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今村昌弘『屍人荘の殺人』ネタバレ感想

今村昌弘『屍人荘の殺人』創元推理文庫 2019年9月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

いつもTwitterで小説を教えてもらっている人から、ずっと前から教えてもらっていた小説でした。文庫化されたら買おうとずっと思ってた。映画化されるということは聞いていまして、たぶん映画化されるタイミングで文庫化されるのだろうなと、ずっと待っていました。

永福町の駅ビル2階の本屋で購入しました。今はどこの本屋でも新刊コーナーの一番目立つ場所に平積みにされていますよね。全然知らない名前の作者だなぁと思っていたら、新人だったらしい? この作品がデビュー作だったらしい? すごいですね。

読み始めてから3日くらいで読み切ってしまいました。とてもおもしろかったです。評判通りでした。特に後半は一気読みでした。

ネタバレで語ります。

最初は会話文の独特な感じがなじめなかったのですが、中盤以降はそれも気にならなくなってきて、ストーリーの続きが気になって一気読みでした。どういうオチになるのか読めなかった。

まさかゾンビものの小説だとは思わなくて、びっくりしました。かなり意外性がありましたね。現代が舞台で普通にこういうゾンビものの作品があり得るとは、と思いました。オチがどうなるのかほんと読めなかったです。ゾンビが本当にゾンビで明智さんとかが本当に死んでゾンビになったまま戻らないオチとは思わなかったです。何かトリック的なオチだと思っていたので、普通にそのまま終わったことに対して逆に意外性を感じました。超常現象があるタイプの世界観だったとは。ミステリだと超常現象に見えて実は…みたいなオチばかりでしたので。これはこれで新鮮でおもしろかったです。逆に騙された感がありました。

犯行動機とか犯人とかにもひねりがなく、ゾンビウイルスの詳しい仕組みも明かされないまま終わるという展開でしたけど、最後まで楽しく読めたので不満は無いですね。次回作へと続く感じなので、また楽しみです。

でも終盤でちょっと主人公犯人オチを匂わせる展開になったのは、おもしろかったです。引き込まれました。扉から外に出たときに目を合わせたのはおかしいというのは、まったく気づかなかったです。見取り図は何度も振り返りながら読んでいたのですが、そこは思いつかなかったですね。なるほどぉ~と思いました。

エレベーターに入れて1階へ降ろしてゾンビに殺させるみたいなトリック(?)はさすがにうーーん?って感じでしたけど、この終盤のあたりまでくるともう世界観に慣れてきたというか、ゾンビものだなという感じで読んでましたので、これはこれで勢いがあって良いって感じでした。このゾンビウイルスの製作者とか首謀者の人の目的なんかも一切説明がないまま話が進んでいってそのまま終わりましたし。ちょっと他の小説とは違うノリというか、でもこれはこれでいいと思います。

主人公の葉村くんとヒロインの剣崎さんに対しては正直そこまで魅力を感じなかったのですが、それでこれだけおもしろかったので、2作目以降も本当に楽しみです。この同じシリーズの続編も読みたいですし、まったく別シリーズも読んでみたいです。