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竹本健治『涙香迷宮』ネタバレ感想

竹本健治『涙香迷宮』講談社文庫 2018年3月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

大賞受賞作ということで、どこの本屋でもずらーっと平積みにされていた小説。買って読み始めてから知ったのですが、シリーズ物の新作という位置づけの本でした。これはもう本業界のダサいところが出てるなぁって感じなのですが、表紙や帯ではシリーズ物だということが一切隠されているのですよね。まじで一言も書いてないです。そういうことを書いたら敬遠されて売れなくなるということで隠しているのでしょう。とにかくこの1冊が売れればそれでいいって感じの売り方をしてきますよね、本業界は。消費者の満足度を高めようという視点も無いですし、消費者と長く付き合っていくための気配りなんかも無いです。内輪向け業界って感じですね。別に私はそういう業界だと知っているので特に問題はないのですけど。世の中詐欺みたいな売り方している業界は多いですからね。銀行とか携帯会社とか。本業界なんてかわいいものですね。

ということで、まず読み始めたときにシリーズ物の続編だったということが衝撃でした。作中のミステリよりこっちの叙述トリックの方が衝撃度高いという。主人公にもヒロインにも説明が無いまま話が始まっていき、結局最後まで主人公とヒロインが何歳くらいでどういう関係なのかわからないまま終わってしまいました。

完全パングラムの「いろは歌」という題材はとても興味深かったです。よく作ったなぁと本当に思いますし、最初の文字がそれぞれ違う48個のいろは歌から自動的に49個目のいろは歌が作られるというのも、めちゃめちゃおもしろかったです。この辺はわくわく感がすごかった。ハンターハンターGI編の見開きスペルカード紹介ページみたいな「おお~~」っていう感じがありました。