下村敦史『闇に香る嘘』講談社文庫 2016年8月
※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。
これもTwitterで3~4個一気におすすめしてもらったうちの一つ。本当にありがたいです。何年か前の小説らしいですけど、吉祥寺パルコブックセンターでは平積みで売られていました。真っ黒表紙のインパクトがすごかった。
主人公が盲目というものすごい設定の小説だったのですけど、元々は見えていて40歳を過ぎてから病気で盲目になったというパターンなので、まだいくらか共感しやすかったです。盲目の人の過ごし方というか、行動の仕方がとても丁寧に描写されていて、そこもとても良かったですね。なるほどなるほどと思いながら読めました。描写が丁寧なのでリアル感がすごかったです。
兄はストーリー的に言って偽物なのだろうなーと思いながら読んでいたのですが、そうなると孫娘へ移植できる人がいなくなってしまうので孫娘がもう助からないことになってしまうんじゃ…という絶望感ある物語展開で、はらはらしながら読めました。兄がやっぱり本物でしたというオチだとしても、孫娘は助かるかもしれませんけどそれはそれで物語的にどうなのか…とも思いましたし。
ネタバレで語ります。
まさかここまで綺麗におさまるオチが待っているとは思いませんでした。まさかこんなハッピーエンドで終われるとは。予想外すぎて、おもしろかったです。作中の疑問点も最後に一気にすべて解決しましたし。読んでる途中はヒ素の小瓶とかどういうオチになるのかまったく予想がつかなかったです。
中盤の「おまえのあにはひとをころした」あたりもかなりわくわく感ありましたし、中盤~終盤とずっとおもしろい良作だと思います。あと、最後参考文献が5~6ページくらいずらーっと並んでいるのすごかったですね。読んでいて描写や世界観に説得力がありましたし、この参考文献の多さも納得でした。