読んだ本の感想とか

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

『木漏れ日に泳ぐ魚』ネタバレ感想

恩田陸『木漏れ日に泳ぐ魚』文春文庫 2010年10月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

直木賞?と本屋大賞?という賞をとったとかで、ついこの前まで本屋でひたすら推されていた恩田陸という作家の本。私は一冊も読んだことありませんでした。ちなみに人に聞いたときは「そんな夢中になって続きを読むような作家ではないー」という話でした。まぁでも本屋でずらーっと並んでいたのでどれか読んでみようと思いまして、選んだのがこの本でした。

この本は吉祥寺のアトレ2階の本屋(ブックファースト)で文庫本ランキング第1位になっていてものすごく平積みされていたのですけど、パルコ地下の本屋(パルコブックセンター)ではランキングにも入らず平積みにもなっていませんでした。これは何を意味しているのか。もうこんなの誰が見ても同じ結論だと思いますけどブックファーストのランキングの方がテキトーなのでしょう。売れているランキングではなく売りたいランキングなのでしょう。この機会に直木賞作家の本を売ってやろうと考えて、2010年の文庫本を引っ張り出してきてランキング1位ということにしたのでしょう。私みたいに1位というのを見て買う人間もいますからね。ちなみにブックファーストの1位を見てパルコブックセンターで買いましたけどね。

さてさて。本の中身については、1位だけあって(?)めちゃめちゃおもしろかったです。少しずつ真相が明かされていく中で二転三転も有り。オチも納得感ありました。兄妹ではなかったと気付いたことによって、そこから考えを巡らせていって父親(ではなかったわけですが)の死因の真相に思い至る経緯、説得力があっておもしろかったです。

最初の数ページを読んだときは台詞の圧倒的な臭さ・寒さに耐えられずに本を捨てようかと思ったくらいだったのですが、捨てずに読み進めてよかったです。途中からは全然くさくなかった。最初の数ページはほんと村上春樹を目指して失敗した人みたいな感じでした。何だったのだろう。「気持ちのいい夜だね」彼女は、窓を見ながら言った。←唐突にこういう無意味な芝居台詞が湧き出てくる文章って謎すぎる。2010年の本なので当時はこういうのが流行ってたのかもしれませんけど。

『雪の鉄樹』ネタバレ感想

遠田潤子『雪の鉄樹』光文社文庫 2016年4月刊

 

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※小説の感想はすべてネタバレ有りで書いていこうと思います。

 

2017年おすすめ文庫1位らしいーと教えてもらって購入。本の帯にもでっかく「第1位」と書いてありますね。私はこういう風に1位とか大賞とか紹介されているととりあえず買ってみるかなって思うタイプです。それならおもしろそうだなーって。実際おもしろいこと多いですし。でも最近の私の第1位は井上真偽の本ですね。この雪の鉄樹ではなく。

雪の鉄樹、第1位というだけあって、最後までめちゃめちゃおもしろく読めました。これ最後どうなるんだろうと。出所してきたあとどういう展開になるんだろうと。少しずつ真相が読者に明かされていく感じが、とてもわくわくする物語展開でした。ネタバレ有りなのでどんどん言いますけど、最後幸せに終わって良かったです。

遼平くんがひたすらかわいそうでしたけど、最後は主人公雅雪と和解っぽくなれて、それも山の中で一緒に一晩過ごすという非日常での和解ということで物語に説得力もあって、いい話だったなぁと思います。最後に遼平くんが迎えに行くって展開もすばらしかったです。

すごい分厚い文庫本でしたけど、全体的に濃い話だったと思います。粗暴ないじめっことして描かれていた隼斗くんも細木老への当てつけという意味合いがあったという展開が用意されていて。物語では描かれていませんでしたけどいい方へ軌道修正されていきそうな予感を感じさせました。それを細木老に指摘したのが主人公という展開が、また良かったですね。

中盤以降はほんとに一気読みでした。初めて読む作者で聞いたこともない本でしたけど、これは買ってよかったです。

『ブラック奨学金』感想

今野晴貴『ブラック奨学金』文春新書 2017年6月刊

 

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ブラック企業』の人の新刊。

この人の本はたぶん出てる本すべて買っています。文章も読みやすくてわかりやすい。今は同じテーマの本を見かけるようになりましたけど、『ブラック企業』当時はこの問題はweb上でしか語られてなくって新書の世界ではこの人がオンリーワンだった。

今の大学生は奨学金の利用率がかなり高くなっているようですね。仕送り額も年々減っていっているみたいですし。それでいてアルバイトをしようと思ったら飲食小売はブラックバイトだったりして、大変だ。この本の中でも奨学金とブラックバイト問題は密接に絡んでいると述べられています。お金が無いとアルバイトは必須ですから、多少条件が悪くても働かないと生きていけない。これはほんとに大変な状況ですね。

そういえば今の大学生は授業もきっちり出席しますし過去最高にまじめだと聞いたことがあります。就活で成績表の提出を求められるようになっているというせいもあるのかな。

就活と言えばついこの前(7月くらい)企業の人事担当という人と飲んだとき、今年は本当に売り手市場でこの時期になっても必要人員が揃わなくって新卒募集を継続していると言っていました。いい人は他でとられてしまって、今までだったらとってなかったレベルの人(露骨な表現ですが…)まで今年は採用しているとか。今の大学生は悲惨な状況が多いと思いますけど唯一 新卒就職だけは過去の大学生より良い状況なのかもしれませんね。

さてさて。この本の中では奨学金の返済のきつさや保証人ということで親族すべてに請求がいく理不尽さなど色々と語られていますが、やはり一番の問題点は今の若者の置かれている状況がきつすぎるということなのだと思います。大学の入学金や学費は上がり、国の補助もほぼ無く、アルバイトはブラックバイトが横行し、などなど。もうこんなのは国がどこに資金を投入するかという問題だと思います。現代日本では、後期高齢者が1割負担で医者にかかれたり、老人層・医療介護業界にお金が投入されている。そのお金を子育てや教育などの若い世代へまわせば一気に解決に向かうと思います。しかしそのためには老人層を切り捨てないといけないわけですが老人を捨てる姥捨て山が無いのでそれができない。そこがこの国の悲しいところですよね。