読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

独立3年目の税理士事務所がwithコロナで考えること

新型コロナウィルスで世の中が大きく変わりました。税理士の私も、これからの税理士事務所運営はどうなっていくのだろうかと考えます。自分の事務所はどこをどう変えていくべきか。世の中の色んな会社が在宅ワークになって、周りの税理士事務所でも従業員を在宅ワークに切り替えたという話をよく聞きます。私の事務所は、所長の私の他にはアルバイト従業員が2名で、それぞれ週2日程度ずつ出勤してもらっていました。片方の従業員は赤ちゃんを連れてタクシー通勤してもらっていたのですが(当事務所は子連れ出勤OKです)子供の学校がなくなって家に居ないといけなくなったので出勤できなくなったと言われ、そのままお休みしてもらっています。もう片方の従業員は、日数を減らして出勤してもらったり在宅で仕事してもらったりしています。今はGW期間でお休みですが、GW明けにはまた在宅で弥生会計の入力をしてもらったり勉強してもらったり、週一日の勤務という形でお願いしていく予定です。正直、確定申告の忙しい時期が終わり、アルバイト従業員の方々にお願いする仕事もなくなってきてましたので、それくらいで事務所的にはちょうどいいのかなという気持ちです。ちなみに時給は2,000円にしています。

これからの世の中が在宅ワーク中心になっていくとして、税理士がどうやってそれに適応していけば良いのか。資料をもらってPCで試算表や申告書を作成したりは在宅で問題なくできるのですけど、というか今までもその部分は在宅ワークみたいなものでしたけど、その試算表や申告書を持って顧問先へ行ってお話するという仕事をどうしていけば良いか。現状は訪問せずにメールと郵送だけで済ませたりもしていますけど、それで以前と同じような満足度を得られているのか、正直不安です。対面してお話するという部分に対してお金をいただいているという意識がありましたので、メールと郵送で済ます場合は顧問料を下げないとなのかな…とか思ったりもします。かかる時間は減るのでそれでも問題ないのですけど、そういう仕事内容でいいのかなぁ…という気持ちがあります。メールで長文で説明したりしても負担をかけてしまいますし。なんというか、しっかり納得してもらえるように伝えることが税理士の仕事だと思うのですけど、対面以外だと納得感が下がってしまう気がして、大丈夫なのかなぁという気持ちです。

なにか、会えないなら会えないで顧客満足度を高めるようなやり方が無いものだろうか…と考えたりもするのですけど、いまいちこれというものが思いつかないです。Zoomで税理士と顧問先がお話するというのもピンと来ないですし。画面共有で税理士のPC上の試算表や申告書を見てもらいながら「この数字が~」とお話していくというのがギリ有りかなぁというくらいで。

ちなみに私の事務所は、毎月訪問している顧問先は1件だけで、あとはすべて不定期訪問です。その毎月訪問の会社は今月は訪問せずに、緊急事態宣言が明けたらということになっています。

顧問先は、法人が15件、個人が15件くらいです。

今までの事務所運営から振り返ってみると、2017年の11月に独立開業して、開業1年目の事務所の売上が100万円でした。開業2年目の事務所の売上が700万円くらい。そして今が開業3年目で、3年目の上半期の売上が800万円くらいの予定で、年間でいうと1500万円くらいになると思います。ぶっちゃけすぎですけど、まぁ問題ないでしょう。何でもオープンにしていきます。

一人税理士事務所としてやっていくならもう収入は十分なのですが、今年の年末くらいに友人と税理士法人を設立する予定なので、売上はもっともっと伸ばしていきたいと思っています。従業員も正社員をしっかり雇用していきたいですし。なので、これからの時代の税理士事務所運営をどうしていくかというのは本当に大事なテーマです。

事務所運営について、コロナウィルス以前のときに考えていたことなのですが、設立する税理士法人は内装をカフェっぽくおしゃれな雰囲気にしたいなーとずっと思っていました。私がカフェ好きなので。そして事務所内の様子をインスタに投稿して、従業員もインスタで募集していこうと思っていました。かっこいい事務所にしたいと思ってました。というか今も思っています。たぶんコロナウィルス後の世界でも、設立する税理士法人はカフェっぽいおしゃれな内装にしていきます。

なんだか話がそれた気がしますけど、飲み会や税理士の先生方との集まりなんかがすべてなくなって、溜まっていた仕事が一気に片付いてしまったので、暇ができたのですよね。考え事をしたり読書したり勉強したりする時間をかなり多くとれるようになりました。良いことでもあるのですけど、飲み会や税理士先生方との集まりもめっちゃ好きなので、なくなると寂しいですね。あと、そういう場で仕事を振ってもらっていたという部分もありましたので、これからそういう機会がなくなっていくと新規の仕事をもらう機会も減っていくのかなぁと考えてしまいます。新規の仕事でいうと、区役所の対面の税務相談や税務署の講師の仕事のおかげで顧問先が増えていましたので、そういうものもこれからなくなっていくでしょうから、そのルートでの新規の顧問先もなくなってしまいそうです。

まぁ、これからの税理士の仕事については、これからのんびり探していきましょう。他の税理士の先生方からも色んなことを教えてもらえるでしょうし。顧問先の方々から相談されることが税理士に求められていることなので、それを全力でやっていくのは、きっといつの時代も変わらないですね。最近だと給付金や融資についての相談がとても多くて、該当するかどうか、どう申請すればいいのか、その辺りの応対をするのが税理士の仕事と言えると思います。東京都の感染拡大防止協力金については申請書の確認をするのも税理士の仕事ですね。

日々の仕事をこなしながら色々と試行錯誤していけば、そのうち着地点が見つかるかなと思っています。仕事は最高に楽しいですし、あれこれ考えるのも楽しいです。あとは、今まで通り楽しそうだなと思ったことはとりあえずやってみて、自分の目で見て自分で判断してやっていきたいと思います。

光文社新書『生命保険の不都合な真実』感想

柴田秀並『生命保険の不都合な真実光文社新書 2019年11月刊

 

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確定申告の時期より前に購入していましたが、あとで読もうと思っていたらずっと読めず、今ごろになって読破しました。確定申告時期が終わってだいぶ時間が取れるようになって、さらにコロナウィルスの外出自粛で飲み会がなくなって時間が取れるようになり、最近はいっぱい読書できています。

というわけで、生命保険の不都合な真実。私の事務所も生命保険の代理人登録をしていますので、生命保険を売る側の立場の人間です。大同生命さまの代理人登録をしていまして、これから日本生命さまの登録もして両方の保険を売ることのできる立場になろうとしています。ただ、正直に言って生命保険については特に必要ない人(会社)ばかりなので、売ろうにも売り先が無いという現状です。法人税の節税にはならないですし。補償が必要な会社のみ補償目的で加入するのが良いと思います。車両や建物の損害保険なんかは入る価値があると思いますけど。あと相続税対策の商品も。

生命保険については本当に色々と思うところがありまして。まずサラリーマン時代に私が勤めていた税理士事務所が顧問先に「節税のために」と言って保険を勧めるタイプの事務所で、別に節税じゃないんじゃ……とものすごく疑問に思っていました。「実質返戻率」みたいな無意味な指標を使って「得になりますよー」と営業してる所長の姿を横で見ながら自分はこういう税理士にはならないぞと思っていました。生命保険に限らずですけど、錯覚させて売ろうというのはかっこ悪いですよね。こういう言い回しをすれば相手が良いと思って買ってくれる、みたいなのはすべてかっこ悪い。素直に伝えてそれで相手が買ってくれるというのが一番かっこいいです。というかかっこよくて価値のある人や商品だったらそういう商売ができる、というのが正しいのですかね。だからかっこよく生きていかないといけない。

あとは、この本の中でもありましたけど外貨建て保険の手数料についても、めちゃめちゃ思うところがあります。外貨建て保険は将来解約したときや満期になったときの返戻率が高く設定されているものが多くて、将来120%とか130%とかになって返ってくるものがあったりするのですけど、手数料を引かれるので120%130%そのままで返ってくるわけではなかったり、というせこい商品が普通にあります。いっぱい返ってくると錯覚させて売ろうという思惑なのでしょうけど、めちゃめちゃださいと思います。でも本に書いてあって知りましたけど2019年に募集資料をわかりやすくするような改正が入ったのですね。今後は改良されていくかもしれないですね。

あとは、営業のノルマがきついこととか、かんぽ生命がそのせいもあって高齢者をだますような売り方をしていた問題などについても書かれていました。この業界の色々な問題について、わかりやすく紹介されている本だと思いました。読みやすくて良い本でした。

銀行や郵便局のサラリーマンって、個人で戦う必要がないですもんね。だまして売ったとして、後で文句を言われても「そういうシステムなんで」と言えば会社の問題にできますもんね。会社が悪いんで自分は悪くないということにできる。外部的な意味でも、自分の心を保つ内部的な意味でも。銀行に限らず、大手企業はそういうことが可能なのが強みですよねー。

桐山徹也『ループ・ループ・ループ』ネタバレ感想

桐山徹也『ループ・ループ・ループ』宝島社文庫 2020年4月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

発売されてすぐ買いました。この作者は前作の『愚者のスプーンは曲がる』がめちゃめちゃおもしろかったので次回作をずっと楽しみに待っていました。愚者の~がデビュー作だったみたいですし、かなり期待していました。でも愚者の~からだいぶ間隔があきましたね。何があったのですかね。本業が他にあって副業として小説家してる感じなのかな、こういう人って。

というわけでこのループループループ、第一章の序盤あたり、めちゃめちゃ愚者のスプーンは曲がるっぽかったですね。同じ作者って感じでしたね。ファンタジー世界の中で主人公は冷静という、こういうノリはおもしろいです。

だんだん仲間(?)が増えていったときは、この小説はどういう展開になるんだ…?と、すごい謎でした。正直少し冗長感もありましたけど、かなりわくわく感がありました。森川さんのキャラクターなんかも、どうやって話に絡んでくるのかなぁと思いながら読んでました。キャラクター数がすごい多いですけど、同じ一日を繰り返して作中で何度もおさらいできるので全キャラすぐ覚えられました。第二章の終わりで森川さんが公園で殺されたあたりから最後まで一気読みでした。おもしろかったです。

焼きそばパンを40個隠すとか、いくら何でも…みたいな無理のある展開も多かったですね。ループに気づいていることを周りに隠しながらループを繰り返している人が多いのも…。毎回殺されるまで普通に過ごしていた月島先生とか。月島先生の最後の殺し方も無理があるように感じましたけど、失敗したらいつも通り自分の手で殺そうとすればいいだけなのかな。そのあとまたループして再チャレンジ、みたいな。むしろ九十野さんが警察に捕まった日にループを終わらせることができたのが都合の良い偶然というやつだったのかな。それともその日にループを終わらせるつもりで警察に通報したという意味なのかな、あの通報は。この辺りは私の読み込みが足りてないのかもしれません。なんか逮捕されてもうこれで安心みたいな雰囲気でしたけど、ループが続いたら逮捕も無しになってさらに対策もされてしまいそうな気がしましたけど…。

ファンタジー設定の中でも作中ルールが決まっていたので、納得しながら読めました。ループする人がどんどん増えていく世界というのは、おもしろかったですね。ループを止めようとするけど止められないというのも。終盤に伏線がどんどん回収されていくのも、読んでいて楽しかったです。工事してるから通れないという会話も、不自然と言えば不自然だったかもですね。他の一連のシーンの中でさらっと読んでいましたけど。九十野さんのネクタイがしっかり結ばれていたシーンなんかは、何かあった感があってめちゃめちゃおもしろかったです。月島先生がいつの間にか怪我をしなくなったのは、気づきませんでした。作中のどこかのタイミングからずっとそうなっていたのですかね。読んでいてまったく気づかなかった。

正直『愚者のスプーンは曲がる』の方がおもしろかった気もしますけど、この作品もとてもおもしろかったので、次回作以降も楽しみにしてようと思います。この作者は毎回買っていこうと思います。