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雫井脩介『望み』ネタバレ感想

雫井脩介『望み』角川文庫 2019年4月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

Twitterでおすすめされて購入しました。母親の心情がリアルでしんどい、と。

3~4日くらいかけて読みましたけど、後半部分は、すごい眠れなかった日に一気読みしました。

息子が殺人犯であってほしいのか被害者であってほしいのか、究極の選択って感じで、なかなか読んでいて考えさせられるというか、おもしろかったです。読み応えありました。序盤の、客を家に上げて子供の部屋まで見せるというズレた家庭の描写もインパクトありました。これは子供が変な感じに育ちそうだなーという掴みからの、子供が殺人事件に関わっている可能性が出てくるという話の流れは、うまいと思いました。

殺人犯であってほしいのか被害者であってほしいのか、極端な問いかけをすることによって人間の本質を追及しようとする感じは、これからの正義の話をしようっぽさがあって、なかなかおもしろいテーマ設定だったと思います。

リアル感がある部分も多くって、これはたしかに読んでいてしんどい気持ちもありました。父も母も娘も、それぞれ心情がわかるというか。丁寧に描かれてる感じがありました。

マスメディアの嫌な感じや、母の妹の無神経な感じも、すごいうまく描写されていて、エンターテイメントだったと思います。

帯にミステリと書いてありましたけど、ミステリではないような気がしますね。でも心情描写に共感できる部分も多くて、エンターテイメント性もあって、いい小説だったと思います。

帯には映画化決定とも書いてありますけど、30分で終わる内容のように思えますけど2時間どうやって引き延ばすのだろう。ちょっと冗長になりそうですが…。