなく責任の重さだったり拘束時間の長さだったり、色々と大変な部分が多いようです。仕事自体は楽しくやりがいのある仕事というアンケート結果もあるようですが…。不足すればするほど給与も上がって待遇もよくなっていきそうなものですけど、この辺はいまいち他の業界でもそうならないことも多いようですね。介護業界とかも、人手不足なのに給与低いままとか。低い給与で人材募集してもなんだかんだ誰かは応募してくるってことなのかなぁ。

第4章「保育園の量と質」について。例えば線路下の保育園、騒音があって環境はよくないけど住民の反対を受けずに新しく保育園を作ろうとするとそういう場所になってしまうという問題。新しく保育園を作ろうとすると必ず住民の反対があるそうですね。これもめっちゃニュースを見ますね。まぁたしかにすぐ隣でめっちゃうるさかったりすると嫌な人には嫌かもしれませんが…。ちなみに私は新幹線などで隣で赤ちゃんがガン泣きしていても平穏な心で読書を続けられる人間です。なので家や職場の隣が保育園でも問題ないですね。

第5章「働き方問題」について。子供の保育の問題に関連して大人の長時間労働などの問題がそもそも有るよねという話。これは本当に100理ありますよね。労働時間が長いとか休みが取れないとか、こっちはこっちで本当に何とかしないといけないこの国の大問題だと思います。夫よりも妻の方が家事・育児の時間が長くなる問題も、労働時間問題と関連していますよね。

以上、保育園に関連した色々な問題について、網羅的にわかりやすく語られた本でした。現代日本で子供を産み育てるのって本当に大変な苦労を伴うものだなぁと思いますね。とりあえず、この国は老人層に使うお金を削って若者層や教育に投資するべきだと思います。でもそんなことしたら選挙で負けるからできないという、民主主義のワナ。