読んだ本の感想など

電車の中やカフェで読んだ本の感想などを。

第7回TAMACOM へ行ってきました

2017年1月24日(火)三鷹産業プラザ。

TAMACOMとは?
http://tamacom.tokyo/
多摩地区の活性化・地域連携の輪を広げる、民・学・産・公の異業種交流の場。

私は第1回~第6回は行ったことがなく、今回の第7回が初めてでした。


全20組の発表を聞けたのですが、知らない分野の話ばかりでどれも興味深く、知見が広がる内容ばかりでした。
忘れないうちに感想を書いていこうと思います。
それぞれ匿名にするべきか?とも一瞬思ったのですが(例えば A社 B社 などの表記で)、これはもうTAMACOMサイトの文言をそのまま載せちゃうことにします。一応、会社名までで、発表者の個人名は省略ということで。敬称も略で…(さん付けも様付けも変かなぁと)。
発表者の方々のサイトは私が手動で検索して探して見つけたものを貼り付けています。


1組目 まちづくり三鷹
 「ファブスペースみたか」~デジタルでつくろう~ 

株式会社まちづくり三鷹http://www.mitaka.ne.jp/
ファブスペースみたか:http://fabmitaka.co/

ファブスペースみたかの紹介。ものづくりの場所。ネットワークの場としても。自分の作品を置くレンタルスペースもあるそう。
3Dプリンタなどが設置されているそうです。私は3Dプリンタって実はいまだに一度も触れたことないです。どんなものか一度触ってみたいですよね。めっちゃ興味深いです。

2組目 武蔵野市役所 生活経済課
 吉祥寺駅前にゾウのはな子銅像がやってきます! 

はな子銅像募金:http://hanako-bokin.jp/

ゾウのはな子銅像吉祥寺駅北口のロータリーに設置されるそうです。
私は結局一度もゾウのはな子を見る機会が無いままでした。一度くらい見たかったですね。
でも銅像が建ったら、それで毎日見ることができそうです。

3組目 株式会社文伸 / ぶんしん出版
 地域に根ざしたコミュニケーション・ファームとして、『井の頭100年』に寄り添う 

株式会社文伸:http://www.bun-shin.co.jp/
ぶんしん出版:https://www.bun-pub.jp/

地域密着で、この地域のチラシや印刷物を取り扱っているそう。
例えば「井の頭公園まるごとガイドブック」←これは欲しいですね。
井の頭公園のことも七井橋のことも、考えてみればよく知らなかったなぁと思いました。

4組目 成蹊大学 
 成蹊大学における留学生のための「ビジネス日本語」 

成蹊大学http://www.seikei.ac.jp/university/

留学生が日本の社会人にインタビュー。その「ゲストスピーカー」を募集中とのこと。超ウェルカムでいつでも成蹊大学へ行って社会人としての自分のことを語りたい~。
今回のTAMACOMは成蹊大学の方々がボランティアで運営のお手伝いをしてくれていたようです。

5組目 Wa-shoiパートナーシップ
 ジモトの多様な人をつなぐ〜企画集団 ジモト会議〜 

facebookWa-shoiパートナーシップ:https://www.facebook.com/913960095349220/

「ジモト会議」多世代・多文化交流。どんなものか詳しくお話を聞きたかったのですが歓談タイムに話せず。
井の頭公園でマルシェを行なったりしているそう。一度行ってみたいですね。
この発表された方の声が、とっても聞きやすく美しい声でした。

6組目 スキルノート 
 複業塾・やわらかい生き方をつくる講座 

facebookスキルノート:https://www.facebook.com/skillnote111

2017年は複業ブーム!がもう来ているそうです。たしかによく聞く気がします。
「LIFE SHIFT」という本をオススメされていたのですが、最初のTAMACOM開始の挨拶の方も同じくこの「LIFE SHIFT」という本を紹介されていまして、複数のルートからオススメされると一気に興味が出てくる法則を感じました。読んでみたい。

7組目 ムービンピック実行委員会
 井の頭公園を世界の映像クリエイター憧れの聖地に 

facebookムービンピック:https://ja-jp.facebook.com/movinpic/

「井の頭公園を世界の憧れの聖地に」
毎年開催されているそうで、今年は短編映画の年らしいです。短編映画は世界中で映画祭があるらしく、良い短編が完成したら応募していく予定だとか。
これもとっても興味深いです。井の頭公園が舞台の短編映画なんて絶対観ますよね。めっちゃ観ます。
過去作Youtubeで公開されているとお聞きしましたが、
https://www.youtube.com/channel/UCzvKDd7ORBAb-4w7beYOUAw
2年前レベルのものしか見つからず…。

8組目 株式会社ぱど / 吉祥寺ECCO!!
 情報誌ぱど・吉祥寺ECCO!!を活用した地域活性化について 

株式会社ぱど:http://www.pado.co.jp/
吉祥寺ECCOhttp://www.pado.co.jp/pado/advertiser/freepaper/ecco/

吉祥寺ECCO。地域のイベント情報や求人情報なども。求人情報は地域の主婦の方などが短時間働きたいというような需要に応えたり。
例えば最新号では井の頭公園100周年の話とか。あと私がよく読書しに行く治一郎カフェも最新号で紹介されてました。

9組目 株式会社テーシーアイ
 井の頭池サンクチュアリーに 

かいぼり日記:http://inokashira05.blog.fc2.com/

井の頭公園の池はどんどん綺麗になっていっているそうです。
週2で掃除を行ない、外来生物の駆除なども行なっているそう。ブラックバスは根絶に成功、ブルーギルはあとちょい、ザリガニはまだ追いかけっこ、自転車は根絶(←うけた)らしいです。
この方、話がめっちゃおもしろかったです。

10組目 西部公園緑地事務所
 井の頭恩賜公園開園100周年 

西部公園緑地事務所:http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/jimusho/seibuk/

多摩地域の公園を管理しているところ。
井の頭恩賜公園は、もともとは徳川家から天皇家へ、そしてそれが下賜されたものだそうです。
上野公園と井の頭公園の2か所のみで、上野公園に次いで井の頭公園は今年が100周年、と。


以上が前半の10組。
各3分間ですぐに次の発表へ入る感じでしたので、あっという間に感じました。
20分間くらいの歓談タイムを挟んで、後半の10組へ。


11組目 私の名前紹介研究グループ
 一度聞いたら忘れられない「私の名前紹介」の数々をご紹介 

facebook私の名前紹介:https://www.facebook.com/nameintro/

この方の発表は、名前泥棒に名前を取られた人が名前を思い出すという寸劇スタイルでした。めちゃめちゃおもしろかったです。
このときの3人の名前いまだに憶えてますし。お米が好きな○○さん、とか。

12組目 介護トラベル株式会社
 諦めていた旅をもう一度! 

介護トラベル株式会社:http://kaigo-travel.com/

車椅子のまま旅行ができるように、専属で付き添ってくれるサービス。
私も今後何かあったら利用したりするかもしれない。覚えておこうと思いました。
あとは介護保険外のサービスを1時間2,800円~で行なっているそう。家事代行より安いなぁと思いました。この前家事代行で掃除を頼んだら2時間9,000円でしたし。
私は仕事相手で高齢の方が多いので、さっそく「こういうサービスがあって、旅行も行けるみたいですよー」と話のネタにしたりしました。

13組目 声となり空間
 3分間ボイトレで話すドキドキをワクワクに 

声となり空間:http://koetonari.com/

あがり症の人や聞き返される人に向けての発声法の紹介や実践トレーニング。
聴衆の人たちも実際に発声してみるという参加型発表で、とても楽しかったです。「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」など。
手前に向けて発声すると通らない、遠くへ向けて発声すると通る、これが本当にその通りに聞こえて、すごいなぁと思いました。

14組目 株式会社ヒトコトヤ
 「TOMORROW BOX」〜明日につなげたい「ふるさと」の魅力をお届けします。 

facebookヒトコトヤ:https://ja-jp.facebook.com/hitokotoya/
TOMORROW BOX:http://www.tomorrowbox.net/

なんと福山市役所出身の方でした。私の祖父母の田舎と近い。福山って、周りの尾道、広島、倉敷などと比べると観光地としては弱いのですよねぇ。
TOMORROW BOXというのは、日本全国を旅する箱で、毎月その土地から、その土地の品物が自宅へ届けられるという仕組みらしい。自分の知らなかった土地から知らなかった品物が届いたりすると世界が広がりそうですよね。
今年2月がちょうど三鷹の順番らしいです。

15組目 ソーシャルコネクト株式会社
 あなたの脳をさらに良くするアクティブブレインの紹介 

アクティブブレイン協会の講師紹介ページ:https://www.oda-abs.com/teachers/detail/092/

2日間で記憶力が上がるらしいです。お稽古事としてはまだまだマイナーだそう(実際私も今回で初めて知りました)
学習塾と連携などもできるそう。

16組目 吉コレ
 吉祥寺発ファッションショー「吉祥寺コレクション」について 

facebook吉祥寺コレクション:https://ja-jp.facebook.com/917823914904645/

今年で3回目になるファッションショー。
吉祥寺駅北口で行なわれるそうです。今年は5月4日午後。GWはいつも吉祥寺にいなかったので知らなかったなぁ。
現時点でまだ出店や出場モデルを募集中らしいです。

17組目 ココロ化粧品
 石鹸難民になっていませんか? 肌が喜ぶ石鹸選び 

ココロ化粧品:http://kokoro-cosmetics.co.jp/

石鹸を選ぶポイントを教えてもらえて、これもとてもためになりました。
酸化防止剤×、水は腐るから×、最終的には固形orパウダーがおすすめらしいです。
「武蔵野認定」というものを受けているので武蔵野土産としてもどうぞとのこと。たしかに高級石鹸ってちょっと武蔵野土産っぽくて良いかもイメージ的に。

18組目 株式会社ジェーシー・プリマ
 40代女性起業家のための伴走型プロデュース事業への挑戦~吉祥寺の街をさらに輝かせるために~ 

薬膳中華料理店上海ガーデン:http://shanghai-garden.com/

40代女性の起業を応援。
↑のムービンピックの去年グランプリのショートムービーがこの会社の方の作品とのこと。
井の頭女子物語 〜Evergreen Memory〜:https://www.youtube.com/watch?v=4E5cGzTI2XM

途中からわかってきたのですけど参加者の方々は元々それぞれつながりがあるようですね。横のつながりというか。

19組目 一般社団法人フラットデザイン
 暮らしを豊かにするナリワイ創出運動 MIDOLINO 

一般社団法人フラットデザインmockmock:http://www.mockmock.net/

和装での発表がめちゃめちゃかっこよかった方。
創業支援施設「MIDOLINO」について。中心に囲炉裏があって、それが豊かさイメージらしい。とても雰囲気ありそうでした。
許可をとっているので、ソース、米、缶詰、ビン詰など、飲食の色々なことが可能とのこと。

20組目 株式会社マネジメントブレーン 
 中道通りに起業家支援サロン誕生!「i-dream吉祥寺」

株式会社マネジメントブレーン:http://www.mb-brain.com/

i-dream吉祥寺。アムリタ食堂の前らしい。愛する起業家サロン。繋いで稼ぐ。
アムリタ食堂一度も行ったことないのですよね、もう一つ奥の通りのまめ蔵は行きますけど(混んでて困りますけど)。


以上20組でした。
本当にどの方の発表もとっても興味深いものでした。
歓談タイムでそれぞれの方と詳しくお話したいなぁと思ったのですけど、やはりというか皆さん他の方々に囲まれていたり、やっと話せたと思ったら後ろに順番待ちの人がすぐ立ったりで、ほとんどお話できないまま終わってしまいました。
でもまたいつか機会もあるでしょうしこちらから行ってもいいですし、そのときはもっと詳しくお話できたらなぁと思います。

広島県 宮島 年末1泊2日旅行

親戚一同で広島県の宮島へ、年末に1泊2日で行って参りました。
宮島って日帰り旅行も有りのようですけど(例えば宿泊は広島駅周辺とかで)夜のライトアップされた厳島神社も美しいですし、1泊して良かったなと思います。
1泊2日するとだいぶ宮島を満喫できましたし。
表参道商店街食べ歩き、カフェに行ったり、ロープウェイで弥山へ、そして厳島神社


宮島グランドホテル有もと
http://www.miyajima-arimoto.co.jp/

宿泊したのは宮島の中のこのホテル。
厳島神社まで1分で立地も良く、ロビーもおみやげ屋も雰囲気良くって、最高のホテルでした。また泊まりに行きたい。

 

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まずはやはり厳島神社の鳥居の写真を。
満潮干潮は1日2回ずつ、だいたい6時間ごとに、満ち引きがあるそうです。
私が行ったときは昼は海の中で、夕方に陸地になり、夜はまた海の中になっていました。
時間ごとに姿が変わるのが本当にドラマチックで神秘的で幻想的で、よくこんな発想で神社を建造したものだなぁって感動してしまいます。

 

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夜は日没から23時ごろまでライトアップされるらしいです。このライトアップされた厳島神社が本当に美しかった。
宿泊したホテルが「夜の宮島ガイドツアー」というものを開催していて、30分くらいの軽いものでしたけど、厳島神社の話や宮島の話を聞きながらゆっくり歩くことができて、勉強になって楽しかったです。
宮島は島自体が神様の体だそうです。

 

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厳島神社内部の様子。
床の木は台風などのときに水が抜けていくように、切れ目を入れてあるそうです。切れ目が無いとそのまま船になって海へ流されてしまうらしい。ちなみに上にカバーをかぶせて歩きやすくされてました。

 

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表参道商店街の入口。
宮島のメインロード。やはりもみじ饅頭の店が多かったです。宮島といえばもみじ饅頭!ですね。
2日ともここを歩いて本当に色々と食べ歩きしてきました。
揚げもみじ(あんこ、クリーム、チーズ)、穴子饅頭、穴子飯コロッケ、ぺったらぽったら(焼きおにぎり醤油だれ)、にぎり天(えび、たこ、アスパラベーコン、などなど)。焼きがきはホテルの夜ご飯で出たので商店街では食べず。
食べ歩きといっても店内に椅子があって中で食べられる店もちらほらありました。宮島以外で見かけたことないようなものばかりで、しかもどれもおいしくって、食べてて楽しかったですね。
あとは、なぜか(?)宮島にはカフェが多かったです。
いくつか入りましたけど、中でもとても良かったのが、伊都岐珈琲というお店。

伊都岐珈琲
http://itsuki-miyajima.com/

カフェラテすっごくおいしかったです。
店員さんも感じが良くって、店内の雰囲気も良く、とてもいいカフェでした。
八天堂のフローズンクリームパンというものがこのカフェの店頭で売られていて、そのパンもとってもおいしかったです。
この八天堂のクリームパンは都内でも買えるらしいですね。今度買おうかな。

 

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ホテルの夜ご飯、どれもめっちゃおいしかったです。
特に穴子釜飯、味が染み込んでいて最高でした。あれはまた食べたい…。
あと、地ビールの宮島ビール。キャラメルが入っているのが特徴らしいです。甘口と辛口がありましたけど、どちらもキャラメルの味を感じられて、特に甘口が本当に甘くて飲みやすかったです。

 

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2日目午前はロープウェイで弥山へ。
ロープウェイの中から撮影した瀬戸内海の景色です。

 

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ロープウェイの着いた駅から弥山の山頂の展望台まで、片道30分くらい歩きました。歩くというか、登山ですね。往復1時間なので結構ハードと言えるかも。
山頂展望台から見る広島の街の景色と、弥山ロープウェイ駅。あそこからここ(撮影地点)まで30分の登山。


なんか写真を撮れてないところもありましたけど、宮島ってほんとおいしい食べ物と綺麗な景色と感じの良い人たちばかりの場所で、最高の旅行を楽しめました。
これは本当にまた行きたいですね。次もまたこのホテルでもいいかも。

というわけで、今年初めてのブログ更新になりました。

ネタバレ感想『この闇と光』服部まゆみ

『この闇と光』服部まゆみ 著 角川文庫 2001年8月刊


※ネタバレ感想を含みます


吉祥寺駅ビルのキラリナ7階本屋で購入。
平積みコーナーに置いてあったので最近の本だと思って購入したのですが、なんと15年も前の作品だったようです。レジ前エリアでしたからね。まさか旧作だとは思いませんでした。私は割とどんなミステリでも気持ちよくだまされるタイプの人間なので、当然こういうトラップ(?)にもあっさり引っかかります。
このキラリナ7階本屋は、ビジネス新書コーナーでも古い作品を新作と一緒に平積みで並べてくるので、注意が必要なのでした。
でも結果としては最高におもしろかったので、大満足です。感謝しかないです。

最近は自分の中で小説ブームが来ていまして、『死神の浮力』、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』、『ON 猟奇犯罪捜査官 藤堂比奈子』と読んでいって、その次に購入したのがこの『この闇と光』でした。


※ここから先、完全に『この闇と光』ネタバレになります


3~4回は気持ちよくだまされた感じで最高に楽しめたのですけど、これは最後結局どうなるんだろうというどきどき感で普通に一気読みでした。
夜寝る前に小説を読んでいて「これはおもしろすぎるからもう深夜2時3時になってもいいから今夜のうちに最後まで読み切ろう」と決意する瞬間、とても幸せ感があります。小説って最高におもしろいエンターテイメントだなぁと感じる瞬間。

章ごとに、順番通りに、読んでるときにどういう感想を抱いたか書いていくことにします。


『レイア 一』

この『一』と『二』が作中作というのがまた衝撃のオチというか、え何でそんな物語構造にするの?って感じだったわけですけど、最初読んでいるときは架空のファンタジー世界が舞台の作品なのだろうと思っていました。
昔のヨーロッパ的な世界観だけどCDやラジカセは存在する架空の世界、と。
建物の2階に監禁されている(ように見える)状況もおもしろかったですし、父の名前を知らなかったり物語の中でなんか変だなと感じる部分が多々あって、続きと結末が気になりました。
父がどういう嘘をついているのだろうと気になった感じです。
実は主人公は全然かわいくないオチとかかなぁとも思いながら読んでいたら「可愛いお嬢さんですね」と作中で言われますし。


「囚われの身」

めちゃめちゃ現代日本が舞台でびっくりしつつも、やっぱりなという気持ちもあったと思います。
この辺から「この小説すごいな…」という気持ちに。


「病院」

ここで主人公が男だと明かされるわけですけど、これもとても騙されました。でもこれも多少のやっぱりな感があったと思います。
この……みっともない……凡庸な子供が……レイア姫だと? ← こういうところがほんとおもしろい。
この辺りになると、結局父親とダフネと兵士は何者だったのかというわくわく感で、その日のうちに最後まで一気読みしよう状態でした。


「帰還」

特殊な環境で育った能力の高い主人公が周りと馴染めない感じがとてもおもしろい章。
こういうのほんと好きですね。7seedsの夏グループとか。
父親の助手3人(山野、北山、飯田)が唐突に出てきて、あぁこの3人の中の誰かが犯人なのかなと思ったのですけど、全然違いました。

ムーンレイカーから『デミアン』の小説の差し入れが届くというシーンがありましたけど、父親(犯人)が主人公のことを気にかけているという大事なシーンですね。


「十五歳、夏」

父と母の俗っぽさというか、低俗な感じというか、しかし逆に好感を持ててしまうぐらいの描かれ方が、とても良い。


『レイア 二』

ここで父親=ダフネと明かされたわけですが、これはほんと衝撃でした。まじかあああって感じで。
でもここでついに全部つながった感がありました。
「最近は男性も……」とか。男性2人が歩いていたわけですね。強い香水を振りまいて。


ムーンレイカー

『一』と『二』が作中作というのがまた衝撃で。
父親が美青年でダークは薄茶色の雑種の犬だとかまた色々と明かされるわけですけど、え結局なにが真実なの…?みたいな終わり方。
わざわざ作中作という構造にしたということはこの部分は作り話ですということのようにも見えますけど、それならば真実や真犯人が明かされないまま終わったということになってしまいますし、ということは、これは、目が見えなくて闇の中にいたレイアと同じように読者を闇に包んだ状態で終わらせたかったみたいな感じなのかなぁ、という。
『一』と『二』が作り話だったとしても、3歳で誘拐されて女として育てられ父親とダフネがいて…という大筋は「囚われの身」~「十五歳、夏」の中で事実と確定されているわけで、その他の細かい部分が作り話でしたということにしかならないわけです。
ただ、『二』については、父親が手紙で「結末はもう少し丁寧に描かれた方が~」と言っていたりもするので、作り話だったり描写不足だったりする部分があるということかもしれません。しかし読者にはわからないですね。

特異な経験のせいで世界になじめない主人公がかわいそうすぎるので、ここで父親とまた仲良くなりながら少しずつ社会復帰していくような未来であれば良いなぁと思います。
「君もそうでしょう? レイア」→「そこにいるのはアブラクサス……」という描写からすると、この先お互い仲良くしていきそうな感じはしますよね。