読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

麻耶雄嵩『あぶない叔父さん』ネタバレ感想

麻耶雄嵩『あぶない叔父さん』新潮文庫 2018年3月刊

 

f:id:seoma:20190414163953j:plain

 

※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

twitterでいくつかオススメを教えてもらったうちの1冊でした。なんとなく名前は知っていたけど…という印象の本でした。この作者の小説はいくつか読んだことがありまして、『螢』という小説が特に好きでした。トリックがすごいおもしろくて。 それ以外にもなかなかおもしろい小説が多かったと思います。ただ、例えば『貴族探偵』とか、設定はおもしろいけど少し冗長感があって最初から最後までずっとおもしろいわけではない、みたいな作家だったと思います。この『あぶない叔父さん』もまさにそんな感じの小説でした。

最初の1話2話くらいは素直におもしろかったです。叔父さんがどういう意図で行動しているのか読めない感じがおもしろかった。叔父さんが殺意をもって殺していたのか、本当に偶然なのか、それとも実は主人公が殺していたオチなのか。でも3~4話あたりから展開がわかってきて、叔父さんは本当に偶然殺してしまっただけっぽくて主人公も別に殺人をしていなくて、あとは最後まで多少の冗長感を感じながら、何か驚きのオチが待ってたりしないかなーと期待しながら読み切った感じでした。

最後の屋上の幽霊はよくわかりませんでした。選ばないといけないというのが明美と真紀の2人から1人を選ぶことかと思わせておいて何か別の選択のことだったということなのでしょうか。もう一度読み返したらわかるのかもしれませんけど…。正直後半部分は最後のオチに期待しながらささっと読んでいたので、何か見逃していたのかもしれません。明美が幽霊だったオチなのかと思いましたけど学校や病院や自宅で通常通り生活しているようなシーンもありましたし、屋上の幽霊は過去に屋上で死んだ女子の幽霊だったということなのかな。でもその幽霊にどんな意味があったのかは初見だとよくわかりませんでした。

あとは、真紀の「あなたが何をしたか知っている」みたいな台詞の意味も、隣町に叔父さんと同じような境遇のニートがいるのを知ってるという主人公の台詞も、よくわからないまま読み終わってしまいました。二度読み三度読みするとわかるようにできているのかもしれませんけど、一度読みの時点で冗長感を感じていましたし、二度三度読むのはきついかな…。

色々な伏線の意味がわかったらおもしろいのだろうと思いますので、たぶん長さが半分くらいだったらちょうど良かったのかもしれません。それくらいだったら神作だったのかもしれません。