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井上真偽『その可能性はすでに考えた』ネタバレ感想

井上真偽『その可能性はすでに考えた』講談社文庫 2018年2月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

いつの間にか文庫化されていたということで、買ってきました。『その可能性はすでに考えた』タイトルかっこよすぎますね。全小説の中でもトップクラスにかっこいいタイトルだと思う。大きめの本ですでに読んでいるので、二度読みということになりました。加筆修正されているようですが、どこが変わっているのかは、前の本を捨ててしまったため(当時は本棚がなかったため)わかりませんでした。

ちなみにこの本は、吉祥寺のキラリナ7階の啓文堂書店では1冊も売ってなくって、アトレ2階のブックファーストでは新刊コーナーに2列平積みで売られてました。アトレのブックファーストは『探偵が早すぎる』もレジ前の棚にどーんと置かれてましたし、井上真偽をめちゃめちゃ推してますね。ちなみにパルコブックセンターでも新刊コーナーに並んでいて『探偵が早すぎる』も棚の目立つ場所に置かれていました。1冊も置いていない啓文堂書店の方が異端と言えるのかもしれない。

さてさて。内容について。この小説もまたキャラクターが美男美女ばかりで台詞も気取ってる感じなのですけど、そういう部分に対して作中でしっかりつっこみが入りながら話が進んでいくので、自然に読めます。普通の人の感覚から語られているというか。この作者の小説はどの作品もそんな感じなので、物語設定やキャラクターがファンタジーよりでも違和感なく世界観に入れますね。

敵役がとんでも推理を披露して探偵役が「その可能性はすでに考えた」と反論していくという流れ自体がおもしろいですけど、御神体が現実の人間の死体だった説はほんとおもしろかったです。御神体の正体を知っていた人間が全員消えたからその可能性は誰にも潰せない、という。この何でもアリ感がめちゃめちゃおもしろかった。作者天才だなぁと思いました。あと、「その可能性はすでに考えた」という言葉がほんとかっこいいですね。名言だなぁと思います。

続編の『聖女の毒杯』も文庫化されてほしいですね。文庫化されたら絶対買ってまた読みたいと思います。 この作者の小説は本当に好きです。頭を使いながら読んでいくところが。論理を積み上げていくところが。頭の体操みたいな感じで、寝る前に読むのに最適な作家だと思います。