読んだ本の感想など

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『ブラック奨学金』感想

今野晴貴『ブラック奨学金』文春新書 2017年6月刊

 

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ブラック企業』の人の新刊。

この人の本はたぶん出てる本すべて買っています。文章も読みやすくてわかりやすい。今は同じテーマの本を見かけるようになりましたけど、『ブラック企業』当時はこの問題はweb上でしか語られてなくって新書の世界ではこの人がオンリーワンだった。

今の大学生は奨学金の利用率がかなり高くなっているようですね。仕送り額も年々減っていっているみたいですし。それでいてアルバイトをしようと思ったら飲食小売はブラックバイトだったりして、大変だ。この本の中でも奨学金とブラックバイト問題は密接に絡んでいると述べられています。お金が無いとアルバイトは必須ですから、多少条件が悪くても働かないと生きていけない。これはほんとに大変な状況ですね。

そういえば今の大学生は授業もきっちり出席しますし過去最高にまじめだと聞いたことがあります。就活で成績表の提出を求められるようになっているというせいもあるのかな。

就活と言えばついこの前(7月くらい)企業の人事担当という人と飲んだとき、今年は本当に売り手市場でこの時期になっても必要人員が揃わなくって新卒募集を継続していると言っていました。いい人は他でとられてしまって、今までだったらとってなかったレベルの人(露骨な表現ですが…)まで今年は採用しているとか。今の大学生は悲惨な状況が多いと思いますけど唯一 新卒就職だけは過去の大学生より良い状況なのかもしれませんね。

さてさて。この本の中では奨学金の返済のきつさや保証人ということで親族すべてに請求がいく理不尽さなど色々と語られていますが、やはり一番の問題点は今の若者の置かれている状況がきつすぎるということなのだと思います。大学の入学金や学費は上がり、国の補助もほぼ無く、アルバイトはブラックバイトが横行し、などなど。もうこんなのは国がどこに資金を投入するかという問題だと思います。現代日本では、後期高齢者が1割負担で医者にかかれたり、老人層・医療介護業界にお金が投入されている。そのお金を子育てや教育などの若い世代へまわせば一気に解決に向かうと思います。しかしそのためには老人層を切り捨てないといけないわけですが老人を捨てる姥捨て山が無いのでそれができない。そこがこの国の悲しいところですよね。