読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

幻冬舎新書『新宿・歌舞伎町』感想

手塚マキ『新宿・歌舞伎町』幻冬舎新書 2020年11月刊

 

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三軒茶屋TSUTAYAで購入しました。タイトル買いでした。歌舞伎町って大好きなのですよね。キラキラした雰囲気が本当に好きです。歩いているだけでテンション上がります。結婚してからも夫婦でよく行きます。飲み歩きしたり、たまにボーリングしたり。

歌舞伎町を歩いているときのテンションと東京タワーや渋谷スカイから街の夜景を見降ろすときのテンションって結構近いです。この街で何万人も何十万人も生きていて動いているんだなぁという感覚というか。このキラキラした大きな街の中で自分一人、みたいな感覚というか。自分一人vs大きな街みたいな感覚になります。色んな人が居て色んな人生があるなぁというか。自分はここでがんばっていこうと思って仕事に対するテンションが上がります。

そんな大好きな歌舞伎町について、ホストクラブの店長の人の視点から書かれた本でした。私はキャバクラとかホストクラブってほぼ行ったことがないのですよね。歌舞伎町のホストクラブが密集しているエリアは夫婦でよく行くのですけど。通行人よりも立ち止まって2人で話しているホストの人たちの方が数が多い空間という印象です。私が夜遅い時間に歩いているせいかもしれませんけど、ホストクラブに入っていく客の姿をあまり見かけないのですよね。こんなにいっぱいホストクラブがあって儲かっているのかなぁと不思議に思います。めちゃめちゃ興味ありますけど顧問先で1件も無いですね、ホストクラブ。

この本の内容について語ると、この著者の人の歴史というか経験してきたことについて時系列で書かれていて、すいすい読みやすい本でした。ホストのときの話とか、歌舞伎町の周りの人たちの話とか、色んな話題があって読んでいておもしろかったです。ビジネス的にとても成功している人なのだろうと思うのですけど、ドヤるところが一切なくて、好感もてるというか、結局本心なのかよくわからないというか、そんな感じでした。失敗談のようで失敗談でなくて、でも成功談としてドヤるわけでもなくて、という展開で、不思議な感じというか。でも最初から最後までおもしろい本でした。

斎藤千輪『だから僕は君をさらう』ネタバレ感想

斎藤千輪『だから僕は君をさらう』双葉文庫 2020年11月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

三軒茶屋TSUTAYAで購入しました。本屋のおすすめコーナーの中から何となく選んで。まったく知らない作者の知らない小説でした。というかこれがデビュー作なのですかね。「ルーキー大賞」と書いてありますね。

寝る前に少しずつ読んでいきましたけど、後半は一気読みでした。

正直、序盤は読んでいてきつかったです。キャラクターや文体にあまりなじめず、話も進まず…という感じで、我慢しながら読む感じでした。ミステリの序盤は我慢だなぁと思いながら読んでいました。

中盤からは、最後まで一気読みでした。主人公が父親と同じように誘拐をしてしまうという展開は、とてもわくわくしました。おお~こういう物語なのか~という感動がありました。どういうオチになるのか気になりましたね。一気読みで読破してしまいました。

主人公のキャラクターについても、周りのキャラクターについても、序盤はあまりなじめなかったですけど最後の方は好感を持てました。主人公の雇い主のサロンオーナーの人とか、SNSで匿名で悪口を言った人とかも、最後は普通に好感でした。SNSで悪口を言ったあとの主人公とのやり取りや改心の流れも、とても良かったと思います。物語として好感を持てたというか。キャラクターにリアル感も感じました。

最後は感動でした。こういうベタな展開に対して素直に泣けるタイプなので、素直に泣けました。ハッピーエンドで良かったなぁと思いました。

正直よく知らずに買いましたけど、想像以上に良かったなぁという感じです。次の作品にも期待ですね。

知念実希人『崩れる脳を抱きしめて』ネタバレ感想

知念実希人『崩れる脳を抱きしめて』実業之日本社文庫 2020年10月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレで書いていこうと思います。

 

ブログの存在を久しぶりに思い出しました。1~2行でもいいからたまには書いていこう思います。最近は夜の読書の時間が減ってきているのですが、寝る前に少しずつ読み進めて、1~2週間くらいで読破しました。途中からすごいおもしろかったです。

この作者の小説、前に何度か読んだことはあったと思います。この実業之~という出版社名に見覚えがありました。というかこの作者でしか見たことが無いと思います。もしかしたらこの作者の個人出版社なのですかね。出版社とかも作家が自分で作っちゃった方が100%自分で決められるというメリットがあるのかもしれないですね。

この『崩れる脳を抱きしめて』、序盤は話が進まなくって、惹かれる部分が少なかったです。ミステリなのかどうかもわからなかったですし。中盤から、死亡の真相を調べるみたいな展開になったあと、めちゃめちゃおもしろかったです。一気にわくわくしました。どういうオチになるのか読めなかったです。最後はとてもハッピーエンドで、読後感もとても良かったですね。

なんか弁護士の人との会話に対して、こんな失礼な話し方する弁護士いるわけないだろうという違和感がすごくて、作者は弁護士をどういう職業だと思っているのかな…くらいに思っていましたけど、犯人だったならまぁ納得というか、そんな感じでした。でも主人公とヒロインの会話とかも、なんか違和感というかファンタジーっぽさを感じましたね。大事なイベント当日にそれをすっぽかして新幹線に乗るとかのノリも、なんというか、作者は40~50歳くらいなのかなって感じでしたね。テレビドラマっぽいというか。それが嫌というほどではなかったですけど。

今の時代のリアルな小説を読みたいなー。

何かの大賞作品だと帯に書いてありましたけど、中盤以降のおもしろさは賞をとるだけあるなぁと思いました。またこの手の大賞作品は読んでみてもいいかも。