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歌野晶午『絶望ノート』ネタバレ感想

歌野晶午『絶望ノート』幻冬舎文庫 2012年8月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

これもTwitterで存在を知って購入。古い小説だったせいか吉祥寺の本屋で売ってなくって、Amazonで購入しました。なかなか分厚い本でしたけど、すいすい読めて2~3日くらいで読み切ってしまいました。

『葉桜の季節に~』の作者の小説だったみたいです。『葉桜の~』はめちゃめちゃ騙されて、かなりおもしろい小説でしたね。それで言うと、この『絶望ノート』は、正直『葉桜の~』ほどの衝撃度はなかったと思います。

ネタバレで語ります。

ネタバレ無しで語れないタイプの小説ですよね。途中まで私はこの主人公が実は女子でしたというオチなのかなーと思いながら読んでいました。いじめグループの中でキャラクターがしっかり語られているのが是永くんくらいでしたし、他の名字だけの人たちは女子で男女混合グループというオチなのかなぁと。それなら女子トイレに連れ込まれて男の先生に近づくなと言われる展開も納得ですし。でもそれは作者のひっかけでしたね。というか女子トイレに連れ込まれたエピソードは結局何だったのかよくわからなかった気が…。この部分の創作の意図がわからないというか。

親へ向けたメッセージだったというオチは、とても納得感があっておもしろかったです。 親と子が交互に語られる構成に対しても「そういうことだったのかあ」と思えましたし。あとは、母親がノートは創作じゃないかと疑うシーンが作中で何度もあったのが逆に上手いというか、全部創作でしたオチの納得感も高まりましたし。

主人公が万引きクズだったというオチになりましたけど、家庭環境的にそうなったと納得できる部分もあり、落ち着くところに落ち着いた感じの終わり方で、とても良かったと思います。