読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

芦沢央『バック・ステージ』ネタバレ感想

芦沢央『バック・ステージ』角川文庫 2019年9月刊

 

f:id:seoma:20191005235518j:plain

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

広島旅行のときに新幹線の中で読みました。広島の福山駅に着いたときもまだ途中で、そのあと福塩線という電車に乗り換えたあとも車内で読み続けて、ちょうど高木駅というおばあちゃんちの最寄り駅に着いたときにあと少しで読み終わるというタイミングで、もうこのまま乗り過ごして最後まで読み切っていこうかと思ったのですけど、さすがにおばあちゃんが待っているので断念して電車を降りました。それくらいおもしろかったです。夢中で読めました。結局おばあちゃんちに着いたあとはおばあちゃんと話したり買い物へ行ったり夜ご飯を食べたりしてましたから、その日の寝る前になってようやく最後まで読むことができました。

最初から最後までおもしろかったですね。基本は短編集って感じでしたけどそれぞれ繋がりがあったり同じ場所が舞台だったりで、一連の物語という感覚で読めました。

読み終わったあと、1話目の母親の話だけが舞台と無関係で謎だなぁとちょっと思ったのですが、よく考えると2話目も舞台とそんなに関係なかったですね。どちらもオチが意外性ある感じで、それでいて最後はいい雰囲気で終わって読後感も良く、いい話だったと思います。

でも3話目が一番おもしろかったですね。脅迫状が届く展開も、舞台の役柄のために体の関係を持つ展開も、ストーリーに緊張感がありました。オチも良かったです。ジャンプ漫画のアクタージュみたいなノリでしたね。舞台に命かけてる、みたいな。この話は短編としてはトップクラスにおもしろかったと思います。いま思えば妥当なオチという気もしますけど、新幹線の中で読んでいるときはおお~すごいオチだなあ~くらいに思いました。

最後の最後にいい雰囲気で終わるのも良かったですね。「もう解散したって答えてもいいですか」という台詞は名文だなぁと思いました。この終わり方は圧倒的なセンスを感じる。

この作者の次の作品も楽しみですね。今の最新作のカインは~みたいな名前のやつも評判がとても良いっぽくて、文庫化されるのが待ち遠しいです。