読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

新潮新書『野村萬斎』感想

中村雅之『野村萬斎新潮新書 2022年3月刊

 

 

狂言師(兼俳優?)の人について書かれた本。正直よく知らない人だったのですけど、一度狂言を見たことはあったらしいです。何年か前から仕事の関係でお能を観るようになっていて、最初はただ新鮮で楽しいという感じでしたが、色々な美術館でお能の関連の美術品を見かけて、お能を知ることで美術館がもっと楽しくなっていくかなぁと思っています。ちなみに明日5月29日に国立能楽堂道成寺という演目のお能を観てくるのですが、先月くらいに伊豆へ旅行で行ったときにふらっと寄った美術館でこの道成寺の鐘と蛇の絵が飾られてました。お能の演目の1シーンとして。お~これが今度観に行く道成寺のストーリーかぁと思いながら鑑賞できました。

この本は、野村萬斎という人の生い立ちから始まって、家系図の先代や先々代の話など、偉人の伝記みたいな内容でした。父方も母方も良い家柄の人だったみたいですね。正直、家系の話については知識ゼロであまりピンと来なかったです。でもお能の世界は本当に家系が大事らしいですね。なかなか大変な世界だなぁと思います。

この野村萬斎という人、『七つの会議』という映画の主演をしていたそうなのですが、その映画、観よう観ようと思って結局観れなかったのですよね。Amazonプライムに入っているらしいので、近いうちに観てみようと思いました。たしか半沢直樹の人の原作作品だったような気がします。なので、この令和の時代に観ておもしろいのかどうかはとても不安ですが…。

お能については一生の趣味になりそうですし、もっと勉強していきたいですね。美術館も色んなところにどんどん行ってみたいです。1~2年前に世田谷区の静嘉堂文庫美術館というところでお能の仮面の展示会をやっていて、なかなか楽しかったです。ああいう展示会がまたあったら絶対行きたい。静嘉堂文庫美術館、丸の内に移転が決まりましたね。いま移転中で、今年の10月に丸の内で開館するみたいなので、そしたら行ってみたいですね。

原田ひ香『三千円の使いかた』ネタバレ感想

原田ひ香『三千円の使いかた』中公文庫 2021年8月刊

 

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

吉祥寺キラリナ7階の本屋で平積みになっているのを見て購入しました。新刊ではなくて去年の本だったみたいですね。まったく知らない作家さんの小説だったのですが、なかなかおもしろかったです。夜寝る前に読み進めていって、3~4日くらいで読破しました。

姉妹と母と祖母のそれぞれの視点から描かれる短編集という形式の本でした。内容はお金の悩みにどう向き合うかというようなもので、現在お金が足りなくて収入を増やそうという悩みだったり、将来のために貯金しようとして節約する悩みだったり、ちょっと共感できる系の話ばかりで読みやすかったです。全体的に優しい世界観だったので読んでいて安心できました。お金のことを考えていくうちに家族の仲や理解度が深まっていく、みたいな。

こういう複数視点の小説は、他の視点からはこう見えていたけど実際は…みたいな展開がおもしろいですよね。みんなそれぞれ悩みを抱えている感じというか。世界観に深みが出る感じ。

あと、この本を読んでいてとても思ったのですけど、独身でお金が無かったころに読んでいたらもっと共感できただろうなぁということです。今はもう年をとってしまって3千円は誤差の範囲です。仕事もすべて1万円単位で請求ですし。3千円の使いかたを気にすることもなくなってしまいました。20代~30代前半くらいのときは超貧乏サラリーマンでしたので、そのタイミングで読んでいたらもっと世界観に入り込めただろうなぁと思います。

漫画『往生際の意味を知れ!』ネタバレ感想

米代恭『往生際の意味を知れ!』ネタバレ感想

 

 

※最新4巻までネタバレで語ります。

 

週刊スピリッツという雑誌で連載されているらしい漫画。現時点で4巻まで出ています。一気購入して、一気読みでした。めちゃめちゃおもしろかったです。こういう系統の漫画すごい好きですね。

印象的な台詞が多くて、ストーリー展開もスピード感あっておもしろいです。勢い重視って感じで。1巻の第1話の時点で勢いがすごかったですけど4巻まで勢い続いていておもしろいです。特にヒロインのキャラクターが、次にどういう台詞を言うのか読めない感じがめちゃめちゃ良いです。ミステリーやサスペンスっぽいノリというか。3姉妹&お母さんは全員キャラクターがとても良いですね。後輩の榊田くんとか同僚の八幡さんとかはキャラが薄いなーと思いますけど。

3巻ラストの「思い上がるな。」からマンション飛び降りるシーンは最高にわくわくしました。台詞も展開もおもしろすぎた。漫画って感じでした。とにかく勢いで持っていく感じがとても良かったです。こういうの大好きです。

3~4巻くらいで3姉妹と母親&叔母さんの話はだいぶ描かれてきたと思いますけど、このあとどういう展開になっていくのかまったく読めないですね。普通の漫画だったら出産ドキュメンタリーがどういう展開で撮影・公開されていくか楽しみーという感じなのでしょうけど、この漫画はほんと読めない。

母親&日和のキャラクター描写もとても良いと思います。自分に心酔していて言うこと聞く相手を見抜いてふるまっていく感じ。ファンタジーの中のリアル感というか、主人公の心酔があって日和の態度があるという順番なので説得力が生まれています。母親や日和のキャラクターが成立している根拠が描かれているので説得力がありました。

4巻ラストで叔母さんが死亡?するのもなかなか衝撃でした。次巻予告でお葬式シーンですし…。新幹線のホームで堂々と殺人がおこなわれる世界観がすごい。人がいないわけないのですけど…。漫画って感じですよね。エンターテイメントに振り切ってる感じ。

まだ過去のお父さんの話などが描かれていないので、そのあたりの真相はこれから描かれるのですかね~。5巻以降もとても楽しみですね。やっぱり漫画っておもしろいな~っておもいます。