読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

井上真偽『恋と禁忌の述語論理』文庫版ネタバレ感想

井上真偽『恋と禁忌の述語論理(プレディケット)』講談社文庫 2018年12月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

本屋の新刊コーナーで見かけて即購入しました。デビュー作のこの作品まで文庫化されて、これで井上真偽作品はすべて文庫化されたことになりますね。私はでかい本の方もすべて買っていて、文庫化されたものもすべて買って、オチを知ってるのに文庫版もすべて読ました。オチを知ってるからおもしろさ半減なのですけど、それでも普通に楽しく最後まで読めていますね。

私は特に好きな作家とかいないタイプなのですけど、唯一この作者だけは、好きな作家って感じですね。今後も出たら全部買うつもりです。むしろこれ以外に好きな作家が思いつかない。おもしろかった作品ということなら無数にありますけど。しいて言えばきみの膵臓を~の作者かなぁ。あの作家の本も出たら全部買っていこうと思っています。

さてさて。二度読みになったわけですけど、やっぱり論理式の部分は後半さっぱりでした。もう最後の方は、めっちゃ早口で言うギャグみたいなものなのかな…と。笑えるような笑えないような…って感じでした。

A 私は美人だからモテる

B 私は美人ならばモテる かつ 私は美人である

Aを論理学的に言うとBになる、序盤のここまでは完璧に理解できました。

レッスン1の、目的の論理式が真になるように真偽値の組み合わせパターンを総当たりするという部分も、まぁ何とか理解できました。そのあとのスターアニスが故意かどうかの論理式、あえてその行為をした⇒行為は故意であるのやつと、レッスン2の中尊寺先輩は主命題ではなく待遇を証明しただけというやつまでくると、まぁわかるけどそりゃ当たり前じゃない…?みたいな感想を抱いてしまいます。作中でも言われてましたけど、ものすごく時間をかけて当たり前なことを言っただけ、みたいに思えてしまいました。そもそも探偵の推理に穴があるという前提に無理を感じるというか。そこを作中で完全スルーしたまま論理式だけ丁寧に描写していくのが違和感というか。最後には納得の創作でしたオチが待っているわけですけど。

話としてはレッスン3が一番おもしろかったです。三つ子の足跡というオチも、可能性から事実は導けないという論理も、おお~なるほど~と思えた。めっちゃ長い論理式の部分はギャグにしか見えませんでしたけど。

二度読みでしたけど、最初から最後まで普通に楽しく読めました。でもやっぱり新作が読みたいですね。探偵が早すぎる以来ずっと待っているのですけど、いつになるのか。楽しみですね~。

税理士として独立開業して一年が過ぎました

東京都杉並区高井戸で税理士事務所を開業して、1年が経過しました。

私は完全に0からのスタートです。他の事務所から顧問先を引き継ぐようなことは一件もありませんでした。

 

雑感というか。

いまどきの開業税理士ってこんな感じです、みたいなことを書いていこうと思います。

 

まず売上について。これははっきり言ってまだまだ少ないです。自分の事務所の売上だけではとても暮らしていけません。

半年間くらい新規のお客さまが一件も増えなかった時期もありました。問い合わせも特にありませんでしたし、その時期は本当に税理士という職業に対して「おいおい大丈夫か…?」くらいに思ってました。こんな状況だと開業する税理士が減っているのも納得だなぁと。

ただ、8~9月くらいから新規のお客さまが来るようになって、1年終わってみれば10件以上も顧問先ができました。相続や譲渡所得の大きな仕事も入ってくるようになりましたし。

 

いま現在の私がどうやって生計をたてているのかというと、他の税理士事務所のヘルプです。週2~3日で入ったり、単発で相続の仕事だけヘルプで入ったり、などなどです。

日給だったり1件いくらだったりしますけど、正直そんなに割は良くないです。仮にフルで入ったとしたら東京都の平均年収になるくらいじゃないでしょうか。独身一人暮らしなら贅沢できるけど結婚して家庭を持つならもっと稼がないと、くらいの水準というか。それくらいの水準なので、今後はそういう仕事は減らしていって自分の事務所の仕事を増やしていく必要があります。

 

それとは別に区役所などでの税務相談の仕事も不定期で入ります。これは税理士会からくることが多いです。たまに他の先生から依頼が来たり。

1対1の税務相談だったり5~10人相手にお話するスタイルだったり色々ですが、私はもちろん得意な方なのでどんどん私にまわしてほしいと思っているのですけど、基本的に順番でまわってくる感じですね。

そういう場所で名刺をお渡しした方々から後日お電話があって顧問先に、というのが一つの流れとしてあります。

 

売上についてはこんな感じです。

営業活動などは一切していないです。

 

ちなみに、業種で特化するなどはまったく考えていないです。〇〇業界専門税理士みたいな。あるいは相続税専門税理士みたいな。色々な業種の人とお話できるのがこの仕事の楽しいところなので、すべての業界のすべての税金についてご相談くださいというスタイルです。

強いて言えば相続税が得意ですけど、法人税所得税もできますし、消費税も得意です。

カフェ大好きなのでカフェ専門税理士ならちょっとなってみたいかもしれませんけど、カフェの顧問先はまだ一件もないですね。カフェについてはカフェ兼税理士事務所として開業しようと考えていたくらいです。まぁ夢で終わりましたが。

 

もっともっといくらでも話せそうですけど長くなりそうなので今回はここらへんで。

 

今後の展望としては、やはり駅前にオフィスを開きたいです。

いまは高井戸駅から徒歩10分のところに自宅兼事務所として開業しているのですけど、やはり人を呼びづらいです。高井戸駅前で、めちゃめちゃかっこいいオフィスを開きたい。洗練された雰囲気の。

人も雇いたいですね。働き方改革でテキトー出社テキトー帰社でその日に溜まってる仕事をこなしてくれるような人を。

 

今のところは順調といえば順調で、とてもありがたいです。

自分の事務所の売上だけで暮らしていけるようになるのはあと何年かはかかるだろうと思いますけど。

ただ、他の税理士事務所でヘルプするのも楽しいといえば楽しいので、そちらを0にするのもなぁ~という悩みどころもあります。嬉しい悩みなのですが。他の税理士先生がたからの「うちの事務所へ週何日か来てほしい」というようなお話は1年間で4~5人からありましたし、いつの間にか税理士業界も売り手市場です。

そういえば他の先生がたからはたまに合コンに呼んでもらったり独身女性を紹介してもらえたりもあって、そういうのもまたありがたいですね。色々な先生に色々な恩ができた。だいたい毎日飲み会が続いて連絡しないうちに消滅みたいな感じばかりですけど。まぁ一生独身でもそれはそれで。

瀬川コウ『今夜、君を壊したとしても』ネタバレ感想

瀬川コウ『今夜、君を壊したとしても』講談社タイガ 2018年11月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

『今夜、君に殺されたとしても』の続編ですね。吉祥寺キラリナ7階本屋で、新刊コーナーで見つけて購入しました。前作の表紙はアザミだと思いますけど今作の表紙は主人公の終くんなのですかね、きっと。

前作に続いて、さらさらっと読めて、続きが気になる展開で、おもしろかったです。

 

seoma.hatenablog.com

一応、前作のときに書いた感想を。

 

続きが出たら買いたいですと書いてますね。宣言通りに、買いました。

アザミがタクシーで学校へ向かったとき運転手を殺そうとしたら「お金はいいよ。事情があるんだろう?」と言われるシーン、作者のセンスがめちゃめちゃおもしろかったですね。そのあとの警察官から優しくされるシーンも含めて、とても良かった。

前作のときは台詞が芝居口調なのが少し受けつけなかったと感想を書いていますが、今作ではそこまで感じなかったです。割と抵抗感なく読めました。私が作者の文体に慣れたってだけかもしれませんけど。

キャラクター設定や心情描写にリアリティがないのはやはり気になるといえば気になりましたけど、作中できちんとルール付けされている部分もあり、そういうところについては納得しながら読めました。門をくぐった人間は常識的な感覚とは違う行動をして門をくぐっていない人間は常識的な行動をするという作中ルールですね。そして門をくぐっていないけど非常識な行動を取ることもある主人公、と。

キャラクター設定や心情描写がファンタジーだとどうしてもリアリティを追及することからの逃げのように見えてださく見えるということがあるのですけど、きちんと作中ルールがあって理屈付けされていればファンタジーも許容できることもありますね。この作品は全然普通に読める方だったと思います。神楽果礎の存在は今のところ必要ない感じですけどこれから設定が明かされていくのですかね。