読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

東京都庭園美術館「装飾は流転する」

東京都庭園美術館「装飾は流転する」へ行ってきました。期間が2月25日までだったので、駆け込みで、平日火曜の午前中に目黒まで足を運んで。

 

東京都庭園美術館

http://www.teien-art-museum.ne.jp/

 

火曜の午前中という時間帯のおかげで館内が空いていて、とても快適に見学できました。目黒駅の周辺のカフェも空いていましたし、やはり平日はとてもいいですね。何なら土日に仕事して平日に美術館やカフェ巡りする生活もいいかもしれないなぁと思ってしまいました。開業税理士なので可能と言えば可能です。

「装飾は流転する」は7組のアーティストの「装飾」をテーマとする作品が展示される展覧会でした。この手の展覧会ではめずらしくオール撮可でした。7組それぞれとても良かったですし、東京都庭園美術館の建物もかっこよくて、しかも館内すべて撮可という、満足度の高い展覧会でした。

順番に写真を載せていきます。

 

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山縣良和さんというアーティストの作品。入口にどーんと置いてあって、この展覧会のメインの作品という感じでした。人形が着ていてもかっこいいですね。丸でありながら襟でハート型に見えるのがおもしろい。

 

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私は7組のアーティストの中で、この山縣良和さんというアーティストの作品が一番心に刺さりました。この人の作品ばかり写真に撮りまくってきました。この赤ずきん服も、かわいさとかっこよさが同居していてすばらしいと思います。

 

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トイレとお風呂と洗面台の部屋の中に立つ人形。この方向からのみ覗いて観ることができる作品でした。赤という色の圧倒的な鮮やかさを感じます。

 

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色とりどりの布を垂らした作品。これもパッと目を引く色鮮やかさ。

 

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着物のような服にカラフルなデコレーションが追加された作品。これも部屋に入った瞬間におお~っと思ってしまうくらいパワーを感じました。子供用のお面やぬいぐるみの量がすごい。楽しさ、明るさ、華やかさを感じます。

 

思わず調べてしまった山縣良和さんの会社の公式サイト

http://www.writtenafterwards.com/

他の作品も機会があれば観に行きたいですね。

 

 

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ここからは別の方の作品。ヴィム・デルヴォワさんというアーティストの作品です。細かさがすごい。

 

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銀色にきらきら輝く色合いと、装飾の細かさがとても美しかったです。あと作品のでかさも単純にすごかったですね。この大きさでこの細かさっていったいどれくらいの時間がかかったのだろう…と考えてしまいました。

 

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おまけの日本庭園。梅?が咲いていました。平日のお昼ごろで人も少なく、のんびり散歩できました。

東京都庭園美術館って、建物もかっこいいし、庭園を散歩もできるし、とても良い美術館だと思います。次の展覧会もまた行きたいですね。

『ナイルパーチの女子会』ネタバレ感想

柚木麻子『ナイルパーチの女子会』文春文庫 2018年2月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

新刊コーナーの目立つ位置にずらーっと並んでいて、〇〇賞を受賞という文言に釣られて購入しました。帯には高校生~と書いてあって高校生向けの小説なのかと思いましたが、実際に読んでみたら30代女性同士の関係の話でした。でも主人公2人は精神的には高校生女子っぽくもあり、高校生が読んでも楽しめるだろうとは思います。

全体的に、ちょっとデフォルメしすぎというか、大げさすぎてリアル感がなく白ける部分もあったのですけど、あるあると感じる部分もあり、文章にパワーもあって、最後まで楽しく読めました。2~3日くらいで読み切りました。でも大げさすぎるからこそエンターテイメントとして成立して楽しく読めるというのがあるかもしれません。リアルさを追求したら大手商社の社内でこんなこと無いだろう…で話が終わってしまいますし。

とにかく女友達がいないということを色々な方向から語りまくる内容の小説なのですけど、主人公が周りからひたすらディスられるのがかわいそうすぎて、どうか最後は前向きに終わってほしいなぁと思いながら読んでました。主人公が全方位からディスられて「だからお前には友達がいない」と言われるという、なかなかものすごい小説ですよね。でもところどころ納得感があるので、かなり心をえぐられました。

主人公2人の中では栄利子の方に多く共感できましたね。友達を渇望する気持ちもわからないでもないですし。楽しみにしていたのにいざ行ってみると旅館で眠れないところとか、物語は共感が大事という考え方も、わかります。もちろん栄利子ほどじゃないですけど。

この作者の小説は完全に初めてだったのですけど、文章にとても勢いとパワーがあって読んでて刺さる部分が多かったので、他の題材の小説も読んでみたくなりました。作者はこの「女友達」という題材に特別思うことがあってこれだけのパワー文章になっているのでしょうかね。でも著書数の多い作者のようなので特別思うところがある題材ならこれまでの著書でとっくに使っているかな。純粋に文章力がすごいってことかも。

『定年後』感想

楠木新『定年後』中公新書 2017年4月刊

 

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吉祥寺kirarina7階の啓文堂で、2017年の1位という帯を見て購入。我ながらちょろいですね。1位と聞くと、とりあえずで買ってしまう。西新宿のNSビル(日本生命ビル)1階のタリーズコーヒーで、一気に読破しました。コーヒー1杯で1時間以上も居座った。でも2人組でずーっとしゃべってる人たちとか、1人でPC広げている人とか、すごい長い時間カフェに滞在し続ける人っていますよね。のどが乾きそうですけど…。西新宿も吉祥寺も、たぶんどの街も、カフェに入るだけでも一苦労です。人が多すぎるのかカフェが少なすぎるのか。

さてさて。定年後の過ごし方や定年までの心構えについての本でした。定年後の男性は孤独だという。私はまだ30代なので当分先の話ではありますが(開業税理士なので定年もありませんけど)、しかし他人事ではないですね。休みの日にわざわざ西新宿へ行って、カフェで1時間以上も読書するとか、まさに定年後の人みたいな過ごし方をした気がします。西新宿は大学生のころから大好きで、大学卒業後は税理士試験の勉強で通い詰めて、ご飯食べたりデートしたり、エモい思い出がつまった街です。私は西新宿の各ホテルのトイレの場所はすべて把握しています。本当に。

定年後の人の過ごし方として、図書館やカフェやスポーツジムなどが挙げられていました。平日午前中のカフェって行ったことないですけど空いているらしい。図書館はたしかに定年後ぽい人たちをよく見かけますよね。図書館=加齢臭みたいなイメージある。そして、定年後でそういう場所へ通う人たちはみんな独りぼっちらしい。いま30代の時点ですでに独りぼっちでカフェやスポーツジムに通っている私からすると、本当に他人事ではない…。一緒に行って話す相手がいればいいのですけど、いませんからね。まぁそれはそれでって感じですよね。

本の中では男女の違いがあると言われていました。女性は女性グループを作れるので孤独になりづらい、と。もちろん人にもよるでしょうけど。男の場合、既婚者の人(子供のいる人)は基本誘えないですし、年をとればとるほど誘える独身の友人が減っていくのがつらいですよね。例えば税理士仲間ですごく仲良くなりたい人がいてもその人が既婚者だと「休みの日に遊び行きませんか」とか「飲みに行きませんか」とか言いづらい。税理士はまだ税理士内で野球やテニスをしたり、得意先の方と一緒にご飯に行けたり、環境としては恵まれている方かもしれないですけど。

定年後の生き方として、残り時間が少ないことを意識しつつ社会とつながったり居場所を見つけたりしようということが本の中では語られていました。農業に手を出したりするのもいいらしい。あとは、次の世代に何かをつないでいくような活動をする、など。

私なんか、適度に運動して野菜とか体にいいもの食べてお金の心配もなくストレスの無い人生を過ごしているのでこのままだと無駄に長生きしてしまいそうなのですよね。お酒も飲み会以外では一切飲まないしタバコも吸わない。健康診断でも余裕のA判定ですし。でも90歳とかまで生きることになってしまったらほんとにどうしよう。元気に仕事をできればいいのだろうけど、まぁ体力的に厳しそう。下の世代にまかせて自分は会長職におさまる、みたいなのが一つの着地点なのでしょうけど、その形を作るのもなかなか大変そうだ。でもそれがこれからの私の人生の一つの目標として良いのかもしれない。それか毎日ラーメン食べ歩きでもして多少は早死にするようにコントロールするとか…。