読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

世田谷美術館「作品のない展示室」

世田谷美術館

https://www.setagayaartmuseum.or.jp/

 

世田谷美術館へ行ってきました。行ったのは初めてでした。どうも電車で行こうとすると微妙に不便というか、最寄りの井の頭線高井戸駅からだとたぶん渋谷乗り換え?で大回りして行くことになる立地なのですよね。そういう理由でなかなか行く機会がなかったのですが、最近車を購入したので、車で行ってきました。しかも浴衣で。

美術館内のレストラン「ル・ジャルダン」で浴衣キャンペーンが開催されていて、浴衣で行くと歓迎してもらえるということで、夫婦で浴衣で行ってきました。ちなみに下駄では車の運転ができないだろうと思って運転は靴下&スニーカーで、レストランについたら車の中でもぞもぞと下駄に履き替えるという感じでした。

 

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展示スペースに何も作品が無いというのは、新鮮でおもしろかったです。でも美術館の造りや内装がかっこよくて、この中を歩けるだけで興味深いというか、とても楽しかったですね。窓から見える公園の風景が完全に作品になっていた。

平日の昼間に行ったのも良かったのかもしれません。館内も空いていて、のんびり見て回れました。撮影可能でしたので自由に撮影もできて。

 

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こういう浴衣姿のめずらしい写真をいっぱい撮影できました。浴衣で出歩くことはほぼ無いので、新鮮さがすごかったです。下駄で歩くと足の裏でぺちぺち鳴るときがあって、なんとか鳴らないように気をつけて歩いていました。足の指に力を入れたりして。何か歩くときのコツとかあるのかな…。

 

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窓の向こうの公園の風景が作品っぽい。そういえばこの浴衣姿はちょっと建築家っぽいと言われました。うぇーい。

 

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撮影可能なので写真撮影している人は他にも見かけました。ガチっぽいカメラで。これはほんとに写真に撮りたくなるなぁと思いましたね。作品のない展示室の中で写真という作品を作るという。

 

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これは美術館やレストランの外の砧公園の風景です。ものっすごく暑い日でしたけど、歩いている人やサイクリング・ジョギングしている人もたまに見かけました。

 

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暑くっても公園の中の散歩は気持ち良かったですね。森の中にいるみたいな雰囲気でした。

レストランのル・ジャルダンも料理おいしくて雰囲気よくて最高でしたし、また行きたいですね。車でなら高井戸から環八を真っ直ぐ行くだけで、すごく近く感じました。家から10分~15分くらいでした。

美術館も色々と行けるようになって、本当に嬉しいですね。他にも行きたい美術館いっぱいあります。仕事も落ち着いているので、のんびり過ごしていこうかなと思っています。

秋吉理香子『婚活中毒』ネタバレ感想

秋吉理香子『婚活中毒』実業之日本社文庫 2020年8月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

今月出たばかりの新刊でした。新宿の小田急百貨店10階の本屋で買いました。そのまま本屋併設のカフェで読もうと思ったのですけど結局そこでは違う本を読んで、これは家で寝る前に読みました。2~3日で読破だったと思います。なんか文字も大きくてページ数も少なくて、さらさら読めました。短編集だったのも読みやすかったですね。棚から引き抜いてそのままレジへ持っていってカバーかけてもらったのでいま初めて表紙と帯を見ましたけど、表紙めちゃめちゃかっこいいですね。帯のネタバレもすごいですね。

ネタバレで語ります。

短編集ですけどどの話も最後に意外なオチが待っていて、安定しておもしろかったです。なるほどそういうことだったのか~という感じで。特に最後はこのままどうなるのだろうとドキドキしながら読んでいたらすごいハッピーエンドで、びっくりしました。やっぱり最後の親の代理婚活の話が一番おもしろかったかなと思いますが、理系女子のやつも美人に貢ぐやつも、安定しておもしろかったですね。どれも騙されました。まぁ騙されたというより、なるほどそういうことか~という感じでしょうか。おもしろかったです。どれもリアル感はなかったですけど、エンターテイメント的なストーリーとしてはとても良かったと思います。

婚活という題材もなかなか興味深かったですね。私も私の周りの人もこの本の中のようなべたべたな婚活はあまりしていないのですけど、1回だけ友人と街コンというものに参加したとき、誰とも仲良くなれずに友人と2人で帰ってきて2人で飲んで、婚活意味わからん…って結論になりました。まじで意味わからなかったですね。モテなかった。言って女性相手で(別に男性相手でも)私が話をして好かれないことってあんま無いのですけど…。でもその街コンのときに小説の話題になってオススメされた小説が本当にめちゃめちゃおもしろかったという思い出がありました。街コンで唯一得たものがその情報でしたね。

婚活というのかわかりませんけどやっぱり一番いいのは知人からの紹介でしたね。親戚からの紹介とか友人からの紹介は重たくって進めづらいという難点がありますから、知人くらいの人からの紹介がベストだったと思います。保険会社の人とか、税理士関係とか。特に税理士関係からの紹介は美人な人ばかりだったと思います。なんだか小説から話がそれましたね。でもこの小説のような婚活も、興味はありました。独身時代にもっとしておいても良かったかもしれないですね。独身時代にしかできないですし。街コンももっと何回か出てみてもよかったかも。モテない経験をしておくのも得るものあったかもしれないですし、オススメ小説以外にもおもしろい情報を得られたかもしれないですね。

話がそれましたが、この婚活中毒の作者、暗黒女子の作者なのですね。あれはおもしろかったです。真相が少しずつ明かされていって二転三転していくのがすごいおもしろかった。この作者、いつの間にかめちゃめちゃ作数が増えていたみたいで、読んでないものばかりでした。おもしろそうなものがあったら他の作品も読んでみたいですね。

阿津川辰海『名探偵は嘘をつかない』ネタバレ感想

阿津川辰海『名探偵は嘘をつかない』光文社文庫 2020年6月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

Twitterか何かで知って買おうとして、本屋で並んでいなくて(売り切れていて?)Amazonで注文して買いました。最初からAmazonで良かったですね。まぁこの本以外にも何か買うものが見つかるかもしれませんからね。だから本屋へ行く、と。

というわけで、名探偵は嘘をつかない、めちゃめちゃ分厚くって、読み切るまで1週間以上かかりました。毎晩寝る前に読み進めていって、何ページか読んで寝る、みたいな日々が続いていました。でも内容おもしろかったので最後まで読み切ろうとは思ってました。

実際、内容はとてもおもしろかったです。探偵が普通に職業として存在する世界観という、その中で探偵の弾劾裁判という謎設定で、正直いまいちピンと来なかったですけど、どういう展開になるのか読めなくて、わくわくしながら読めました。死者が生き返るというファンタジー設定がいきなり出てきたのも、すごいおもしろかったです。まったく先が読めない感じで。

この阿久津という探偵のキャラクターがいまいちはっきりしないというか、内面がまったく見えない感じがまたおもしろかったですね。真犯人Xがいるのかいないのかも最後まで読めなかったです。阿久津の主張が正しくって真犯人Xが存在するのかなーとも思えましたし。幽霊が阿久津の犯行だとネタバレするという展開はめちゃめちゃおもしろかったですね。かなりわくわくしました。ここからどうなるのだろうと。幽霊側が嘘をついているのかも…とも思わせる展開で、最後の方までどきどきでした。

終盤は割と一気に読み切りました。ネタバレで語りますけど、死者が生き返るというファンタジー設定がミステリ展開に思いっきり絡んでくるのがすごかったです。死体に死者を呼んで証言させようとする展開は最高にわくわく感がありましたね。終盤の、1時間44分の時間の説明ができないから~という展開も、考えてみればファンタジー度が高すぎてやばいですけど、作中でルール付けがしっかりされてあって、普通に納得して読めました。死者復活のルールがインパクトあってわかりやすかったですし、読者視点でそのルールも込みで考えながら読めたというか。なかなかこういうファンタジー要素がミステリに思いっきり絡んでくる小説は読んだことがなくって、新鮮でした。すごい自然にファンタジー設定を受け入れることができましたね。

偶然の殺人(事故)を探偵が隠すためにあれこれしていましたというオチも、まぁなるほど感はありました。ずっと探偵のキャラクターが薄くて定まらない感じだったのも、こういうオチならまぁ…というか。最後に、なるほどそういうキャラクターだったのか、という感じでした。

これだけ分厚くても最後までおもしろく読めて、いいミステリ小説だったなと思います。この作者の本はまた次も買いたいですね。楽しみに待っていようと思います。