読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

税理士事務所を開業して5年が経過しました

税理士事務所を開業して、5年が経過しました。もうそんなに経つのかぁと驚いてしまいます。

 


というかこのブログの歴史も感じますね。なんでこんなに長くブログを続けているのだろうか。自分で謎です。

というわけで、この開業5年目の一番大きな変化は、やはり正社員を雇ったということですね。去年まで週3日くらいで働いてもらっていた従兄弟からそろそろ正社員になりたいという話があり、それならということで週5日の正社員ということになってもらいました。あとは別の週2~3日のアルバイトもいて、私含めて3人体制の事務所になっています。最初は一人で始めた事務所が少しずつ大きくなってきました。

正直、週5日で入ってもらっても仕事がなかったりします。入力の仕事はすべてやってもらっていますけど、現状で週5日フルタイムでやってもらうほどの仕事量は無いです。なので、もしかしたら事務所の損益で言うと赤字なんじゃないかなという気もしています。でもまぁ来年の確定申告の時期に向けての投資と思っています。確定申告の時期になったら余裕で週5日分の仕事があると思いますし。そこでがんばってもらえればいいかなと。

雇用でいうと、たまにうちの事務所で働きたいという話をいただくことがあります。軽い感じの話が多いですけど。とてもありがたい話ですし、私ももっと雇用できたらしてみたいのですけど、あまり人を雇うと私が忙しくなってしまうという欠点があってなかなか手を広げられていないです。顧問先もこれ以上増やせないですし。税理士試験の勉強をしている人限定で雇うようにしていけば良いのかもしれませんけど、そういうのもちょっと…。でも雇用を生み出すというのはものすごく社会のためになることだと思いますし、働きたいという人がいたとして、じゃあうちで働く?と言えたらとても良いなぁと思ったりはします。でもそれは今の私の税理士事務所のシステムでは難しいのかなと思います。

やっぱり将来的には自分1人じゃなくて他の税理士の人と組んで税理士法人にしていくべきかなぁと思います。そうしたら顧問先も増やしていけそうですし、人ももっと雇っていけそうです。自分1人が忙しくなりすぎることもなく。まぁ3年後か5年後くらいの話かなーとぼんやり思っています。少なくても今はこのメンバーでのんびり仕事していこうかなと思っています。

事務所の売上は、1年目が100万未満で、2年目が600万円くらい、3年目と4年目が2000万円ちょい超えで、5年目の今年はたぶん2500万円くらいです。5年目に正社員を雇うことになって新規仕事を多少受けていくようにしたので、売上は伸びました。ただ、正直に言って今のこの売上だと1人事務所で売上2000万円でやっていたときの方が稼げていたと思います。お給料を払いすぎているのかもしれませんけど。たぶん売上2700万円くらいはないと1人事務所のときよりも損になってしまうと思います。なので、6年目はそれくらいまでは売上を伸ばすべきなのかなと思っています。忙しくなってしまったらちょっと嫌ですけども…。

そういえば事務所の報酬について、すべての顧問先で公平な水準にしていきたいなぁとずっと思っているのですけど、なかなか実現できていません。同じ作業量で同じリスクの場合はすべての顧問先で同じ料金にしていきたい。新しい顧問先については契約のときに「作業量に応じて毎年顧問料を見直していければ…」みたいに相談させてもらってるのですけど、開業初期の顧問先は今もずっと同じ料金だったりします。別にいいと言えばいいのですけど、この相手から3万円でこの相手から5万円みたいなのはちょっと不公平というか、信用されなくなってしまうんじゃないかというか。そういうのは避けていきたいですよね。あと、断ってもらうためにわざと大きな金額で見積りを出すみたいなことも。そういうことしてたら報酬額の水準がバラバラになってしまいますし、相手によって態度を変えてる人みたいで信頼を失ってしまいそうです。

開業して5年が経っても仕事は最高に楽しくて、新しく勉強することばかりです。税理士って人から求められて仕事をする職業なので安心して全力を出せるというか。自分の性格と合っているなぁと思います。仕事していて楽なのがとても良いです。

事務所移転については、高井戸周辺でお洒落な物件があれば移転したいとはずっと考えているのですけど、なかなかこれという物件がなくて実現できていません。今の規模が続く場合はこの事務所のままでも良いかもしれないですし。

とりあえず、6年目の目標としては、従業員の分は稼ぎつつ、まったりやっていくことかなぁと思います。

映画「ソウル・オブ・ワイン」感想

映画「ソウル・オブ・ワイン」感想

 

ソウル・オブ・ワイン公式サイト

https://mimosafilms.com/wine/

 

吉祥寺アップリングで観てきました。パルコの地下2階の。ベンチスペースが広くてお気に入りです。早めに着いてものんびり待っていられる。

座席は狭いので隣に人が入るような映画だと窮屈になるかもしれません。このときは土曜日だったせいか半分以上の座席が埋まっていて、隣の人が大あくびをしてたり伸びをしてたりいびきかいて寝たりしていました。

というわけで、このソウルオブワイン、なかなかおもしろかったです。少なくともワンピースよりはおもしろかった。こういうドキュメンタリー映画も良いものですね。ロマネコンティが作られるまでの過程を丁寧に描いた作品で、ワイン畑の仕組みや生産者たちの思いなどが語られていて、とても興味深い内容でした。

ロマネコンティって一度も飲んだことは無いのですけど、1本200万円とかするらしいので、何かの大事な記念日で飲んでみたいですね。何周年かの結婚記念日とか、そういうレベルのタイミングにでも。

作中の映像を信じるなら、とてもとても人力で生産されているようでした。100年前の映像なのかなっていうくらい、すべてが人間の手によって作られている印象でしした。こういう作り方をしていたら出来栄えにブレができてしまうんじゃないかなぁと思ってしまうくらいでした。実際に作中でもこの年は日当たりがよかったので葡萄がよく育ったみたいに語られていたりして、フランスワインというのはそういうものなのかもしれません。現代人の感覚からすると、正直言って、ブレがあるような作品造りに対しては少し疑問が沸いてきてしまいますけども…。アナログすぎて信用できなくなってしまうというか。もしその年のワインが美味しくなくても同じ値段で売っているのだとしたら、嘘をつかれているような気分になってしまいそうです。私が現代日本人だからそんな風に思ってしまうのかもしれませんけど。少なくても私はそういう商売はしたことがないですし今後もするつもりないです。でも、もしかしたら日本の伝統文化的にはむしろ親和性が高い価値観なのかなとも思いました。一期一会というかワビサビというか、そのときそのときの出会いというか、自然災害なんかでその年の出来が悪かったとしてもそれはそれという思想というか、そういう考え方は日本社会にも有りそうな気がします。過去の信頼の積み重ねで許されるというか。

テロワールは地質学だという発言や、化学薬品を使わずに畑のミミズなどの微生物の働きまでも考慮するという話や、自分の畑がビオディナミ製法を続けていることに対するプライドの話など、色々と奥深くておもしろい作り手の話が多かったです。1つのワインが作られるまでに色々な思想や配慮があるのだなぁと思いました。自分は土地の所有者ではなく過去から続く土地を守る番人という意識だという話も、とても印象深かったです。

一つ圧倒的に気持ち悪かったのが、結構な年配の男性が素足のままワインの樽の中に入ってはぁはぁぜぇぜぇ言いながら樽をかき混ぜるシーンですね。まじで衝撃でした。本当に、今すぐに忘れたいというか、次にフランスワインを飲むときまでの間に忘れておきたいというか、そんなレべルのシーンでした。Tシャツ短パンのまま手も足もそのままでワインの樽の中に入って、必死に足を上下に運動させて樽をかき混ぜていました。というか今こうして書いていてそのシーンを思い出してしまってきついです。衛生的な意味でもきついですけど、単純におっさん(老人?)の体液とか体毛とかがロマネコンティのワインの中にめちゃめちゃ染み込んでいるのだということがよくわかってしまってきついです。本当に衝撃でした。これからフランスワインを飲むたびに思い出してしまいそうな映像でした。ロマネコンティやフランスワインに対する圧倒的なネガキャンなんじゃないかというレベルの映像でした。今後フランスワインを飲んでいる人に対して「おっさんの体液しみしみだけど良いの?」という突っ込みが入ることになりそうな映像でした。まぁ、そんなことを言ったら外食とかできなくなってしまうのかもしれませんけども。私が現代日本人だからこんなふうに思ってしまうのか…。でもこれはフランス人の衛生観念がきついという話なわけでもなく、何年か前の日本の映画で「君の名は」という作品があって、その中でお酒を造るためにお米を口に含んで吐き出すというシーンがあったのですけど、今回のフランスのおっさんの素足の体液しみしみのシーンと同レベルのきつさがありました。「君の名は」の作者は日本人で、たぶんそのお米を口に含んで吐き出すというシーンを気持ち悪いとは思っていなかったのだろうと思います。単純に感性の問題ですかね。国家の違いではなく。それか単純に世代差ですかね。

というか、その「君の名は」のシーンは少女だからセーフという作者の感性があったのかもしれません。それはまた別の種類のキモさがありますよね。少女だろうがおっさんだろうが体液しみしみはきついですよ。

あと、最後の方のシーンでものすごく違和感があったのが、日本人のソムリエとシェフが1945年のワインについて語るシーンですね。めちゃめちゃ長い尺をとって2人の日本人が日本語で「まじすごいっす」「何も言えないっす」「飲んだことある?」とかコミュ障全開の品評をするシーンが唐突に挿入されたのですが、うーん、尺が長すぎてめちゃめちゃきつかったですね。何も言うことが無いけど無理やり何か言おうとしている2人というシーンなのですけど、うーーん、せめて30秒くらいの尺だったらそのままスルーだったのですけど…。見ててめちゃめちゃきつかったです。たぶんですけど、本当にたぶんですけど、フランス人の製作陣から見て、ソムリエやシェフの人たちがここまで絶句してしまうくらいすばらしいワインなのだという意図のシーンだったのだろうと思うのですよね。ソムリエがこんな反応を示してしまうくらいのすばらしいワインなのであると。でも日本人視聴者の誰もが思ったと思うのですけど、言語化能力が無いだけですよね。もともとコミュ障なだけです。ごく普通の日本人男性というか。別にビールを飲んでも「まじうまいっす」「何も言えないっす」と言いますって。それが良い悪いではなく。むしろ料理についてはとても美味しいものを作る人たちなのだろうなぁと好感が持てます。

というわけで、久しぶりに映画館で映画を観ることができて、なかなか楽しかったです。映画を観たあとは近くの牛の蔵という焼肉屋さんに初めて食べに行ったのですけど、広くて綺麗な個室で話しやすくて雰囲気よくて大満足でした。そのあと近くのカラオケで二次会してタクシーで帰ってきました。たまに映画館へ映画を観に出かけるのも楽しいですね。

深木章子『敗者の告白』ネタバレ感想

深木章子『敗者の告白』角川文庫 2017年8月刊

 

 

※小説の感想はすべてネタバレありで書いていこうと思います。

 

お台場のダイバーシティの中の本屋で購入しました。一番目立つ棚にどーんと置かれていたので新刊なのかなと思って購入したら、だいぶ昔の小説だったみたいですね。なぜいま推されていたのだろう。全然知らない作者の知らない小説でした。読んでみたら、めちゃめちゃおもしろかったです。最初から最後までずっとおもしろかった。これは推されるのも納得というおもしろさでした。続きが気になって電車の中とかで少しでも空き時間ができたら続きを読む、という感じでした。

事件関係者の告白だけで話が進むという物語で、なので嘘を言っている人がいるのだろうなぁという前提で読み進めていった感じですけど、それぞれの話に少しずつ矛盾点とか不自然なところが出てくる感じで、結末が気になって最後まであっという間に読めました。

内容についてネタバレで語っていこうと思います。

子供が実は殺人鬼という内容はなかなかインパクトがありました。ただ、読んでいてどうしても違和感というか無理やり感は感じていました。なので、最後に全部が親の捏造だったというオチになったときはとても納得感がありました。すべてがすっきりした感覚でした。最後の自殺オチについても、完全犯罪が成立して終わるのも変ですし、良いオチだったなと思います。

序盤の母息子の死者の告発2つがどちらも父の捏造だったわけですけど、その後の父の告白とも一見して矛盾の無いストーリーになっていて、それでいて捏造する動機やオチも納得できる理由が用意されていて、良い構成の小説だったなぁと思います。一番最初の母の雑誌編集者への告発がものすごい矛盾だらけですぐに嘘がバレていたのも、すべて捏造とわかればそちらの方が納得がいきますし。

初めて読む作家でしたけど、これは他の小説も読んでみたいなと思いました。