読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

藤崎翔『神様の裏の顔』ネタバレ感想

藤崎翔『神様の裏の顔』角川文庫 2016年8月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

これは、本屋で平積みになっているのを見て、買いました。結構古い作品だったということを、いま知りました。2016年て。むしろなぜ2019年の今ごろになって平積みになっているのだろう。謎ですけど、本屋ってたまにこういうことありますね。何か賞をとったとかなのかな。

寝る前に少しずつ読んでいってたのですが、後半部分は一気でした。序盤は独特の口語調の文体に少しなじめなかったのですが、後半は物語展開がおもしろくて文体も気にならなくなりました。最後のオチもめっちゃおもしろかったです。

ネタバレで語ります。

妹が姉の別人格だったという部分は、意外性はあっておもしろかったですけど、ちょっと無理やりすぎる感じがして、うーーんって感じでした。2人じゃなくて1人だったことがストーリーやトリックと関係しているわけでもないですし…。顔の似ているイトコが場にいて読者はそのキャラを妹と誤認していたというところはおもしろかったですけど、序盤の1ヵ所だけですし…。

物語的には、二転三転あってめちゃめちゃおもしろかったです。序盤~中盤で少しずつ殺人犯かも?となっていったのが終盤で実は違いましたとなっていって、この時点でおもしろかったですけど、最後に娘が真犯人だったオチという。終盤は本当に一気読みでした。

全然知らない作者の知らない作品だったのですけど、世の中おもしろい小説ってまだまだあるのだなぁと思いました。本の世界は広すぎて追いきれないですね。

日本経済新聞社『価格でわかる日本経済』感想

日本経済新聞社『価格でわかる日本経済』2018年11月刊

 

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おもしろい内容の本でした。色んな事例が紹介されていて濃くて読み応えありましたし、2018年がどういう年だったのかということが見えてくる内容でした。

2018年中にこういうものの金額が値上げされました or 値下げされましたという内容を、ジャンルごとに個別の事例を挙げて紹介していく内容の本でした。知っている内容もあれば、体感としてはわかっていたけど…レベルの内容もあり、まったく知らなかったなーという内容もあったりして。

例えばどういう事例が紹介されていたかというと、シェアリング経済が広がってきていてシェアオフィスの賃料は値上げ傾向とか、車のシェアや人材のシェア(短時間派遣)なども増えてきている、など。「働き方改革」関連ではフリーアドレスのオフィス用の家具の販売が好調とか、共働きのための勤務先に近い高価格マンションが人気とか、時短家事や時短料理関連が伸びていて、などなど。インバウンドのおかげで値段が上がったものの例でいうと体験型サービスや宿泊施設など。消耗品は値下げ基調のものも多いがこだわり消費は高くても好調とか。紹介されている事例の幅が広くて、一冊の内容がなかなか濃かったと思います。

世の中のことはだいたい関連しているといいますか、こういう社会になるとこういうサービスが伸びていく、みたいなことがありますよね。高齢化になると医療業界が伸びるとか。そういうものが、わかりやすく解説されている本でした。こういう理由でこういうサービスが力を伸ばしていて値段が上がっている、みたいに。例えばブラジルの通貨(レアル)が政情不安で通貨安になって、その結果として輸出のコーヒー豆の相場が下がる、みたいな。

この本の目次をざーっと眺めると、2018年で色々と経済が動いたんだなぁ~と思いますね。シェア経済や共働きやインバウンドがかなり伸びたり、こだわり志向の商品・サービスがどんどん出てきたり。また今年の2019年にも新しい商品やサービスがどんどん出てくるのだろうなと思います。おもしろい時代に生まれて良かったなと思いますね。

税理士という仕事は色んな職業の人とお話できるので割と経済状況を肌で感じられる仕事なのですよね。今年も色んな業種の人たちと仕事していきたいな~と期待してます。また色んな出会いがあると思いますし、楽しみですね。

秋吉理香子『絶対正義』ネタバレ感想

秋吉理香子『絶対正義』幻冬舎文庫 2019年1月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

今月出たばかりの新刊ですね。本屋の新刊コーナーで見かけて、すぐ買いました。この作者の本は『暗黒女子』『放課後に死者は戻る』『聖母』とすべて読んできて、はずれが無い作家という認識です。本屋で見かけたら即買っていこうかなぐらいの勢いですね。

この『絶対正義』も安定しておもしろかったです。最近いそがしくて読み切るまで4~5日かかりましたけど、いそがしくなければ1~2日で読み切っていたかもしれないぐらいにおもしろかったです。ネタバレで語りますけど、4人全員が範子を殺そうとしたところ、あそこで一気に物語に引き込まれました。4人とも範子のことを憎んでいたと判明する展開。わくわくしましたね。

終盤の展開も最後のオチもうまい作品だったと思います。伏線がきいていて。親から子へ引き継がれていくオチに納得感もあって。子も範子のことを憎んでいた展開もおもしろかったですね。

とにかく範子というキャラクターがものすごかった作品でした。陰キャ系YouTuberみたいなキャラでしたね。路上ライブ禁止の場所でライブしてる人を警察に通報して動画撮影してアップするみたいな。ああいうのは後ろ向きな気持ちを原動力にして行動してる感じがめっちゃ陰ですけど、その陰を薄めてフラットな感じにしたような立ち位置のキャラというか。現代的なキャラクターと言えるのかもしれない。

領収書を一人でとろうとしたら「それは脱税よね」と言うシーンとか、5,000円で返済計画書を作ろうとするシーンとか、絶妙にうざい感じが笑えました。

来月から連続ドラマ化されるみたいですけど、この範子というキャラクターは美人設定じゃないと思うのですけど大丈夫なのですかね。主演の人をよく知らないですけど。でも半沢直樹とか賭ケグルイみたいな過剰演技ノリのドラマだったら楽しいかもしれない。