読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

大山誠一郎『赤い博物館』ネタバレ感想

大山誠一郎『赤い博物館』文春文庫 2018年9月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

Twitterで「アリバイトリック系のミステリ」とおすすめされて、吉祥寺キラリナ7階の本屋で購入しました。ぜんぜん関係ないけど京王パスポートカードのポイントが7,000円くらい貯まっていたらしくて、ポイントを使って本を買うこともできたらしいです。キラリナ本屋の店員さんに教えてもらって初めて知った。私はレジで提示しないタイプの人間なのですけど、カード払いしたときに自動的にポイントが貯まっていたぽいですね。おいしいといえばおいしいけど、京王パスポートカードで毎月10万円以上ずっと買い物し続けているのに7,000円分のポイントというのは、寂しいといえば寂しい。

それはいいとして。赤い博物館。いままで知らなかった作家の知らなかった小説でしたので、教えてもらわなかったら購入していなかったと思いますけど、読んでみたらとてもおもしろかったです。本当に感謝ですね。やはり本は一人で探していても限界がある。

内容はたしかにアリバイトリック系のミステリという感じで、あまりそういう作品を読んできてなかったので新鮮でした。ネタバレで語りますけど、最初は未解決に終わっていた事件が、二転三転して真犯人が確定されていくという流れはおもしろかったです。「復讐日記」の最初の日記パートが復讐に見せかけるための嘘の記述だったという展開とか、「死が共犯者を別つまで」の交換殺人のあとに犯人が入れ替わっていた展開とか、二転三転あるのがおもしろい。1話完結型で短編集みたいな構成になっていたのも読みやすくて良かったです。

キャラクター設定なんかはファンタジーを感じましたけど、キャラクターはあくまでおまけでトリックがメインという内容でしたので特に気になりませんでした。 

この作者の他の小説も読んでみたいなーと思いましたけど、まだまだいくつかおすすめされた小説があるのでまずはそちらから…。

辻村深月『朝が来る』ネタバレ感想

辻村深月『朝が来る』文春文庫 2018年9月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

何日か前に読破していました。ちょうど手元の小説をすべて読み終えたタイミングで本屋の新刊コーナーに並んでいるのを見て、購入してきました。この作者の本は『スロウハイツの神様』はガチの神作だったと思いますが、他の作品は良かったり良くなかったり、まぁ普通だったり、そんな感じの認識でした。なので特に期待せず読んでいたのですが、なかなか引き込まれる物語展開と題材で、2~3日くらいで読み切ることができました。序盤中盤と心えぐられる系のしんどい描写が続く小説でしたけど、最後はかなり泣けましたね。良い小説だったと思います。

不妊治療という題材がもう他人事ではないというか、私も完全に30代後半ですし、これから結婚できたとしても高齢出産ということになります。出産はしないですけども。ちなみに検査とかも人生で一度もしたことないですし自分の精子が大丈夫なのかどうか一切わからないですね。リアルに不安になるかもしれない。

どういう物語展開か知らずに読み進めましたけど、前半部分と後半部分でがらっと違う物語になってびっくりしました。でもどちらもめちゃめちゃ引き込まれて続きが気になる感じでした。前半部分を読んでいるときは佐都子夫婦は不妊治療をがんばるものすごく不幸な人たちと思えていましたけど、後半部分を読んだあとはしっかり稼いで金銭的に余裕のある恵まれた人たちという風に思えたのがおもしろかったですね。

最後、ひかりが佐都子&朝斗に歩道橋で見つけられる終わり方は、本当にほっとするというか安心感のある終わり方だったと思います。この最後のシーンはかなり泣けました。これから幸せな人生を歩んでいってほしいという気持ちで。ずっと心えぐられる系の描写が続いてましたし。

最初の方を読み始めたときはママ友同士のめんどくさい人間関係あるあるネタの小説なのかなーと思ったらがらっと雰囲気が変わって、また後半部分でもがらっと変わって、おもしろかったですね。ストーリー的にはファンタジーを感じる部分もありましたけど、文章も読みやすくて展開もスピード感があって、やっぱりいい作家だなぁと思いました。そういえば『かがみの狐城』ってやつを、文庫化されたら読んでみたいのですよね。めちゃめちゃ評判いいみたいで。

日経プレミア新書『性格がいい人、悪い人の科学』感想

小塩真司『性格がいい人、悪い人の科学』日経プレミアシリーズ(新書)2018年9月刊

 

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電車の中などで少しずつ読みました。なかなか興味深い内容で、すぐ読み終えました。さっと感想を書いておきます。

人間の性格を表す特性は5つあるという。

外向性

神経性傾向(情緒不安定性)

開放性(経験への開放性)

協調性(調和性)

勤勉性(誠実性)

この5つらしい。なぜこの5つなのかというと、人間の性格を色々な言い方で表現していくと、この言い回しとこの言い回しは類似しているということがあって、それらを一まとめにしていくと上の5つにまとまる、ということらしいです。例えば「まじめ」「誠実」「実直」「率直」などは同じ特性にまとめることができると。「明るい」「暗い」も同じ特性にまとめることができる。

こうして5つの特性の大小で人間の性格を言い表すことが可能になったわけですが、これは決して数値が高ければよくて低ければ悪いというものではないそうです。ゲームでいうところの「力」「素早さ」「知力」みたいなものということでしょうか。パワータイプもいれば魔法タイプもいると。どちらが優れているわけではなく。それはそうですよね。

さらにこの5つを、横軸「外向性」「開放性」、縦軸「協調性」「勤勉性」「情緒安定性」という表にすることもできるそうです。性格概念地図みたいな。例えば「楽観性」「自尊感情」といえば縦軸も横軸も数値が高い性格で、「シャイネス」「先延ばし」といえば縦軸も横軸も数値が低い性格ということになるそうです。わかりやすくて納得感があって、おもしろかったですね。

しかし例えば就職活動など求められる「コミュニケーション力」「主体性」「誠実性」などは、この縦軸横軸ともに数値が高い性格ということになるので、数値の高い人間ばかりが求められるということになり、それもいかがなものか…という問題提起がなされていました。現代日本はみんながこの数値が高い方の性格を身につけようとがんばる時代になってしまっているのではないか、という。ゲームでいうと万能タイプばかり育てようとしてるってことですかね。就職活動だと本当にそんな感じがありそうですよね。

内容に納得感があって良い本だったのですけど、今回は時間も無いので簡単な感想だけで。でもこの分野の本も、もっともっと読んでみたいですね。それくらいに興味が湧きました。