読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

結城充考『プラ・バロック』ネタバレ感想

結城充考『プラ・バロック光文社文庫 2011年3月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

Twitterで「ミステリではないけど、一気読みだった」と教えてもらって購入しました。古い本だったみたいで吉祥寺駅ビルの本屋で売ってなくって、Amazonで購入してます。

最近めちゃめちゃ飲み会が続いたり大事な仕事が入ったりで夜ゆっくり本を読む時間が取れなくて、結局読み切るまで1週間かかってしまいました。おもしろかったのですけど。

文体がものすごく特徴的というか、一言でいうとキモい感じで、薦められてなかったら絶対読んでなかっただろうなぁとは思いました。最初に読んだ日にすぐに「ちょっとこれ文体キモないー?」ってリプってますね。独自の世界観を作ってやろうという作者の狙いが中二っぽいというか。これで作者がリアル中学二年生ならぜんぜん許せてたと思いますけど、普通にいい歳したおっさんなのだろうと思いますし、たぶん。

まぁそれはいいとして。文体は最後の方は慣れました。全体的におもしろくて、特に後半部分は結末が気になってすいすい読めた感じです。主人公にも好感が持てましたし。ネタバレで語りますけど、主人公のお姉さんが普通に殺されたのはなかなか衝撃でした。そういうのアリなんだ…?って感じで。緊張感ありましたね。子供も殺される世界観という。

あと、電脳世界の描写がなかなか古臭くって、すぐに現実で出会えてしまう世界の狭さとか、20~30年前くらいの作品なのかなーと思ったのですが、今このブログを更新するために調べたら2011年の作品でびっくりしました。7年前くらいの作品だったとは。意外と最近の作品でした。

秋吉理香子『聖母』ネタバレ感想

秋吉理香子『聖母』双葉文庫 2018年9月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

Twitterで色々とおすすめ小説を教えてもらって本屋へ行ったのですが、すべてスルーしてこの小説を買ってきてしまいました。本屋の新刊コーナーで見かけて。『暗黒女子』の人の新刊だなーと思って購入しました。この作者の小説は『暗黒女子』『放課後に死者は戻る』と読んできて、どちらもとてもおもしろかったです。

この『聖母』もかなりおもしろかったです。また帯でものすごいネタバレがされてますけど…。たぶんこの帯がなければ1.5倍くらいおもしろかっただろうなとは思います。こういう帯ってよくありますし映画の予告編でもテレビドラマの次週予告でも本当によくありますけど、作者側ってこの手のネタバレに対してどんな気持ちなのですかね。満足度が低下してもとにかく見てもらえればおっけーという感じなのでしょうか。読者視点だと自分の作品をこんな思いっきりネタバレされてかわいそうだなぁと思ってしまいますけど。

さてさて。内容について語りますけど、真琴くんが女子だったというオチも、保奈美→真琴→薫という親子関係も、完全に騙されました。でも真琴のキャラクター像は男子としてとても不自然だなーと思いながら読んでいましたので、女子でしたというオチには納得感がありました。全体的に男性キャラクターが不自然すぎるというか、かなり偏ったキャラクター設定ばかりなので、真琴くんの不自然なキャラクターにも逆に違和感がなくて、騙されてしまいました。この小説の世界観はこんなものなのかなくらいの感覚でした。保奈美の夫はいくらなんでも無神経すぎて不自然ですし、警察官の坂口は部下に対して懐が深すぎて不自然ですし、綿貫くんは気くばりがすごくて良い人すぎて不自然ですし。とは言え、このタイトル・この内容で男性について深く掘り下げて描かれてもそれはそれでおかしいと思いますし、男性キャラクターはあくまでも記号であるというノリの作品だったのだと思います。

読み返してみると真琴の性別は一度も作中で明言されていませんでしたし、保奈美が蓼科に執着していたことにも理由があって、最後にはすべて納得できるオチになっていました。真琴の性別は、女子生徒から告白されたり言葉使いが男っぽかったり、あとは真琴=異常な性犯罪者として物語が進んでましたので、思いっきり騙されましたね。薫がいなくなったあと「男の人と公園を出ていった」と言われるという流れもありましたし。この辺もとてもうまかったと思います。

叙述トリックのミステリは二度読みでさらに楽しめるのが良いですね。トリックだけではなく、殺害に至るまでの理由付けも二度読みで意味がわかるようになっていておもしろかったです。蓼科の殺害も、車を探して家へ来ていたというのが判明して、もし殺していなかったら…という感じでしたし。

娘のためなら母親は悪魔になれるということに収束するラストはとても良かったです。読み返すとすべてがそういうことだったという。序盤からひたすら母性や母親というものについて語られてきていたので、とても納得感のある終着点だったと思います。

村田沙耶香『消滅世界』ネタバレ感想

村田沙耶香『消滅世界』河出文庫 2018年7月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

本屋の新刊コーナーに並んでいるのは見かけていましたが、結局『コンビニ人間』を先に買っておもしろかったので次にこっちもという順番で購入しました。

1週間くらい前に読み終わっていたのですけど、何となくブログ更新するタイミングがなくてほったらかしになっていました。別にそういうときは「おもしろかったっす」だけ30秒でさくっと更新しておけばいいのかもしれませんけど、30秒でと思っていてもついつい頭に浮かんだことをそのまま書いていたらきっと3分とか30分とかが過ぎてしまうと思いますし。そうするとある程度時間の空いているときに…と思ってしまう。ちなみに最近は税理士会の集まり(飲み会)が多くて平日でも連続で入っていたりという毎日でした。土日は土日で出かける用事が入って、お酒を飲んでいると運動もできないのでスポーツジムにも2週間くらい行けてないです。まぁスポーツジムは単に混んでいて何もできないから行ってないという理由が大きいのですけど。家のランニングマシンではお酒の入ってない日は走っています。

さてさて。『消滅世界』ですけど、設定はファンタジーですけど、その中で登場人物(主人公)の心情や行動はリアル感が追求されてあって、素直に読むことができました。こういう世界観なら人間はどうなる?という思考実験的な小説だったと思います。実際に人工授精がこんなに自然に受け入れられるかは別として、提案自体はとてもおもしろかったと思います。性欲は消滅していないがセックスは消滅している…うーんさすがにって感じはありますけども。ファンタジー度がすごい。この世界観なら性欲も消滅していないとおかしいんじゃないか?って気がしますけど…。でもその世界観の中でも主人公は「正常」な感性の持ち主として描かれているので読みやすさはありました。最後どういうオチになるのかなーというのも気になって、すいすい読めた感じです。

なんかこの作者は他の作品でも人工子宮で男性も子供を産めるようになるという世界観を描いていましたけど、男女平等の社会を描きたいというわけでもなさそうで、男性はまだまだ成功率が低くて女性の自然な子宮の方が強いという微妙に性差を残す感じがあるのは、おもしろいと思います。完全に男女平等で主人公の性別を定義する必要すら無いような世界観だとさすがにおもしろみに欠けると思いますし。これぐらいのバランスがギリギリという感じはしますよね。男女平等にしたら主人公が女ではなくなってしまうし、性欲を無くしたら倫理観や人間性まで無くなってしまって葛藤が成り立たなくなってしまう。