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『NO推理、NO探偵?』ネタバレ感想

柾木政宗『NO推理、NO探偵?』講談社 2017年9月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

twitterで存在を知っておもしろそうだったので吉祥寺アトレ2階のブックファーストで購入。3~4日くらいかけて読み終えました。最終話はめちゃめちゃおもしろくて一気でした。

探偵が推理をしないというと貴族探偵を連想したのですけど、あれとはまた別物でした。貴族探偵は探偵が推理しないだけで使用人はしっかり推理していますし、話もしっかりミステリですし。

さてさて。第1話から第4話までの間は、読んでいて苦痛でした。ノリが寒いというかキモいというか、世界観にまったく馴染めなかった。たまーーにちょっとおもしろい言い回しも出てくるのですけど基本ひたすらキモいかけ合いが続く感じで。キモいというか、何と表現すればいいのでしょうねこの寒さは。最後のオチを信じてがんばって読み続けました。

それで、最終話、これはめちゃめちゃおもしろかったです。一気にロジックで話が進むのがおもしろいですし、最後の犯人のオチもこんなのよく思いつくなぁって感じで、それでいて理詰めで納得感があって、すごかったです。作者天才だなぁと思いました。最終話ひたすら推理だったのほんとすごい。

 「メタってどうしても言わずにいられない」とかのそれまでの台詞が最終話でつながってくるのもすごかったですね。「犯人は自分が小説の登場人物だと認識している人物」とかいう推理は冷静に考えるとかなり寒いオチのように思えますけど、ページ数が決められているのは新人賞の応募原稿だけという話と絡めて犯人を一人に絞る流れは天才的だなぁと思ってしまいました。「本当は嫌だったんでしょ、応募原稿止まりは。」の台詞とか、めちゃめちゃ笑えました。

ということで第1話から第4話までの圧倒的な寒さを最終話の爽快感が凌駕した小説でした。プラスマイナスでいうと完全にプラスになっていた。この作者の次回作を読むかどうかは、うーん、評判次第?って感じですかねー。